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球体の悪夢

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  G00ビリ公れす
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 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  まだ3話だからいろいろ設定捏造はヌルーよろ
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 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
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――これは、まだ彼があの光をまとうモビルスーツに出会うより少し前の夜。

「失礼します。ビリー・カタギリ技術顧問殿、少々ご足労願えますか」
 困り切った表情の兵士が、ビリー・カタギリの個室のドアを叩いた。
 今日の局地戦のデータが続々と上がってきていたモニターから目を離して、彼はふり返る。
「お仕事中に失礼かとは存じますが、その……、グラハム・エーカー中尉が、フラッグから
降りていらっしゃらないので、整備兵が困っております。戦闘からは華々しい戦果を挙げ、
お見事に帰還されましたので、お体に大事はないかと思いますが、我々としても心配で……。
僭越ながら、カタギリ技術顧問殿のお力添えを願いたくあります」
 グラハム中尉とカタギリが長いつきあいであるのは、MSWAD内でも周知の事実である。
それに、彼がこの手の要請を受けたのは、これがはじめてのことではなかった。
 また、か。カタギリは内心で溜息をつきながらもそれを表には出さず、立ちあがる。
「わかった。君たちは下がっていい。あとは私が面倒を見る。――戦闘後のグラハム中尉殿が、
少々扱いに困るのはいつものことだ、そうだろう?」
「はっ……、それでは、失礼いたします」
 安堵の表情で、兵士は退室していく。カタギリは外していた眼鏡をかけ直し、今度こそ大き
く息を吐いた。

 ――そう。これがはじめてでは、ない。
 精鋭揃いのMSWADの中でも、誰もが認める凄腕のエースパイロットとは、グラハム・エー
カー中尉をおいて他にない。これまでにあげた戦果は数知れず。腕だけではなく、頭脳戦にお
いても切れ者と名高く、その華やかで凛々しい容姿もあって、軍内部でも一目置かれる存在だ。
 瑕疵といえるのはひとつだけ。彼は、戦闘中においては、普段の冷静沈着な態度から一変し
て、過激で攻撃的な性格になってしまう。それはパイロットとしては必要な資質なのかもしれ
ず、命令には従うし、作戦行動が度を越すということもない、ただ人格が多少変化するだけな
のだから何の問題もないのかもしれない。戦闘記録データにも、パイロットの生体情報と操作
記録しか残らないのだから、たまたま何度かコクピット映像をモニタリングしたことのある、
担当技術顧問のカタギリ以外には、おそらくあのふるまいは知られてはいないだろう。
 ただ、戦闘を重ねるにつれて、徐々にそれが悪化している様子なのは気に掛かった。戦闘が
終わっても、なかなか興奮状態がさめないようで、落ちついてコクピットから出てくるのに時
間がかかる。すぐに出てきても、抑えきれない気持ちの昂ぶりが態度に表れてしまい、周囲の
人間を戸惑わせる。それを本人も自覚しているのだろう。最近はますます、相当の時間が経た
なければフラッグを降りなくなっていた。
 そんな時、いつも呼ばれるのは、明るいように見えて意外に親密な人付き合いをしないグラ
ハムの、数少ない友人のような存在である自分なのだ。

「エーカー中尉。私だ。聞こえているんだろう。――開けてくれ」
 グラハムが平常の精神状態ではなかったとしても、軍人として最低限の原則を失うことはな
い。外部からの連絡は通じていると判断して、カタギリはコクピットまで伸ばされたタラップ
を上がる。
 少し間があって、――ハッチが、開いた。しかしグラハムはシートから動かない。
 肩がわずかに上下している。息が、荒い。メットのまま俯いた彼の表情は全く窺うことがで
きない。カタギリは意を決して、コクピットに入る。同時に、再びハッチが閉められた。
 つかの間、内部は暗闇に落ちる。

