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錬金カズパピ

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

武/装/錬/金 力ズキ×ハ゜ピヨン襲い受。
とりあえず書いてみた途中まで投下。初SSにつきお見苦しき点はご容赦。

 『……の数値…あとコンマ3…げてみろ。……だフィ…ドバ…ク…支障……るな……では……』
 分厚い特殊ガラス越しに、ハ゜ピヨンの声が途切れ途切れに聞こえてくる。
 開発中の新型フラスコ内部に一糸まとわぬ姿で繋がれている力ズキは、無言で目を閉じ耳を傾けていた。

 ヴィク夕ーとの最終決戦の時は刻々と迫っている。
 体内に埋め込まれた黒い核鉄のために地球上全ての生命を喰らう怪物に成り果てた彼と、同じく黒い核鉄によって
今まさに怪物と化しつつある力ズキ。
 ふたつの黒い核鉄に対し、その効果を中和できる白い核鉄はたったひとつ。
 どちらかを人間に戻せば、もうひとりは世界に仇なす化物として殺されるか、あるいはすべてを滅ぼすか――
 二者択一を迫られた力ズキが提案した第三の選択肢、それがこの新型フラスコだった。
 Dr.バ夕フライが遺したヴィク夕ー修復フラスコをベースに、力ズキ専用の冬眠フラスコをハ゜ピヨンが調整改造する。
 ヴィク夕ーに白い核鉄を使い人間に戻したのち、力ズキがフラスコで仮死状態に入り、ハ゜ピヨンがもうひとつの
白い核鉄を完成させるのを待つ。
 一から十までハ゜ピヨン任せの、無謀といっていい作戦だ。
 そもそも製法の失われて久しい白い核鉄が何十年、何百年後に完成するか予測もつかない。
 人間の時の流れから解き放たれたホムンクルスであり、天才錬金術師でもあるハ゜ピヨンにすら可能かどうか。
 それでも、他人の命も自らの命も決して諦めない信念を持つ力ズキにとって、これが最も犠牲の少ない最良の選択肢と思われた。

 人間・武/藤力ズキとの決着を渇望するハ゜ピヨンは、彼の望む時間・場所・条件で力ズキと戦うという見返りで協力を快諾した。
 もとより力ズキのヴィクター化に誰よりも怒り狂い、独力で白い核鉄を精製しようとしていた彼だ。否やのあろうはずもない。
 決戦を前に突貫作業で行われる冬眠用フラスコの開発のために、力ズキはハ゜ピヨンの秘密拠点の研究室に足繁く通っていた。

 『……こまでだな。桜/花、貴様…バ夕…ライ…別研…棟に行っ…………を調達…てこい。…れと……の情報…探っ…おけ』
 フラスコ内部は粘性の高い液体に満たされており音が聞こえづらい。力ズキは目を開いた。ここからが本番のようだ。
 『判っ…わ。武…クン、も…少し頑張っ…ね』
 ハ゜ピヨンの助手を務める桜/花が、こちらをなるべく見ないよう足早に研究室から立ち去るのが見えた。
 平時なら交わされるであろう優雅な会話は一切ない。
 今が火急の時であり、またこれから先この場に留まれば足手まといになると彼女自身が承知しているからだ。
 外部モニタで桜/花が建物を遠く離れたことを確認すると、ハ゜ピヨンは手元のマイクをONにする。
 「よし、いくぞ武/藤。――ヴィク夕ー化しろ」
 全身に幾本ものケーブルを接続された力ズキの耳に直接声が響いた。

 「……判った」
 一瞬の逡巡ののち、力ズキは己の闘争本能を解放した。かつて心臓のあった位置で黒い核鉄が脈動する。
 左胸に浮き出たシリアルナンバーIIIの刻印を中心にして全身がざっと赤銅色に変わり、紫の照明に染められた室内を
淡く光る蛍火の髪が彩った。
 蝶を模した豪奢な覆面の奥でハ゜ピヨンがわずかに柳眉をしかめ、急速に訪れる激しい疲労に耐える。

