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ビリハム

ビリハムです。エロなし。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

「……っくぅ!」
 機体に大きな振動が加わる。後ろの背もたれに叩きつけられて、
グラハムは呻き声をあげた。人類革新連盟の主力機であるティエレンに圧倒されたのだ。
 地上戦で力技で押し切るには、フラッグの重さでは到底敵わない。だからフラッグの
機動性を重視したライフルによる攻撃で空中からの射撃攻撃で対処していたのだが、
ティエレン高機動型による空中戦であっさり取り囲まれ、地に叩きつけられてしまった
のだ。その衝撃で、グラハムは一瞬怯んだ。だがすぐに体勢を取り戻し、地面に推力を
保つ。ライフルは先ほどの攻撃で海に落としてしまったようだ。ティエレン相手に、
あまり接近戦はしたくなかったがここは仕方がない。グラハムは咄嗟の判断で左腕の
プラズマソードを抜き放ち、ティエレンと対峙した。
 背中を思ったより強く打ち付けてしまっていたようで、未だ激痛を伴っている。それでも
向かってくるティエレンに対して、グラハムはプラズマソードを一閃させた。機動力では
こちらが勝っている。力技を防げばここはまだ勝算がある。第一、この無人島で
こんな戦闘になったのも、元々は人革連がユニオンの領海に侵入したことが
きっかけなのだ。
 そこで大人しく退散すればいいものを、燃料が不足しただのなんだのと、ごねた所為で
こうなってしまったのだ。グラハムはこの件で出動を言い渡され、心底呆れていた。けれど、
上からの命令には逆らえない。所詮、前線に出るパイロットの扱いなどそんな
ものだ。なにより、そんなくだらない理由であれど、前線に出て戦えるというのはグラハムに
とってとても喜ばしいことである。フラッグを駆り、敵と剣を交わらせることによって、
相手のパイロットとぶつかりあうことができる。自分自身の実力を試すことができる。ある種、
戦争とは美学なのだ。芸術と言ってもいい。それを口に出すことはないけれど、
グラハムは戦うことがとても好きなのだ。その好戦的な性格を買われて、
未だ前線に留まっていると言ってもいい。特殊部隊隊長と言う階級をもちながら、
戦う楽しさを忘れられず、出世する道を自ら絶っているといってもいい。

 最近は新たな戦闘相手を見つけ、まるで新しいおもちゃを見つけた子供のように、
そのMSを追っている姿は、見ている側としても微笑ましく思えてくる。カタギリは、
コーヒーを片手にグラハムが興味を持った例のMSを調べていた。
「ガンダム……付着した塗料はどこの国家でも使用していない独自のものか。――しかし、
成分になんら変わったものは見られない。なるほど、目に見える部分、捨ててもいい部分に
は目新しい技術は使われていないということだな。周到なやつらだ」
 キーボードを操作しながら、カタギリは呟いた。例のMS――ガンダムに興味を持った
グラハムに、少しでも協力しようと、カタギリもガンダムの情報を調べるのに懸命
だった。あれに使われる技術が明らかになれば、他の国家を抜きん出て自国に貢献する
ことができる。
 ――グラハムは、あの機体を見ただけで機体がどう動作しているのかを予測して
みせた。そして、それは八割方当たっていると言えよう。あのガンダムの散布する粒子は
どうやら、推力や、武器を使用するためのエネルギー、そして電波を妨害する作用が
あると推測される。これは大きな手がかりになりそうだった。
 あれだけの才能を持ちながら、グラハムは未だ戦いを好んでいる。特殊部隊に
配属されているのだから、このような非常事態でない限り、出撃命令はくだらない。今、
搭乗している空母艦。艦長を初め、ここのクルーたちはグラハムに依存しきって
いる。確かに実力はある。この程度の戦闘で死んだりもしない。だが、こんなところで
彼を酷使して、本当にいいものだろうか。グラハム自身もこの戦闘の理由に呆れて
いた。だが、それ以上にグラハムに沸き起こる戦闘意識が、彼をフラッグへと駆り立てた
のだ。
「僕は行くよ。どんなくだらない理由であれ、戦えば戦うほど、僕の戦闘評価があがるの
だったらそれでいいじゃないか。君も、いいデータが取れるだろう? それで、また新しく
MSを開発してくれればいいさ」
 いつものように余裕めいた笑みを浮かべて、グラハムは出撃した。
 それからほどなくして、戦闘解除のサイレンが鳴った。ハッチが開く音が聞こえる。帰還
したようだ。

