Top/30-63

天使と涙と

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                     |  レミゼラブル アニメと舞台と原作(多分)対応可
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 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  マリウス×アンジョ←グランテール
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 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ミンナノモエモウソウマトメ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
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その日はいつも通りにカフェに集まっていた。
今夜はやけにメンバーの集まりが悪かった。
フイイもジョリも来ていない。
「今夜は集まりが悪いな」
コンブフェールが空のグラスを眺めて言うとアンジョルラスは難しい顔をしていた。
「仕方ない、この天気だ」
先ほどまで大粒の雨が戸を叩いていた。
「雨があがっても、もう店じまいだな」
コンブフェールは椅子に掛けてあった上着を手にした。
「また降ってこないうちに僕も帰ろう」
「そうするといい。君の家は少し歩くからな」
アンジョルラスが応えるとコンブフェールは立ち上がった。
「そうする。おやすみ、アンジョルラス」
それを見てプルヴェールも立ち上がった。
「僕も帰るよ。君はどうする?」
アンジョルラスはまだテーブルに広げられたパリの地図を見詰めている。
「僕はもう少しここにいる」
少しばかり考え事があった。
懐中時計を見たがまだ時間はあった。
「じゃあ僕らは先に失礼する。また明日」
プルヴェールもカフェを後にした。
最後までクールフェラックが残っていた。
腕を組んで眉間に皺を寄せたまま地図を見詰めるアンジョルラス。
「君も早く帰るといい。あまり思い詰めてしまわないように」
軽く肩を叩くとクールフェラックもドアを閉めて帰っていった。

カフェは静寂に包まれた。
『今夜はマリウスは来なかったな』
クールフェラックがマリウスを連れてこのカフェにやってきた日のことをアンジョルラスはまだ忘れていなかった。
初めて会ったと思えない男だった。
頑固さなら誰にも負けない。
アンジョルラスはマリウスを弟のように気に掛けていた。
よくコンブフェールに『君はマリウスを構いすぎだ』と笑ってからかわれていた。
最初は危なっかしい弟のように扱っていた。
しかし、やがて慣れてきたのか人懐っこい笑顔を向け始めてからアンジョルラスの気持ちにも変化が見えてきた。
今まで感じたことのない感情の変化にまだ戸惑っていた。

グラスに残ったワインを飲みきった。
すると背後で音がした。
振り向くとグランテールが目を覚ましたようだ。
「ああ…もう夜だったのか」
アンジョルラスからは死角になっていたので寝ていることに気付かなかった。
「もうみんなは帰ったぞ」
軽く冷たい目でグランテールを見るとすぐに先ほどの体勢に戻した。
「いいじゃねぇか。一緒に飲むか?」
ワインの瓶をアンジョルラスの方に差し出す。
しかし振り向こうともせずに応えた。
「結構だ」
低く響く声。

その声がグランテールの背筋を駆け抜ける。
「冷たいな。最近ご無沙汰だからか?」
グランテールは立ち上がってアンジョルラスに近づく。
「いい加減にしろ。もう酒はやめておけ」
更に温度の下がった声で言った。
それが余計にグランテールの心を駆り立てる。
「わかった、酒はやめる…酒じゃなくてこっちにする」
そう言って座ったままテーブルに向かうアンジョルラスを背後から抱きしめた。
抵抗などしない。
「やめろ、酒臭い」
やはり揺るがない声。
「いいじゃないか。あんただって聖人ヅラしてたって人間なんだからよ」
グランテールは背後から抱きしめた手でブラウスのボタンを外した。
「やめる…つもりはないのか?」
軽蔑したような冷たい目でアンジョルラスはすぐ近くにあるグランテールの横顔を見た。
「やめないな。二人になるのなんて久しぶりだろ?」
「勝手にしろ」
アンジョルラスはやはり拒否しない。
どんな冷たい目を向けようが、拒否しようが、振り払おうが食らえついてきた男。
その美貌からは想像もできないアンジョルラスの内面を知った上でグランテールは憧れ、愛していた。
「ああ、この髪も肌も全部愛している」
束ねられた美しい髪に顔を寄せる。