 ヴィク夕ー化と同時に発動するエネルギードレインは己の意思では止められない。
 その場に存在する全ての生命の活力を自動的に奪い吸収する。たとえそれがホムンクルスのパピヨンとて例外ではない。
 ましてやただの人間である桜/花など、こんな至近距離にいればひとたまりもないだろう。
 それでもヴィク夕ー化進行中の力ズキを収容するフラスコである以上、その変身後のデータを取らないわけにはいかない。
 ヴィク夕ー化後の力ズキのデータは桜/花を一時退避させ、ハ゜ピヨン単独で計測するのが常となっていた。

 ハ゜ピヨンは数種のモニタに鋭く目を走らせると、目にも留まらぬ速さでキーボードに何事か打ち込んでゆく。
 ここ数日というもの、ハ゜ピヨンは力ズキの生体パターンにフラスコ制御システムを同期させるのに試行錯誤を繰り返していた。
 完全に怪物化してバ夕フライの元に現れたヴィク夕ーと異なり、現在の力ズキは化物と人間の中間を不安定に行き来しているためだ。
 過去には呼吸停止状態の人間体力ズキがドレインを行ったケースもある。
 力ズキの冬眠中に黒い核鉄を沈黙させるには、フラスコの初期設定にわずかの誤差も許されない。
 「よし、もういい。戻れ」
 最後のEnterキーを叩くと同時に、いつもより少し掠れた声のハ゜ピヨンが早口で告げた。
 力ズキは努めて意識を静穏に保つ。赤銅の肌と蛍火の髪が砕け散るように力ズキ本来の体色へと回帰した。
 ひとつ深く息をつくと、ハ゜ピヨンは手元のパネルを操作した。フラスコ内部の液体が排出され、力ズキを拘束していた
脊椎を思わせるグロテスクな固定具とケーブルが外れてゆく。
 数時間に及ぶ不自由からようやく開放されてフラスコを出た力ズキに、ハ゜ピヨンは蝶の刺繍が施されたバスタオルを投げ渡した。
 「今回はこれで終いだ。次は20時間後に来い」

 「……なあ蝶/野」
 「何だ」
 人間だった頃の名を呼ばれ、ハ゜ピヨンが応ずる。
 ハ゜ピヨンを蝶/野/攻/爵と呼ぶことを許されたただひとりの人間、それが武/藤力ズキだった。
 特権などではなく、むしろ一種の遺恨に近いのだろうと力ズキは思っているが、
では文字通りハ゜ピヨンが力ズキを恨んでいるのかというと、どうもそうでもない、ようにも思われる。
 力ズキにはっきり判ることは二つ。
 人喰いのホムンクルスと化した蝶/野をこの手で殺したあの春の夜、自分がこの男の心に消えない痕を刻んだこと。
 そしてあの夜、力ズキ自身の記憶にも生涯消えない名前が刻まれたこと。

 LXEの手で甦った蝶/野は力ズキの前に現れ、己が真に羽撃くために、いずれ必ず力ズキを斃すと宣戦布告していった。
 自ら人の身体を捨て、超人となった蝶/野――今は自らパピヨンと名乗る彼――がただひとつ残す人間時代の執着、それが力ズキだ。

 力ズキはハ゜ピヨンを、その昔の名で呼び続ける。
 忘れられない、忘れてはならない名前。
 救えなかった、己が手にかけた命。
 別人のように――芋虫から蝶のように――生まれ変わったハ゜ピヨンはしかし、力ズキにとってはどこまでも蝶/野/攻/爵だった。
 脆弱な人間時代の彼と今の彼を同一視することが、果たして良いことなのかどうかは判らない。
 あるいはそれは、自分の背負う業なのかもしれない。あの、誰にも顧みられることのなかった孤独な男を屠った自分の。
 ともあれ、ハ゜ピヨンといずれ決着をつけたいと願うのは力ズキも同様だ。
 ホムンクルスの手から守るべき人々のために。そして、自分とこの男の間に存在するあの夜の記憶にけりをつけるために。

