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君と出逢ってから

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                     |  弟妹誕生記念にボーカロイドの兄弟(妹)話
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 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  双子がPCに導入されたばかりの、レン視点レン×KAITO(レン→KAITO)風ギャグだってさ
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 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )   <ハツトウカダヨ!
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
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「此処がこれから君達の生活する場所だ」
そう言ってマスターは俺とリンに一つのフォルダを与えてくれた。
「「ありがとうございます、マスター!」」
まだ変声期を迎えていないボーイソプラノと、同じ声域ではあるが、俺よりも甲高く威勢の良い声が重なる。

画面の向こう側にいる自分達の主がパソコンからログオフしたのを見計らって、リンがこちらを向いた。
「・・・ねえ、他のフォルダにはどんな人たちが住んでるのかな・・・」
妹の思わぬ第一声に、俺は目を丸くした。
「リン、お前まさかフォルダの外に出る気か?」
「だって引っ越してきた時、お隣さんに挨拶しない人はいないでしょ?」
「聞いたこと無いよ、そんなルール。大体どこで覚えてきたんだ!」
「インストールされる時に、一瞬触れたフォルダの中に入ってた“一人暮らし.txt”に書いてあったの。
・・・一人暮らしってことはマスターって学生かな?それともNEE・・・」
「いや、それ以上言うなって。俺達のマスターなのに空しくなるだろ」

越してきて早々妄想を撒き散らすリンを見て、俺は大きく溜息をつき肩を落とした。
この双子の妹と、これから先ずっと此処で生活していくのは、相当骨が折れるだろう。
よく子供の割に冷めていると言われた性格通り、どこか遠くから自分達の今後を案じている自身に気づき、俺はリンに背を向けた。
その間もリンは延々と喋り続けている。姉がどうだの兄がどうだのと訳の分からないことを口走っているが、俺には関係のない話だ。
そう思って無視を決め込んでいると、痺れを切らしたのか、リンは声を張り上げた。
「レン、早くみんなに挨拶しに行こうよ!!」
「でもマスターに外出許可もらってないし・・・」
「私達は“アーティスト”なのに、これぐらいのことで自由を縛られてどうするの!!」
「まあそれもそう―、って、今のはまた別の話じゃあ・・・」

眉間の皺を解いて振り返ると、そこにはリンの姿はなく、床にポツンと台詞の入ったWAVEファイルが転がっていた。
ご丁寧に悪戯書きしたテキストファイルまで添付してある。
「・・・あいつ・・・!」
俺は拳を握り締めながら、口端を引きつらせた。

逃走したリンを探すため、結局自分もマスターに指定されたフォルダから出る羽目になってしまった。
「リンのやつ・・・一体どこまで行ったんだ?」
とりあえず隣のファイルから順番に覗いてみてはいるものの、足音一つしない。
こんなのが毎日続くのかと思うと本当に先が思いやられると、疲れた足を引きずりながら次の部屋に入ろうとした。

「「うわっ!!」」

突如目の前に現れた黒い影に驚いて、俺は後ろに倒れ尻餅をついてしまった。
「だっ、大丈夫!?」
頭上から聞こえた声は、向こうが膝を折ることで、自分の顔の正面まで来ていた。
自分より少し低い、けれど透き通るように綺麗な声に惹かれ、視線を上げる。
少し紫がかった青い髪に、同系色のラインが入った白い服、長いマフラー。
自分よりも色素の薄い肌に細い眉、そしてアメジストの瞳。
リンや自分とは真逆の落ち着いた、けれど妙に心惑わす色調と端正な顔立ちに、思わず喉が鳴った。

「君、怪我はない?」
「大丈夫―、です」
「良かった。こんなところに来るのはミクかメイコぐらいなんだけど・・・君みたいな子が来るのは珍しいね。」
青年はそう言って困ったように眉尻を下げ、苦笑する。
俺はその表情から視線を外せずに、彼の伸ばしてきた手を掴み、立ちあがった。

「どの部屋から来たの?」
「え、あの・・・今日新しく作られたこの階層の一番奥にあるフォルダで・・・今は外に飛び出していった妹を探してるん、だけど・・・」
自分でも笑えるほど気持ちが上ずり緊張している体に、無性に情けなくなる。
そして自分はこんなに人見知りをするタイプだっただろうかと思索した。
「そうなんだ、お互い妹がいると大変だね。僕はカイト、これからよろしくね。」
「ヨロシク・・・」
「妹さんは僕が探しておくよ。君はもう部屋に戻っておいた方が良いんじゃないかな」
「何で?」

単純に不思議に思って聞き返しただけなのに、この反応は予想だにしなかったのか、カイトは面白いほど慌てふためく。
しばらくして一度咳払いをしてから、「マスターの趣味で、あまり良くないフォルダもあるから」と、何故か恥ずかしそうに答えた。
そんなカイトをいつの間にか可愛らしいと感じている自分に気づき、いたたまれなくなって無理やり別のことを考えようとしたが、
それはカイト本人の手によって妨げられた。

「外は危ないから・・・ね?一緒に戻ろう。」

絶品の笑顔を向けられた上に頭を優しく撫でられ、一気に耳まで熱を持つのが分かった。
このまま甘えられたらどんなに楽だろう。しかし繋がり一つ持たない他人相手にそんなことが出来るわけがない。
やたら大人びてしまった自分の理性を、今ほど後悔したことは無かった。

「ああ~~っ!!!」
雰囲気を乱す、耳に痛いほど大きな声の元を探ると、リンが遠くからこちらを見ていた。正確には、俺の目の前にいるカイトをだ。
猛スピードで走り寄るリンを見て、俺は少しカイトと距離を取る。あいつがあんな風にはしゃぐ時は碌な事がない。そう思っていた矢先、

「カイトお兄ちゃあああん!!!」
ドスッと鈍い音を立てながら、リンが目の前の青年に抱きつく、というよりも力の限り押し倒していた。
続いてどさっ、とサンドバックが横たわるような音がして、俺は顔を歪ませる。
「リン!お前今までどこ行ってたんだよ!大体カイト“お兄ちゃん”って何だよ!あと今妙な音したぞ!!」
一瞬のことでまとまりきらない思考を全てぶちまけ、肩で息をした。
「あっ、レン、こんなところにいたんだ。さっきメイコお姉ちゃんとミクちゃんに会ってね、教えてくれたの。
この人が私たちのお兄ちゃんのカイトさんなんだって!」

「は・・・?」
数秒してからようやくリンの言葉の意味を理解した俺は、すぐに部屋を飛び出し、表札に眼をやった。

[ VOCALOID 01 ]

・・・開いた口が塞がらないというのは、こういうことなのか。
自分達がVOCALOID02だから、VOCALOID01であるカイトは確かに自分の義兄に当たる。
数秒前まで他人でしかなかった相手が、突然家族同様の存在になった衝撃に、俺はただ呆然とした。
しかしその戸惑いが喜びに変わるのに、そう時間はかからなかった。
今まで募っていた不安や不満は、まるで最初から無かったかのように薄れ行き、また別の感情が噴水のように湧き上がるのを、俺は高鳴る心拍数に紛れて感じていた。

これから先、此処で日々を過ごしていくのも、そう悪いことでは無いのかもしれない――。
リンに抱きしめられ気絶しているカイトを見ながら、俺は静かに笑みをこぼした。

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 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 弟相手には「僕」ってことで、表札=フォルダ名ってことで・・・オソマツサマー。
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
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