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金色の欠片

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                     |  モノノ怪 ハイパー×薬
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長い時の流れを渡り歩き、幾千、幾万のモノノ怪を斬ってきた。
全てのモノノ怪を斬り終えた時、役目を終わった自分はどうなるのか?あの男はどうなるのか?

今日もまたモノノ怪を斬り終え、異空間で男とすれ違い入れ替わる。
いつも通り、ただ目を合わせ、そしてお互いの居場所へと戻る。・・・はずだった。
男が、持っていた退魔の剣を投げてよこした。
「俺を斬れ、薬売り。」
唐突に男が言った。
「何を・・・・・・・・・?」
男の言っている意味が分からなかった。
「この世界からモノノ怪の気配が消えた。」
「今のが最後のモノノ怪ですか?だからって、あなたを斬る意味が・・・」
「俺はモノノ怪を斬る為に産まれたモノノ怪だ。それはお前も知っているだろう。」
「はい、あなたと出会った時に聞きました。」
「モノノ怪を恐れる人間達の思い。モノノ怪からこの世界を守り、自分の命を存続させる事を求める人間達の無意識。
その強い思いから俺は産まれた。それが俺の理だ。
真と理が消え、形のみのモノノ怪となった俺は、もはや自らの均衡は保てない。やがて我を失い暴走するだろう。
俺の力なら、この世の全てを滅ぼせる。この世をモノノ怪から守る為に産まれた俺が、この世を滅ぼしてしまうのだ。
そうなる前に俺を斬れ。」
「あなた、死んでしまうんですよ?」
「この世にモノノ怪は有ってはならぬ。俺が最後のモノノ怪だ。」
「俺にあなたを斬れと・・・・・・・・?」
「俺以外に退魔の剣を使う事ができるのは、俺の半身であるお前だけだ。」
「そんな勝手な事・・・・・・」
「今までモノノ怪を斬る事につき合せてすまなかったな。これが最後の俺の勝手だ。聞いてくれ。」

呆然とする薬売りの頬を何かがかすめ、頬から血が流れた。
男が飛ばした金色の札だ。
「暴走が始まっている。急げ。俺は、まずは器となっているお前を滅ぼすだろう。
早く俺を切れ!薬売り!」
「くっ・・・・・・・・・・」
「俺を祓え。そしてお前は自由になれ。」
赤い瞳が真っ直ぐ見詰める。
この男に迷いは無い。ならば、自分も迷う必要など無い。
決心し、退魔の剣を抜く。
しかし、自分の力では剣の威力を充分に引き出す事はできないだろう。
間合いを詰めようとするが、空中戦を得意とする男には近付く事もできない。
視界いっぱいの札を飛ばすが、男も同じく金色の札を飛ばし、札同士がぶつかり合い、両者の力が拮抗する。
戦うにつれ、体力が削られてゆく。避け切れなかった札で体が傷付いてゆく。
体のあちこちから血が流れ、息が乱れる。
札を壁状にして、男に向かって飛ばした。
男も金の札を同じ様に飛ばし、壁がぶつかり合い動きが止まる。
その壁を剣で切り裂き、男の懐へ飛び込んで行こうとしたが、そこに男の姿は無かった。
「居ない?」
次の瞬間、背後から羽交い絞めにされた。
逞しい腕でぎりぎりと締め付けられ、身動きが取れない。
薬売りの袖から、小さく畳まれた札が転がり出て、開くと同時に男の顔に飛んだ。
「!」
男が一瞬怯んだ隙に、もがいて腕から抜け出した。

この男を倒す事ができるのだろうか?
自分もこの世界も、この男に滅ぼされるのかもしれない。
地に膝を付き、手を付いた時に、右手の指輪が視界に入った。
以前、護身具として、男から付けられた物だった。
モノノ怪から薬売りの身を守る為。幾千ものモノノ怪と戦ってゆく為に。
遠い昔、男と初めて出会った時、これからの長い年月を男と共に過ごし、この世に溢れるモノノ怪を斬る事を誓った。
「モノノ怪はこの世に有ってはならぬ・・・・・・・そうですよね。」
顔を上げ、立ち上がった。
札を男に向かって飛ばした。男も同じく札を飛ばしてくる。
薬売りの札は突然大きく弧を描き、男の札を避けて男の背後へと周る。
「何!?」
札は男の背後から、男へ絡み付き、動きを封じた。
男が飛ばした札は真っ直ぐ薬売りへぶつかってきた。
「くぅ・・・・・・・・・っ!!」
体中への衝撃で目が眩みそうになる。
だが休んでいる暇は無い。
体勢を立て直し、痛みに耐え、動きを封じられている男へ斬りかかって行った。

「ぐっ!」
男の顔が苦痛で歪む。
男の肩口へ斬り込んだが、刃は肉に食い込み、肩で止まってしまった。
がっちりと食い込み、これ以上斬り込むことも、抜く事もできない。
やはり自分では退魔の剣の威力は引き出せない。
男の赤い瞳が真っ直ぐに見詰めている。
剣を放して逃げようとした時、両手を男の両手に剣の柄ごと握り込まれてしまった。
もはや逃げる事もできない。
これで終わりか。そう思った時
「うおおおおおおおおおおおおーーーーーーーーーーーっ!!」
男の唸り声と共に、刃が振り下ろされた。
肉を斬り裂き、骨を断つ感触が手に伝わり、視界が血しぶきで赤く染まる。
刃は男の胸まで振り下ろされ、斬り裂かれた傷が大きく開いている。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
血の気が引き、呆然とする薬売りを見詰める男の顔は、僅かに微笑んでいるようだった。
男の顔が近付き、その唇が薬売りの唇に触れるその瞬間、男の体も血しぶきも金色の欠片となり飛び散った。
最後のモノノ怪は消滅した。
男が消え、薬売り一人になった空間で、金色の欠片は空間を満たし、座り込む薬売りに降り注ぐ。
「自由になんかなっちゃいませんよ・・・・・・・俺の心はあなたに囚われたままですよ・・・」
輝きながら降り続ける欠片を、薬売りはいつまでも見詰めた。

それから時代は少しだけ進んだ。
この時代にはもうモノノ怪は無く、人の心にも闇の世界への恐怖は無い。
薬売りは大きな荷物を運びながら、人々が行き急ぐ中を、相変わらず薬を売り歩いている。
ただ、顔の模様と牙は無く、耳も普通の人間の形だ。
指にはあの指輪が輝く。
唯一消えずに残った、あの男が存在した事を示す物だ。
「怪は常にこの世界に存り、人間の欲や業も尽きる事は無い。
またいつかこの世界にモノノ怪は満ちる事でしょう。
その時には、またあなたが斬りに現れるかもしれませんね。
期待せずに待っていましょうか。それまで本当に『ただの薬売り』でもやりながらね。」
薬売りは指輪に語りかけ、そっと唇を触れさせた。
指輪に温もりが伝わっていった。

(おまけ)
人間になった薬売り描いてみましたが、誰だこれ状態になりました。(白衣姿)

1886.jpg

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