 重たい雫の落ちる固めの髪をタオルで乱暴に拭いながら力ズキは、もう幾度目になるか判らない問いを投げた。
 「やっぱりブラボ-を連れてきた方がいいんじゃないか?シルバ-スキンならエネルギードレインも無効――」
 「くどい。戦団の輩と馴れ合うつもりはないと言ったろう」
 絶対防御を誇る武装/錬金の使い手の名を出した力ズキの提案を、ハ゜ピヨンはにべもなく遮る。
 全てのホムンクルス殲滅を使命とする錬金/戦団は、ハ゜ピヨンにとって本来天敵といってよい存在だ。
 ヴィク夕ーというホムンクルス以上に危険な存在が現れ、事態が流動的な今でこそ目こぼしをされているものの
いつハ゜ピヨンが次の抹殺対象となるか知れたものではない。
 この秘密拠点の在処も把握されている可能性は高いが、だからといっていつ牙を剥くか判らない敵を
わざわざ自らのテリトリーに招く気などハ゜ピヨンには毛頭ないということなのだろう。

 「だいたい、あんなセンスの欠片もない全身コートを着るなんて想像するだにおぞましい」
 「オマエにだけは言われたくないと思うけどな」
 力ズキは呆れ、胸筋と腹筋と股間をこれでもかとばかりに強調した卑猥なボディスーツを見やる。
 「貴様まで何を言う武/藤。いいか、このスーツは――」
 滔々と自らが着用するスーツの素晴らしさを語り始めるハ゜ピヨンに力ズキは嘆息した。
蝶の覆面だけなら力ズキの美意識にも合致するものの、こちらの趣味は正直いただけない。
 ハ゜ピヨンは一通り熱弁をふるい終えると表情を改め、作業の大まかな進捗状況を力ズキに伝えた。 
 「次の調整が最後の詰めになる。栄養補給と体調管理を万全にしておけ」

 体調。そうだった。
 意識をあらぬ方に逸らされていた力ズキは、ハ゜ピヨンの言葉に本来の疑問を思い出す。
 「蝶/野、オマエの方は大丈夫なのか?……その、毎日オレのデータ取ってばっかりで」
 不治の病を患ったまま不死となったハ゜ピヨンの血色は平素からひどく蒼白で、力ズキには彼のコンディションが読み取りづらい。
 「あと数日で化物になり果てる体たらくの貴様が、他人の心配とは悠蝶なものだな」
 ハ゜ピヨンは小馬鹿にしたようにせせら笑うと、ふと視線を下方に落とし、フンと鼻を鳴らした。
 「――なるほど。貴様の方は補給完了で元気ビンビンというわけだ」
 「え?」つられて視線を下に向ける。「――あ」

 バスタオル越しにでも明らかにそうと判るほど、力ズキの下半身が高らかに自己主張していた。

 「……ッ、……すまない」
 あまりの羞恥と罪悪感に力ズキはたまらず顔を俯け、消え入りそうな声で詫びる。
 先ほどヴィク夕ー化したせいに違いない。
 人間に戻った今、周囲から――つまりはパピヨンからだ――吸収した高純度の生命エネルギーが行き場をなくしているのだ。
 幾度も行われたデータ採取でこんなことは初めてだ。自分は確実に化物になりつつあるらしい。
 力ズキを人間に戻すため尽力するハ゜ピヨンから否応なしに生命力をもぎ取っておいて、自らはこのざまだ。
 どの口で大丈夫かなどと言えるのか。
 唇を噛みしめ己の浅ましい身体を呪う力ズキに、揶揄を含んだ声が届いた。
 「貴様は俺に何度同じ台詞を言わせるつもりだ」
 あの夜交わした最後の会話が脳裏に甦り、力ズキはぐっと言葉に詰まる。

 “すまない、蝶/野/攻/爵”
 “謝るなよ、偽善者”

