Top/32-341

千昭×功介 2

>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )前回の続きです。

「・・・・・・・・・・・・。」

あぁ、そうか。これがあれか。
自分にとって価値のあるもんを手にしたことのある奴だけが知ることのできる感覚。
これが、

嫉妬、執着心、あるいは独占欲、所有欲、またの名を、支配欲――。

そうか、つまり俺は・・・。

「なぁ、功介。」
『ん?』

信頼とか友情とか愛とか思いやりとか、俺の世界にはなかった。
あったのかもしれないけど、少なくとも俺はそんなのとは無関係だったんだ。
俺は誰も信頼したことがないし、誰からも信頼されたことがない。
誰かに期待をかけたこともないし、かけられたこともない。
誰かを好きだとか、守りたいとか、愛してると感じたこともなければ、当然、
愛したいとも愛されたいとも思わなかった。

功介、お前と会うまではさ。

俺はこんなに崇高なもんを今まで手にしたことがなかったんだ。
こんなにも誰かに愛情を注いでもらったことは、お前の前にはただの一度だってない。
そんな奴が、愛されることの喜びを知ってしまったら、どうなると思う?
愛したいなんて望んじまったら、どうなると思う?

お利口さんで博愛主義なお前には全く理解できないだろうから、教えてやるよ。

「・・・って言ったら、お前笑う?」
『え・・・?』

与えられた愛情とか関心が、少しでも他の誰かに行くことが気に入らねぇから、
自分以外の誰かにお前を所有されるのがマジで気に入らねぇから、

「お前の全部が欲しいって言ったら、お前笑う?」

思いはおろか、心も身体も、視線の一つでさえも、誰にも渡したくねぇって言ったら、
お前、笑う?

『千昭・・・?』

笑えねぇよな。お利口さんで、博愛主義で、ものわかりがよくて、察しのいいお前のことだ。
こんな状況、とてもじゃねぇけど笑えねぇよな。

ベッドの上に座っていた功介に詰め寄り、じり、と壁際に追いやる。

『お前・・・大丈夫か?』

両肩をがっしりとつかんで視線を捉え、

「なぁ功介・・・・・もう1回しようぜ。」
『千昭・・・!やめっ・・・!』

強引にキスをした。

俺とお前、なんでこんなに違うんだろうな?
試験管育ちの俺と胎内育ちのお前。
肌の色も、声も、息遣いも、唇の感触も、指先の温度もまるで違う。
聡明さ、誠実さ、屈託のなさ、優しさ、俺はその一つだって持ってねぇ。

だから惹かれたんだ。

『千昭っ、やめろって・・・!』

振り払われた両手を喉元に持っていき、強く締める。

「やめねぇ。」

それでも抵抗しようともがくから、動けないように膝を鳩尾に2、3発。

『ぐっ・・・!』

ヘへ・・・まともにやり合ったら敵わねぇだろうけど、場数は俺の方が踏んでるはずだ、絶対に。
お前に人を殴るなんてこと、できないだろ?

苦しそうに喉笛をヒューヒューと鳴らしながら、こっちを見る。

「絶対に離さねぇ。離れていったら、許さねぇ。」
『な・・・ん・でっ・・・・れたち・・・・・・・・っ・・・!』

『しっ・・・ん・・・ゆぅ・・・だ・・・ろっ・・・!?』

「っ・・・!」

その言葉に、ドクリと心臓が波打って、手を放した。

あぁ、何やってんだ俺・・・!こんなことしたかったわけじゃねぇんだ・・・!

「わ、わりぃ・・!」

功介は、手を放したのと同時にずるりとベッドに崩れ落ち、肩を大きく上下させながら、
まだヒューヒューと喉で息をしていた。

「やっ、これは・・・なんっつーか、その・・・・・・。」

なぁ功介、笑って許してくれよ、いつもみたいに。

「冗談だよ、冗談!プロレスごっこだ・・・!」
『・・・んで・・・?お前・・・・。』
「え・・・?」

おい・・・そのトーンやめてくれよ。そんな目で見ないでくれ。いつもは許してくれるだろ?なぁっ・・・!

