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天使は月の下(もと)に眠る

諸人ーこぞりてーいざー迎えよー♪
Merry Christmas!映画スレ14の441です。
ずっと前、生まれて初めて書いた801SS。

小説&映画 ダ・○ィンチ・コー○
アリンガローサ×シラス

映画版の司教様をイメージしたくない人はどうぞしないで下さい。
実は筆者もしていません。
シラスの目の色、赤と青どっちにしようか迷ったわ。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

天使は月の下に眠る

 カーテンの隙間から差しこむ一条の月光が、寝台の上で微睡(まどろ)む天使を照らしている。
 青い光に浸されて、その肌の色が一層、ある種凄絶なまでに白く見える。シラスは私の隣で、左を下にした姿勢で横になっている。少し身を起こすと、純白の背中に縦横無尽に走る赤い傷跡が見て取れた。まるで引き毟られた翼の跡だ。
 また、無理をしたのだろう。俄に愛しさが込み上げ、乾いて固くなった血の跡をそっと指で辿った。シラスはわずかに身動きするが、目覚めない。日中の奉仕労働と、先刻までの激しい愛戯に疲れたのか。
 再び、下腹部に血が漲ってくる。私はシラスを掻き抱いて、傷跡の一つに唇を寄せた。舌先でなぞる。軽く噛む。
 破戒。その不吉な言葉が脳裏を離れたことはない。主が初めてこの心に触れられた日から、どんな細々とした戒律にも背いたことはなかった。
 初めてシラスを抱いた、あの夜までは。
 主は必ずご覧になっている。私は己の罪業の深さに恐れ戦く。しかし、一たびシラスを、その体を貪る歓びを知ってしまった今、最早以前の私に戻ることはできない。一度きりのものしかないこの世で、その白い肌に自分の肌を重ねられるならば、何億回、灼熱の業火に投げこまれようと構わない。
 蛾の触角のように儚げな白い睫が震え、シラスの瞼がゆっくりと開いた。靄煙る春空の色をした瞳が、上目遣いに私を見つめる。
 最初の内、シラスはなかなか私を受け入れることができなかった。神への畏れと、戒律を破ることへの躊躇いがあったのは言うまでもない。だが、太腿のシリスよりも強く、彼を締め上げ、苛み続けたものは、監獄時代、毎晩のように他の囚人たちから輪姦された恐怖と屈辱の経験だった。
 彼ほどではないが、私も苦しんだ。この美しく、純粋で繊細な青年を寄ってたかって押さえつけ、痛めつけて思うままにした下劣な男たちの姿を目の前から追い払うことができなかった。自分が彼らと同類のように思えてならなかった。
 しかし、私はシラスを愛していた。心だけではなく、体をも求めずにはいられなかった。他にその狂おしいまでの愛を表現する術を知らなかった。
 さもなくば、心と体を切り離して考えることなど、もうできなかった、と言うべきだろうか。シラスを愛して、私は悟った。今まで自分の学んできた魂の愛と肉体の愛との二元論など無意味であり、不毛極まりないものだと。
 私と同じように、シラスも私を愛してくれていた。忌まわしい記憶と懸命に戦いながら、全身全霊で私の愛に応えようとしてくれた。
 もう幾度目かの罪の行為に濡れた晩、彼は私の腕の中で言った。神父さま、地獄に堕ちる時は一緒です。
 私たちは愛しあわずにいられなかった。運命に逆らい、神の掟を踏み越えても。
 或いは、星々は既にあるべき位置に定まっていたのかも知れない。ぼろきれのような哀れな姿でこの教会の戸口に倒れていた、色素欠乏症の若者を見つけた時から。
 “俄に大いなる地震起こりて獄舎の土台震え動き、その戸立ち所に皆開け――”
 私は、自ら名づけた男の手を握る。長い、骨張った真っ白な指と、自分の指とをしっかり絡ませて。
 「神父さま、眠れないのですか」
 少し掠れた、霞のかかったような声で、シラスが気遣わしげに尋ねた。寝起きに限らず、いつもこんな声だ。祈りを唱える時も、私の愛撫に応える時も。私が最初に惹かれたのも、ラテン語の聖句を呟く彼の横顔と、この罪深い声だった。
 この期に及んで「神父さま」はないだろう、マヌエルと呼んでほしいと切に思うが、慣れ親しんだ呼び方を急に変えることはできないらしい。少し残念だが、シラスがそれで呼びやすいなら無理に変えさせようとは思わない。
 「おまえの寝顔を見てただけだよ」
 私はシラスの柔らかな白い髪を指で梳く。シラスは嬉しそうに頬を染めて、照れ笑いをする。
 彼の唇に自分の唇を重ね、舌を差し入れた。微かに薄荷の味がする。二人で作ったささやかな薬草園で、シラスが丹精込めて育てたものだ。
 シラスの歯を、舌を、口腔を味わい尽くし、顎に、喉に、首筋に唇を這わせる。シラスの眉根が苦しげに寄せられ、切なそうな吐息が洩れる。
 私は、自分がたった今彼の首筋に付けたばかりの刻印をまじまじと見た。背中の傷と同じく、肌が白いだけにその赤さが際立つ。明日は一般の信者も参列する大切なミサがある。この背徳の証が彼らの目に留まっては大変だ。
 衣服で隠れる部分なら、好きなだけ愛を刻みつけることができる。彼の肌に点々と花びらを落としながら、片手でその広い胸を撫でさすった。桜色をした小さな三角の乳首を指先で摘まみ、もう片方の乳首を啄むように吸う。シラスが身を捩り、抑えきれない声を上げた。既に充血していた部分がますます固く、大きくなって私の腹を突く。その先端が湿っているのを感じる。
 私は身を沈ませた。シラスの傷ついた太腿が目に入る。神からの警告のような、赤黒い肉の盛り上がり。だが、私は怯まない。シラスの屹立した部分を口に含み、慈しむ。子犬が骨をしゃぶるように、丹念に、貪欲に。少女が蜂蜜の飴を舐めるように、甘やかに、柔らかく。
 「神父さま・・・・!」
 シラスが目を剥き、息を乱す。私の頭を抱えこみ、腰を激しく上下させる。亀頭が喉まで差しこまれ、危うく窒息しそうになる。シラスは背中を反らせ、苦悶のそれにも似た快楽の悲鳴を上げる。天にまします主の耳にも届かんばかりに。
 シラスが迸らせた私への愛を、私は残らず飲み干した。一滴の雫も取り零さず、執拗に舐め取った。
 シラスは軽い失神に近い状態でシーツの上に横たわっている。半眼にした目尻に、一粒の涙が水晶のように煌めくのを私は見る。

 それからも一頻り、甘美な時間を分かちあってから、私たちは漸く体を休めた。
 シラスは私の腕を枕に、再び先に寝息を立て始めた。穢れなき魂と同じ、雪よりも白く、清らかなその肌に、月の光さえ寒々しく、痛々しい。
 私は愛する者の上にそっと身を屈め、囁く。
 「おまえは天使だ・・・・」
 と。

Fin.

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

清輝玉臂寒からん。
シラスの為にあるフレーズだ。


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