そんな愛のささやきもアンジョルラスの心には響かない。
『マリウス…』
目を閉じても浮かぶのはマリウスの照れたような笑顔だった。
友だと思って慕ってくれている。
その関係を壊すのが怖かった。
グランテールはブラウスの袷から手を忍ばせると胸の突起を撫で始めた。
最初は優しく、そして強く。
「くっ…!」
アンジョルラスは強く目を閉じた。
そんな表情をもっと見たくてグランテールは一度手を離し、アンジョルラスの前に立った。
まだ椅子に座ったままだった。
グランテールは自分のベストとシャツを脱ぎ捨てると、アンジョルラスのボタンを全部外させた。
「こんなに綺麗な肌、パリ中探しても見つかるもんか」
そのままグランテールはアンジョルラスの胸に唇を寄せ舐め始める。
右手で腕を掴んで動けないようにして、左手で股間をまさぐった。
『一体何をしているんだ…』
意識が飛びかかる。
この厭世家は放蕩者だったためこのような行為に関しては非常に秀でていた。
グランテールは貪りついていた。
アンジョルラスは快楽の波に耐えていた。

しばらくして、不意にドアの開く音がした。
アンジョルラスは額に汗を浮かべて苦しそうにドアを見る。
そこに立っていたのはマリウスだった。

ドアのノブに手を掛けたまま呆然と立っていた。
「マ、マリウ…」
驚きアンジョルラスが名を呼ぶと我に返った。
「…なっ…!」
マリウスは二人を一度睨んだだけで背中を向ける。
「邪魔して悪かった」
それだけ言い残して背中はドアに阻まれて消えてしまった。
「マリウスっ!」
名を叫ぶとアンジョルラスは自分を抱き締める男を振り払おうとした。
「離れろ、グランテール」
しかし離れようとはしなかった。
「もう無駄だ。記憶は消せないぜ」
それは確かにそうだ。
しかし、この場に留まることはできなかった。
力ずくで蹴りを入れてグランテールの腕から逃れた。
「待てよ、マリウス!」
脱がされたブラウスを羽織った。
下はすぐに履けたので近くにあった上着を掴んだ。
そして椅子にぶつかったが、もろともせずに出て行ってしまった。
「アンジョルラス!」
むなしくグランテールの声が響く。
その声はもう届かなかった。
「くそっ…」
グランテールは腕から消えてしまった聖人を思い、床に拳をたたきつけた。

アンジョルラスはブラウスのボタンもかけ直す余裕もなく街に出た。
もう人の気配はない。
『どこだ?』
乾いたパリの空気も雨上がりで湿っていた。
『…あそこかもしれない』
アンジョルラスは思い立って走り出した。

セーヌ川に架かる橋。
その橋の近くによくマリウスはアンジョルラスと散歩に来ていた。
なぜかマリウスはそこに足が向いてしまった。
「何してんだよ」
マリウスの思考回路は混乱の極みにあった。
アンジョルラスとグランテールが…。
何も考えられなくなっていた。
今あるのは驚きと不可解な怒りだった。
グランテールがアンジョルラスに思いを寄せているのはABCに出入りしている者なら誰でも知っている。
しかしいつもアンジョルラスはつれなく、相手にしていなかった。
それがどうだ…。
「僕は…何に怒っているんだ」
握りしめた自分の手を見た。
ここに来るまでずっと握りしめていたため、赤くなっていた。
橋の欄干に手を掛ける。
「わからない…」
呟き、月を見上げる。雲は晴れて大きく輝く月が見えた。
やがて欄干にもたれ、川の流れを見詰めていた。

「マリウス」
声がかかる。
振り向くとそこには慌てて飛び出してきたままのアンジョルラスが立っていた。
「何を言えばいいか…」
アンジョルラスも混乱していた。
謝らないと。何に? 何故? マリウスはどう思ったのか?
ただ立ちつくしている。
そんな姿を見てマリウスの方はアンジョルラスの表情に見入っていた。
今まででも見たことがないくらい美しい人だと思っていた。
だが今の姿は硬質の美貌に人間としての苦悩に満ちていた。
「…すまん」
その苦悩の心から絞り出した言葉は謝罪だった。
マリウスは返事せずにそ表情を見詰めていた。
すると一筋、光るものがその美しい頬を流れた。
一筋の涙だった。
「謝らないで」
マリウスはそう言って手を伸ばし、涙の筋を指で拭った。
アンジョルラスは俯く。
自然にマリウスはアンジョルラスを抱き寄せた。
微かな震えが伝わる。
「そうしていいかわからないんだ」
アンジョルラスはそう言うと腕をマリウスの腰に回して抱きしめ返した。
「いいから…いいんだ」
耳元にマリウスの声がささやきかける。
それが初めてアンジョルラスがマリウスに触れた瞬間だった。

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