「な、なんだよ、つっこめよ!じゃねーと俺がさみぃだろ・・・!」

笑って許してくれって!いつもみたいに・・・!頼むから・・・!

『・・・・・・・・・帰ってくれ。』
「功介・・・!」
『ごめん。』

『お前とはもう・・・・付き合えねぇよ・・・。』

「っ・・・!」

・・・・・・・あぁ、これが、喪失感。大切なものを失った時に感じる絶望。
大切な人を裏切った時に感じる自分への怒りと挫折感。

俺は、今まで自分が孤独なんだと思っていた。
親が子を思う愛情も、友が友を思う愛情も、女が男を、男が女を思う愛情も、
何一つ知らない、味わったことのない俺は、孤独なんだと思っていた。
でもそれは間違いだった。

俺は今、本当の孤独を知ったんだ。

大切な人が離れていってしまう。手にした温かさがもう感じられなくなる。それが、孤独。
独り取り残されたのだと、怖くて怖くてたまらなくなる。それが、孤独。

全て失ってしまうのなら・・・・・それよりは・・・・!

時間を戻せ!とにかく戻せ!でもどこまで・・・?どこまで戻ったらいい?
出会わなかったらよかったのか?いや、それは違う。それは問題の根幹から大きく外れてる。
じゃあどこからやり直す?間宮、津田と呼んでいたくらいか?紺野と呼んでいたその辺か?
ミスドに寄る前?野球を知る前?携帯の番号を交換する前か?
違う!違う!そんなとこじゃなくて・・・!

「・・・・!」

あぁ、そうだ。あん時だ。あの時に戻りさえすればいいんだ・・・。

『くくっ、やめろよっ。それを見れるのは俺と寝ることができるラッキーな女だけだ!』

ここだ、ここでよかったんだ・・・。
あぁ、よかった。早まって、ずっとずっと前に戻ったりしたら、過ごした時間の全てと、
あいつが俺に教えてくれた色んなもん、大事なもんの何もかもを失ってしまうところだった・・・。

「なぁ、功介・・・・・。」
『ん?』

鼻先が触れ合うほどの至近距離で、功介は、先ほどと同じように、
俺の意図を確認するかのように目を丸くして、右、左と視線を泳がせる。

「頼むからさ・・・・・一生のお願いだからさ・・・・・。」

「キス、してもいい?」

『千昭・・・・・。』

全部手にしようとしたら失ってしまう。だったら、失うくらいなら、全て失ってしまうのなら、
手に入れるのはほんのひと時でいい。

『お前・・・大丈夫か?』
「大丈夫だからさ、頼む・・・。」

俺たち、

「親友だろ?」

馬乗りになって押さえつけていた両手を解くと、功介は、もう一度だけ右、左と確認するように俺の目を捉え、
自由になった右手を静かに俺の後頭部に置いて、

ゆっくりと、引き寄せてくれた。

あぁ、どうして俺は無理矢理手にしようとしてたんだ。
こいつの掌も、唇も、温かくて、どこにも逃げて行こうとはしてなかったのに。

功介の携帯が、フローリングの床の上で、ブブブ、と鳴る。今度は、びっくりしなかった。
それを機に、功介が唇を離す。

『・・・・・・・これで、いいんだろ?』

困ったように笑う。

あぁ、その表情が、本当に本当に好きなんだ。

『サンキュー・・・・・・。』

身体をどかすと、功介は携帯を手に取り、画面を一目すると、
何度かボタンを押して折りたたみ、ベッドの上に放ってから言った。

『真琴、家の用事で来れねぇんだって。』
「そっか・・・・・今度は早めに連絡してやらねぇとな。」
『あぁ。』

傷つけちまうくらいなら、失望させちまうくらいなら、手に入れなくていい。
誰かのもんになってもいい。

でも、やっぱそれだけじゃ悔しいから、

「なぁ、お前にプレゼントがあるんだけど。」
『なんだよ、誕生日でもないのに気持ち悪いな。』
「人がただで何かしてやってんのに文句言ってんじゃねぇ。・・・・・ほら。」

