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あいつ

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  昭和を揺るがせた大事件を元にしたドラマ
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  元警視とあいつのお話
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 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 全話見た人推奨ダヨ!!
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
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「心中・・・? そんなんじゃねえよ、俺は死なねえ!!」

銃声と共に目の前の男は崩れた。もうあの不気味な笑い声も聞くことも無い、あの声を聞くことも無い。
もう二度と、バカな話を聞くことも無いのだ。なのに、清々した?そんな気持ちにはならなかった。
昔の自分なら、きっと清々するはずなのに・・・・・。残ったのはただの虚無だけ。

(・・・・・・・ごめん、あとで・・・・・・俺も絶対、行くからさ・・・・。)

この”戦争”を終えて、胸を張って生きていくんだ。誰にも邪魔されずに。
ヨロヨロと外へ出ると、”戦争を仕掛けられた相手”が今か今かと時機を窺っているのが見えた。それも、大人数で。
たった一人にこんなにてこずりやがって。とっとと打ちやがれってんだよ。

「お兄ちゃん!」
「いずみ!走れッ!!!走ってみろ!!!」

車椅子から飛び出して、”戦争”を始めた男の元へ女は走る。
主人公の窮地に、たった一人の血を分けた妹が、歩けなかった妹が、始めて大地を踏み、そして大地を蹴るのだ。
どっかの三文劇のお涙頂戴シーンさながらに。

「・・・お兄ちゃん・・・もうやめて。」

彼女はそう耳元で呟くと、ぎゅっと抱きしめた。いつの時代も悲劇の主人公を愛した女は死ぬ運命だ。
そう、台本通りに・・・・・・・・・・・・。

(ごめんな、いずみ・・・・)

撃てっ!という声と共に何発かの銃声が耳をつんざき、抱いている彼女から伝わってくる振動が自分を襲った。
ぎゅっと背中を掴んでいた腕の力は徐々に衰え、腕の中にあった温もりは消え、男を見ていた瞳が遠くを見つめている。この瞳が自分の瞳と合う事はもうないだろう。
ほんのちょっと前までは肉体的には何の問題も無かった、いや、寧ろ順調だった、その命は一瞬で失せた。
今ではただの動かない塊、役に立たない人形となった”それ”はボトリと地面へ崩れ落ち、彼はライフルを構えた。

「俺はまだまだ死にやしないぜ!この”戦争”を終らせるのさ!ほらほら、ポケーっとしてんじゃねえよ!」

男は、照準なんて合わせちゃいないその銃を笑みを浮かべて引き金をひく。銃弾が風を切り、彼方へと消えていった。

「こいつ、狂ってやがる・・・・。」

そんな言葉が聞こえた気がした。狂ってる?狂っちゃいない。狂ってたらとっくにこんな所から逃げ出してる。
いや、狂ってたらとっくにこんな奴ら一掃してるさ。
一瞬一瞬がえらく長く感じた。ただバカみたいにドラマみたいに撃ちあってるだけなのに。

(そういや、あいつとこんな場面のドラマに出たっけ・・・・。今頃、どうしてんだろう。)

よもや正反対の役で”演じる”なんて。皮肉なもんだ。
だが、その”他大勢”より悪くない。なんたって主人公なんだから。
ただ一つ違うのは、これが現実だって事だけ。簡単な事だ。ヘタな死を”演じなくて”すむ。

「ッ・・・・・・・・・・・」

どろっとした液体が身体を濡らすのを感じる。どうやら敵さんはやっと本気になったらしい。
ライフルを構える手に力が入らない。じわりとした鈍痛が身体を這いずり回る。
「・・・・・・バカ野郎!」

