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刑事は駆け引きが出来ない

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

アオ猫とハチ王子刑事とプラスアルファでぐだぐだ妄想。

 道端でカエルが干上がっているような暑さの中でも、不思議とアオ猫邸涼しげだ。
 いつのものごとく、取り立てて用もないのになぜかやってきてしまったハチ王子君は
 案内されるがまま居間に通され、いつものごとく暇そうなアオ猫の話し相手をさせられていた。
 勤労少年なトラと君は暇を持て余す男二人の相手をしている時間はないらしく、
 お茶受けを出すととっとと部屋を出て行ってしまっている。
 毎週のように顔をつき合わせているアオ猫と今更話すこともないハチ王子君は、
 気まずさを紛らわすためにトラと少年お手製のアイス珈琲をずず、とすすった。
「こんなにちょくちょくやってくるとは、刑事というのも随分と暇な職業なんだねえ」
 書き物机の前に陣取って、上等な紙で折鶴を折っているお前に言われたくない。
 心の底からハチ王子君は思ったが、暇を持て余していたのは事実なのでずず、と珈琲を啜る。
「実は君、僕のことが好きで好きでもうたまらないんだろう」
 猫が折鶴を折りながら自信満々な顔で言うので、八王子君はふん、と鼻を鳴らした。
(それは猫が八王子君を馬鹿にするときによくやる仕草だ)
「うぬぼれるなよ、良いのは顔と生まれだけのくせに」
「アオ猫のアレは天上の快楽のように素晴らしいという僕の社交界での評判は、
 へぼ刑事の耳には入らなかったらしい」
 八王子君に見せ付けるように猫は長い足を組みなおす。

「知らんなあそんな爛れた評判は!」
 八王子は向かいの男から送られる流し目を丁重に無視して、
 虎ト少年の淹れてくれたアイス珈琲の最後の一適を喉に流し込んだ。
 水滴の付いたグラスを握る彼の小指の先が赤くなっていたのを、猫が見逃すはずはもちろんない。
 そしてハチ王子君はかわいそうなことに自分が動揺しているのを猫相手に完璧に誤魔化したと信じていた。
「君はその評判が本当かどうか気にならないかい?」
「まったくこれッぽっちも、爪の先ほども気にならんな!」
 笑顔のアオ猫は要注意だ。見るものを蕩けさせる微笑の裏で、ろくなことを考えていない。
 ハチ王子君はこれまでの経験で身を持って、嫌というほど知っていた。
 もっとも、アオ猫がろくなことを考えていないときなんて殆どありはしないのだけれど、
 万年ヒラの彼ではそこまでは考えが及ばないのが悲しい。
「つれないな」
 ハチ王子刑事のけん制する眼差しに、いかにも悲しそうにアオ猫は目を伏せる。
 騙されやすいハチ王子君は長い睫が作る美しい影に一瞬見蕩れかけたが、
 これまでに何度もひどい目に会い続けてきたことをすぐに思い出しさらに目つきを険しくした。

「どうせお前のことだ、実践で試してみろとかそういう破廉恥な流れに持っていくにきまってる」
「おや、ハチ王子君にしては気が利いたことを言うね」
 アオ猫は淫蕩な笑みを浮かべながら妖しげな手つきで手元の折鶴をもてあそんでみせた。
 ハチ王子君は処女のように自分が言ったことで自らの頬を染めた後、
 我に帰って険しい目つきでアオ猫をにらみつけた。
「この際はっきり言っておくがな。僕にはその気は一ッ切、これっぽっちも、爪の先ほどもないんだからな!」
 ぴん、とティースプーンの先で指されたアオ猫の笑みがにんまりと深まった。
「……ヒデ隆とは接吻したくせに?」
「あ!あれは…その場の流れというか勢いというかだな……」
「日本男児がなにをごにょごにょと言い訳してるんだい。聞こえないよ」
 アオ猫の憎たらしいほど整った笑顔での挑発に、ハチ王子君の顔はますます赤くなる。
 握り締めた硝子のコップの中の氷がどんどん溶け出すほどだ。
(ああ、あの指先に滴る水を舌で舐め取ってやったらどんな顔をするだろう。)
 ハチ王子君は反論を考えるのに一杯一杯で、アオ猫が卑猥な妄想に耽っていることに気づけない。

「さて、どうなると思うかい?
 じゃれついてきた猫が怒った蜂に刺されるか、逃げ遅れた蜂が猫に落とされるか」
「僕はどこからともなく鶯がやってきて猫の関心を持っていく、に賭けますね」
「一緒のものに賭けたら賭けにならないじゃないか」
「まあ、もう少しは放っておきましょうよ。こんな熱い中にあの二人の傍には近寄りたくありません」
「それもそうだ。せっかく土産に持ってきたアイスクリンが溶ける前に、我々だけで一緒に食べてしまおうか」
 ハチ王子刑事は刑事の癖に観察眼というものが殆どそなわっていないので(彼にあるのは野性の本能だけだ)
 今日も今日とて、自分がアオ猫たちの暇つぶしの道具にされていることにまったく気づく気配もなく、
 今日もアオ猫邸は平和である。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

ぐだぐだ妄想に数レスお借りしました
と書き込もうと思ったら連続投稿に引っかかってしまったので携帯から


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