 そのうちカタギリの部屋に愚痴でも言いに来るだろうと、カタギリは踏んでいたが、
部屋をノックしたのは成年の一般兵だった。カタギリは振り返る。
「どうした」
「はっ。失礼します。ビリー・カタギリ技術顧問。実は、先ほど帰還されたグラハム・エーカー
中尉が負傷されていまして」
「なんだって」
「医務室に運ばれたあと、ここにカタギリ技術顧問を呼んでほしいと申されておりました」
 グラハムが負傷するという、珍しい事態にカタギリは眉を顰めた。呼び出す元気が
あるのなら、絶命の危機と言うわけではなさそうだが、それでもただ事ではなさそうだ。
「……容態はどうなんだ」
「は、ご本人は大したことがないと申されておりました」
「そうか。分かった、すぐ行く」
 カタギリは立ち上がって、兵士のあとに続いた。

 医務室に着くと、カタギリは兵士を下がらせて中に入った。そこには下着姿でベッドに
横になっているグラハムがいた。寝てはいなかったようで、カタギリに気付くとすぐに
起き上がった。それを、カタギリは尽かさず制止した。
「いい、まだ起き上がるな」
「大丈夫だ、少し背中を打っただけさ」
「なら尚更だ」
 カタギリがまだ寝かそうと肩を掴むが、それは無駄だった。グラハムがカタギリの
手を押し退けて起き上がる。いつものように唇に弧を描いて笑って見せた。
「……本当に大丈夫だ。気にしなくていい」
「どんな、状況だったんだ?」
 手近にあった椅子に腰掛けて、カタギリは問いかけた。グラハムが医務室に
運ばれるような怪我をすることは滅多にない。理由だけでも知りたかった。
「――空中でティエレンに取りかこまれて落とされた。ライフルが一つ失って
しまったよ。そのまま地面に叩きつけられたのさ」
「他のフラッグは援護に回らなかったのか」
「そんな余裕はなかったと思うな。数は向こうのほうが圧倒的に多かった。戦艦だったから
搭載量も多かっただろうし。……ただ、むこうが確実に悪いわけだから、この戦闘自体に
対して意味はないわけさ。牽制にもならなかったけどね」

「無事でよかった」
 いつもの調子で淡々と、かつ面白そうに話すグラハムにカタギリは安堵した。今ここで
彼を失ってしまったら、カタギリに拠り所はなくなってしまう。まだまだ、グラハムにして
やりたいことは残っていた。
「……そんなに心配しなくても、後遺症は残らない。ほら、」
 グラハムはそう言って白い背中をカタギリに曝け出した。肩甲骨の下、腰との間に
痛々しい痣が出来上がっていた。酷く鬱血している。この状態で横になれば痛みで身体も
休まらないだろう。だから、グラハムは横になることを拒んだのだ。
 カタギリが来るまで横になっていたのはいいものの、その痛みを我慢できなくなって
きたころにちょうどカタギリが来たのだ。
 痛いなら、初めからそう言えばいいものをグラハムはあえて黙っていた。頑固者だと
言っていいのか、それともカタギリに心配をかけたくなかった一心なのか、カタギリには
その心が全く読めずにいた。
「舐めて」
「え……」
「舐めてくれ」
 突然降り注いだ言葉に、カタギリは一瞬反応が遅れた。カタギリの前で背中を曝け出す
グラハムが再び言った言葉は、どうやらカタギリの聞き間違いではなかったようだ。
 いつもより、少し艶を含んだ声に、カタギリは逆らえなかった。仕事に私情を持ち込んでは
いけないと思いつつも、劣情は抑えられなかった。これがオフの日であれば、なんとでも
望むままに掻き乱してやれるのに。
 今は仕事だ。パイロットのケアをしてやるのも仕事の一つだ。そう、割り切ってカタギリは
グラハムの背中に口付けた。
「――痕は、つけないでくれよ」
「ああ、分かっている。次の休みは、覚悟しておくんだな」
 背中越しに、くすりと笑う声が聞こえた。

END

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

短くてすまない。


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