掌に乗せて差し出すと、目を丸くして言った。

『ピアス?』
「そ、ピアス。」
『なんでまた・・・。』

誰かのもんになってもいいけど、やっぱり一部は俺のもの。

さすがに首輪とまではいかねぇからな。

『それは受け入れたとして、赤って。俺そんなイメージ?赤似合う?』
「似合わねぇ。」
『なんだよそれ・・・。』

だってそれ、元々俺のためのもんだもん。赤は俺のイメージ。俺の好きな色。
お前には不自然なほど似合わねぇ。っつーか、不自然だ。そこだけお前じゃないみたい。

だからいい。

他人の目にはこう見える。
「きっと誰かからもらったものだ。」

そう、そして功介がそれを肌身離さず着けている以上、誰も完全に所有することはできない。功介には、俺という存在がいるのだと、見せつけることができる。
功介は俺のものだと、誇示できる。

「なぁ、開けてやるよ。」
『お前やったことあるのかよ?』
「びびんなよ、俺の耳見てみ。」
『・・・穴一つねぇじゃねぇか!』
「いいから貸せって。」
『失敗したらどう責任取ってくれるんだ?』
「お前医者だろ?それくらい自分でなんとかしろよ。」
『医者なのは親父!』

5分くらいそんなやり取りを続けて、功介をイスに座らせた。

「なぁ、冷やすもん持ってねぇ?」
『貫通させるんだ、そんなのいらねぇよ。オキシドール塗るだけで充分だ。
 それよりちゃんと一気にやれよ。絶対に途中で止めたりすんなよ。』
「ヘヘ・・・。」
『あ・・・!なんだその笑いは!?やっぱやめ・・・!』
「いーから・・・!」

またそんなやり取りを5分くらい続けて、

「じゃ、いくぞ。」
『あぁ。』

ブツリ、と肉を断つ。

これで俺のもんにでもなっとけ。

『・・・・・・終わった?』
「完璧。」

これで、誰がお前に触れても、誰のもんになっても、完全に所有されることはない。
お前の一部を支配することで、俺はお前を所有している。
これはお前と繋がっているための一部。忘れさせないための一部。

俺がお前の側にいた証し。愛した証し。

『ありがとな、千昭。』

「・・・・・・・・・・・・・なぁ、功介。」

このタイミングで、好きだ、とか言ったら、お前笑う?

「あのさぁ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ピアス、俺がいいって言うまで外すなよ。」
『散々溜めといてそれかい!・・・・・・・ったく、何言ってんだよ。』

『当然だろ。』

功介、お前のそういうところがほんとに好き。っつーか、

「愛してる。」

俺は誰も信頼したことがないし、誰からも信頼されたことがない。
誰かに期待をかけたこともないし、かけられたこともない。
誰かを好きだとか、守りたいとか、愛してると感じたこともなければ、当然、
愛したいとも愛されたいとも思わなかった。

愛したいとも愛されたいとも、愛されてるとも思わなかった。

功介、お前と会うまではさ――。

STOP ピッ ◇⊂(・∀・ ) 終わりです。

つまり何が書きたかったかというと、千昭は猟奇的で功介は受動的・・・ということではなく、
千昭にはタイムリープという選択肢があるということでした。浅い話で申し訳ない。

ここでエロパロ版を読み返すとまた違った楽しさを味わえるのではないかと思います。
ゴムで遊んだ話なんかや、真琴に話せない話のことだったり。
つまり真琴に話せない話とは、果穂ちゃんに拒まれたことではなく、千昭とキスしたことだったりします。
(真琴や千昭の踏み台になっている功介が可哀相で仕方ないわけだが)

読んでくださった方ほんとにどうもです。長々とすんませんでした。


このページを共有:
  • このページをはてなブックマークに追加 このページを含むはてなブックマーク
  • このページをlivedoor クリップに追加 このページを含むlivedoor クリップ
  • このページをYahoo!ブックマークに追加
  • このページを@niftyクリップに追加
  • このページをdel.icio.usに追加
  • このページをGoogleブックマークに追加

このページのURL:

ページ新規作成

新しいページはこちらから投稿できます。

TOP