馴染みのライバルがふらっと立ち上がったかと思うと銃口を瀕死の男へ向けた。
さあ、主人公のフィナーレだ。

最高の笑顔を、勝利を勝ち取ったこのライバルに向けてやろうじゃないか。
そしてこの、俺の青春に・・・・・・・。

「刑事、ご無事で?」
「無事もクソもあるか。撃たれてんだぞ、まったく。で、全部で4人か?」
「ええ。可/門 良、可/門 いずみ、
それと付近に身元不明の遺体とみられるものと、廃船の中の野/々/村 修/二の遺体、あわせて4人です。」
「それと酒場のを合わせると6人か。大分派手にやってくれたもんだな。”戦争”を。」
「はぁ・・・・・・。」
「・・・・・・見せてくれるか?」
「はい、こちらへ・・・・・・・。」

不気味な笑顔を浮かべたまま息絶えた彼の両脇には、いずみと、野/々/村の遺体があった。
今にも3人が動き出しそうな気がしてならなかった。いつしかの孤児院の頃のように。

「ホント、狂ってる野郎です。コイツが3億円事件の犯人だなんて考えられませんね。」
「黙れ。」
「はい?」
「黙れって言ってんだ。」

(・・・・もう絶対に離すなよ。彼を。今度は、アンタが奴を振り回してやれ・・・・・。)

「・・・・・・・・・・・・・いてッ・・・アレ?」
氷のように冷たい地面が頬を凍らせる。ここがどのような場所かはわからない。
目をしっかり見開いているのに、見渡す限りの闇がそこにはあった。

「どこだよ・・・・・ここは。」
仰向けになって暫く考える。しがらみに疲れた人への理想郷か?それとも・・・・。

「野/々/村さん・・・・・いる?・・・いないか。」
彼の事なんてなんとも思っていないと信じていたのに、なぜか涙が頬を伝った。
後悔先に立たず?愛する者を手放した時、初めてその哀しみを痛感する。よくある話だ。

「なんだってんだよ、ちくしょう・・・・。」
頬を伝う涙を自らの手でぬぐおうとすると、その手がガクッと宙で止まった。
暖かい何かが代わりに涙をぬぐう。

「案外、来るのが早かったじゃないか。」
その声と共にあたりを覆う闇は晴れていく。目の前にいるのは・・・・・。

「・・・・・・・あ・・・・・・。」
その顔を見た途端に何故だか顔が熱くなって、涙がとめどなく溢れ、そんな自分が恥ずかしくて両手で顔を覆った。

「許して・・・・くれないよね・・・・もう・・・。いや、許して・・・くれなんて言わないよ・・・・。」
「そうだな・・・・。」
「ごめん、ごめん・・・・俺・・・・」
「謝るなら、その手をどかせ、良。」

おそるおそる手を退けて、目を開くといつもの笑みを携えている彼がいる。
そう、いつもいたのに。

「・・・・・・・野/々/村さん・・・・。」
起き上がり、彼の首に腕を回す。

「許してくれなくたって良い。でもそのかわり、今から俺がアンタのいう事なんでも聞いてやるよ。」
「随分と素直じゃないか。気味が悪いな。」

彼は回した腕を軽く握ると笑いながら首を横にふった。
”ありえない”と言うように。

「そうだ、ここがポール・C・ハーパー.Jrなんだろ?」
「この何も無い殺風景なココがか?ここは、きっと”あの世”なんかじゃない。”下”だぞ。」
「だから俺がおったててやるって!ここが下?上等じゃないか!
・・・・・・・俺にとっちゃ、生きてる時のがよっぽど地獄だったしさ・・・・・・」

クククッと彼が笑い出す。あの聞きなれた笑い。思わず一緒に笑った。
何でも無い事が何故こんなに幸せなのだろう。何故、こんな簡単な幸せに気付かなかったのだろう。
最初からこんな風にできたら、運命は変わっていただろうか・・・・・・。
溢れる涙を見られたくなくて、ぎゅっと抱きしめる。適当な話題でもこしらえて。

「これから、どうするの?」

新しい自分として生まれ変わってやろう。彼が言ってたように・・・・・。

しかし、結局、良の性格がいつも通りになったのは言うまでもない。

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 | | □ STOP.       | |
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 | |                | |     ピッ   (・∀・ )  このドラマを作ってくれた方は神。所謂、ゴッド。
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 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |


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