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SP2話後

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  SP2話後辺りのヲガタ×カヲルだよ
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 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  SP続いて申し訳ない
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 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 5年振リ位ニ文章
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ) 書イタヨ
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
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「井ノ上ぇ今日暇?飲み行かない?」
「あーすんません、今日は予定あって…」
チッと笹元の舌打ちが聞こえる。黙っていれば相当な美人なのに、
なんでこんなにもこの先輩は男らしいのだろう。
VIPの予定にキャンセルが起きて、久しぶりにある事すら忘れる定時に上がれる事になった。
飲みに行きたい気持ちも勿論あるのだけど。
「じゃあいいや。今度奢んなさいよ。お疲れー」
「…お疲れさまです」
こちらの返事は聞こえているのかいないのか。次なるターゲットは山元に移ったようだ。
井ノ上はぼんやりと山元が笹元に引きずられる様を見ながら、
久しぶりに娘と会えるという石駄と挨拶をすませる。
すると、入れ替わるように呼び出されていた係長が帰ってきた。
「尾方さん」
「俺もこれで今日は上がりだ。井ノ上は?帰らないのか」
「…今日家行っていいすか?」
「お前が良ければ」
にやりと笑って、余裕のある大人の態度が気に食わない。
でも言葉の真意くらいシンクロなんかしなくとも知っている。
―何時振りだろう。二人の夜を過ごすのは。

背広をハンガーにかけて、ネクタイを外したら、そのまま誘導されてソファに押し倒される。
「ちょっ…急すぎません?」
「明日も仕事だからな。仕事に支障を出すわけには行かない」
「全然ムード無いっすね」
「ムード出してからでいいのか?」
「っ!!い、いいです。続けて、下さいっ、ん…」
Yシャツの裾から尾方の右手が侵入してきて、肌を撫でながら、胸に辿り着き、突起を押し潰す。
左手は布の上から下半身をやわやわと遊ぶように触っている。
自分で意識するまでもなく、勝手に尾方さんとシンクロしてしまい、
快感と興奮で感情がコントロール出来なくなる。
「ん、あ、ぅ…尾方さ…っ」
「ムードが欲しいなら名前で呼べばいいだろう」
(狡い。卑怯だ。自分だって呼べと言っても滅多に呼んでくれないのに)
ぎっと睨み付けた途端、また尾方さんの意識が傾れ込んでくる。優しく動く指。肌の温度。熱い吐息。
いつもより早い心臓の鼓動だって、全部、解る。

(―好きだよ、薫)

あぁ、もう駄目だ。なんでこんな時に限ってそんな声が聞き取れるのか。
ちゃんと顔も見たいし、一挙一動も感じていたいのに、何も解らなくなる。
ただ快楽だけが頭を占領して、自分では何も考えられない。
「―っ!ぁ、そう、いちろう、さんっ!」

「…大丈夫か?」
「…大丈夫じゃないです…」
まだ、回数を重ねるつもりだったのに、思った以上に辛そうな井上に尾方はぎくりとする。
久しぶりの夜で、彼の体に負担がかかりすぎたのだろうか。
しかも彼は何日か前に目眩を起こし病院に行った身だというのに。
もっとやさしくするべきだったかと、落ち着かせるように髪を撫でると、
井ノ上は、うぅ、と腹を押さえ、こちらをじっと上目遣いで見つめながら口を開いた。

「尾方さん、俺お腹空きました。もー腹減って死にそうっす。卵焼き食べたい、甘いやつ。」

そうだった。彼はこうして空気の読めない面があるのだった。

「…俺はしょっぱい方が好きなんだけど」
「えー、甘いのがいいです。尾方さんの卵焼き美味しいんだもん」
「じゃ、朝はしょっぱいのだからな」
飯食ったら再開するぞ、と井ノ上の耳元で囁いて、ブランケットをかけてやり、
尾方は夕食を作りにキッチンへ向かった。

トントンと心地よいリズムで調理の音が聞こえてくる。
その音は中々熱の引かない体に心地よく響き、徐々に落ち着きを取り戻させてくれる。
手伝いに行きたかったが、横になっていても時折歪む視界のせいで、
立ってしまったら、目眩を起こしてしまいそうで立つ事が出来なかった。
(尾方さんに嘘ついちゃったなー…)
先日の検査の結果をただの過労と偽って申告した。尾方は全てを信じていなかった様子だが、
井ノ上は現場から外されるわけにはいかないのだ。彼から離れる訳には。

尾方と総理の関係も薄々は気付いている。
もしかしたら、尾方が優しくしてくれるのは、自分を利用しているだけかも知れない事も。
それに、自分だって、尾方が関わっていようと、総理への憎しみは消えない。
(…思ったより、堪えているのかも知れない)
行きたくも無い病院に行ったせいで、嫌な記憶ばかりが蘇り、薬を貰っても安眠出来る事は無かった。
総理に関わっているかも知れない尾形に、深入りするのは良くないと解っていても離れられない。
もう長い間一人暮らしはしているけれど、熟睡できるのは尾方が隣にいる時だけだ。

(尾方さんが居なくなったら、どうなるんだろうな俺は)

SPという職業柄、尾方の身に安全はないのだと、身に染みて解っている。けれど。
(それだけは、絶対にさせない)
自分の為に料理を作ってくれる尾方の後ろ姿に被るように、
フラッシュバックしてくる記憶を、抑え込むように片手で顔を覆った。

上げた手の動きに気付いたのか、尾方さんが料理の手を止めて、こちらを伺う。
「どうした?眩しいのか?眠かったら寝室で寝てていいぞ。メシが出来たら起こしてやるから」
「や、平気です。尾方さん、お母さんみたいっすよ」
「お前を産んだ覚えはないがな」
「じゃあお父さん」
「父親が子供を抱くのか?寝呆けてるんだろう、お前は。
いいから寝ていろ。眠れないんだったら、目を閉じていればいい。それだけでも体には違うからな」
俺はお前の親じゃないよ。そう言う癖に、子供を見るように柔らかく苦笑した顔で、
尾方さんはそう言って料理に戻った。

―甘い卵焼きは小さい頃から好きだった。
もういない、おれのお母さんとお父さん。
記憶にある姿と尾方さんはどちらにも似ていないけど、似ているんだ。
甘い卵焼きだって、母さんが作ったのより、尾方さんが作ったやつのほうが旨いけど。
厳しいけれど、総べて許してくれるようなやさしいところが。
似ているからこそ、失われるのが何よりも怖い。

もう目の前で誰かを失いたくない。そんなのは俺だけでいい。
護ってみせる。
尾方さんだけじゃなく、笹元さんや石駄さん、山元さんも。

もう誰も傷つかないように、親が遺してくれた能力で走り続ける。
自分がどうなろうとも、そんな事はどうだっていい。
そうだ、例え尾方さんが全て仕組んでいたとしても。

いつかは、一人でだって眠れる筈だから。

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