 冷徹なまでに聡明なこの男は、安易な謝罪や気休めの言葉を受け取らない。
 止めを刺す相手に許しを乞う力ズキを、偽善者だと断じて散った。
 あの時も、そして今回も、力ズキが一言謝ったところで本当は事態の何が変わるわけでもないのだ。
 「……それでも……。すまない、蝶/野」
 詫びずにはいられない。
 やれやれ、と呆れた風に溜息を吐くハ゜ピヨンに気まずい思いで背を向け、
 「……シャワー借りるぞ。また明日な」
 身体にべたつくフラスコ充填液を洗い落とすため、付属のシャワー室へと踵を返す。その力ズキの前方を長身の影が遮った。

 振り仰ぐと、真顔のハ゜ピヨンが半歩ほどの距離から力ズキを見下ろしていた。近い。
 いつの間にこっちに――そうか、コイツ歩幅広いもんな。どうでもいいようなことを思う。
 「貴様が本当に俺にすまないと思っているのなら――そうだな」
 底知れない漆黒の双眸と目が合う。感情が読めない。

 「俺から奪った分は返してもらうとしようか」

 言うなり、蒼白い繊手が力ズキの喉に伸びた。ひやりとした感触。
 何を、と抗議の声を上げる間もなく――視界の全てが蝶で満たされた。

 口中に鉄の味が拡がる。
 ホムンクルスの牙に傷ついた己の唇の味なのか、それとも不死の根底に病を抱える男の吐血の味なのか――
力ズキにそれを考える余裕はなかった。
 背には先刻まで自分の入っていたフラスコの冷たい感触。
 細身の外見からは想像もつかない人間を超えた膂力は、力ズキの喉笛をがっちりと押さえつけ逃れることを許さない。
 フラスコに叩きつけられた衝撃と呼吸困難で力ズキの気が遠くなる。
 このまま首を折られ――
 と、どうにか呼吸が可能な程度に指の力が緩められ、唇が開放された。
 力ズキは目尻に涙を浮かべ、なおも拘束された不自由な喉で酸素を求め激しく咳きこむ。

 油断していた。
 再戦は互いの準備が万端整った時という協定が結ばれ、最近では奇妙な信頼にも似た関係が築かれていただけに
よもやこんな局面で何か仕掛けられるとは思いもしなかった。
 まさか今が、協力の報酬としてこの男の望む決着の時だろうか。よりによってヴィク夕ー戦を間近に控えた今?
 もしや――力ズキのヴィク夕ー化進行を止める望みが薄いから、まだ人間であるうちに、ということか?

 どうにか呼吸を整え、ハ゜ピヨンの真意を問うべく開かれた力ズキの唇が再び塞がれる。
 喉に感じる死人のような肌の冷たさとは裏腹に、割り入ってきた舌は灼けるように熱かった。
 肉食獣を思わせるざらりとした塊が、上顎や歯列の裏を一方的に蹂躙していく。
 「…!…ッく…、…ふ…!」
 頚動脈の位置を、かり、と鋭く伸びた爪に引っ掻かれ、本能的な恐怖に全身が粟立つ。
 核鉄の納まる己の左胸に触れ、武装/錬金を発動する――それは果たせなかった。
 上げかけた腕を氷のような指が掴み取り、灼熱の舌が力ズキのそれを絡め取る。
 「…んぅ……ッ…!」
 逃げようとする舌を嬲られ、吸われ、尖った歯に甘噛みされて、力ズキの思考が白く染まった。
 淫猥な水音が聴覚を侵し、血の味のする二人分の唾液が顎を伝い落ちる。
 喉の拘束を振りほどこうと悪足掻きしていた片腕から力が抜け、がくがくと膝が笑う。
 ハ゜ピヨンは最後に力ズキの切れた唇を丹念に舐め取り、身を離した。
 無様に腰を抜かした力ズキの上に屈み込むと、陶然と舌を舐めずり囁く。
 「相変わらず貴様の味は極上だな、武/藤。他の人間など喰う気も起きなくなる」

 ――捕食者の目だった。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
改行失敗しまくり、レス数読み違えまくり。すまない。


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