 ややあって全天周モニタの電源がオンにされ、視界が回復した時、グラハムはメットを外し
ていた。
「中尉ーー、」
 目が、酩酊したように虚ろだった。危険だ、と本能的に察した瞬間、シートから立ちあがっ
たグラハムが、身動きできずにしゃがみ込んでいたカタギリに体重を預けてのしかかる。
「大丈夫か、エーカー中尉、……グラハム、」
 熱っぽい唇に噛みつかれて、息が止まりそうになる。
 ぐいぐいと、遠慮なく口内を侵略してくる舌。絡みついてくる火照った四肢。パイロットスー
ツを己ではだけて、グラハムは性急にカタギリのベルトを外す。股間に滑り込んでくる手。な
おも重ねられる唇の、湿った音。
「んっ、……グラハム、」
 首筋を甘噛みし、喉を舐めあげて、耳孔に舌を押し込んでくる。指先で性器を強く刺激しな
がらのその行為に、体は否応なしに反応させられ、腰に重い熱が溜まる。
 ――これも、はじめてではなかった。幾度目になるのか。ただ戦闘後のコクピット内でだけ、
理性を失った、空っぽの、けれどどこか切実な目で、グラハムは体を求めてくる。それが単純
な脳内麻薬による欲情なのか、それとも他の何かなのか、考える暇さえカタギリには与えられ
ていなかった。
「はぁっ、……ん、あっ、」
 火照る自分の幹を、カタギリのそれに擦りつけながら、しどけなくグラハムが喘ぐ。
 ただ、迫り来る熱のあまりの甘さに、呆気なく抵抗も自制心も剥ぎ取られる。行為に応じる
ことが正しいのかさえ、わからないままただグラハムに跨がられている。それは、眩暈がする
ほどの快楽だった。性的には淡泊な方だとさえ、自分のことを思っていた。それが驚くほどに
煽られて、気がつけば、軍人にしては小柄だが、鍛え抜かれたグラハムの体を貪るようにまさ
ぐってさえいる。その愛撫に応え、白いグラハムの肌はじっとりと汗ばんで、仄かな朱に染まっ
ていく。

「あ、は、……っ、」
 グラハムは乱れながらカタギリの手を掴み、その指を何か乞うように舐めて、脚の間に誘導
する。眩しい金髪をしっとりと濡らして、切なげに目を覗き込まれれば、もうカタギリに逆ら
うすべなどなかった。
 指を滑らせ、軽く解して、中を探りかければ、もうそれでいいというようにグラハムが首を
振る。慣らされることなどどうでもいい、ただ早くと、幼くだだをこねるように先を乞うしぐ
さ。続いて、自分から腰を持ち上げ、カタギリの下腹部に手を添えて、自分で性器を沈めよう
とする。
 さすがに苦しげに眉が歪み、けれどやめようとはせずに、強引にカタギリを奥まで飲み込む
と、はじめて安堵したように、息をひとつ吐いた。
「……グラハム」
 名前を呼んでも、反応はない。いつだって行為の最中はそうだ。ただうっとりと、グラハム
の目が細められ、腕がカタギリの首に絡みつく。自分で腰を揺らし、ただ己の快楽に没頭して
ゆく、淫蕩な体がそこにはあるばかり。
 ならばとこちらからも一方的なリズムで腰を突き上げてやれば、高い声をあげてグラハムが
のけ反る。カタギリの腕にしがみつき、なおも快楽を深めようと、その体は貪欲にしなる。
 衝動的にカタギリはグラハムをきつく抱き寄せ、髪を引っ掴んで半開きの唇に口づける。接
吻をつなげたまま体を揺らしあえば、ただもうあとは互いに、絶頂へ向けてそれぞれを急きた
てていくばかり。
 コクピットの球形に、ふたりの荒い息遣いが満ちる。

「……畜生、」
 不意に。
 低い呟きを聞いて、カタギリははっとする。
 思わず覗き込んだグラハムの目は、先刻までの空虚なものではなく――、普段と同じ、強く
一途な光を宿していた。
 ――正気、なのか。今。
「下らない、あんなものは、ただの虐殺だ、……俺は、俺は、」
「……グラハム? ……くっ、ん、」
 何か口走りかけた己自身の口を己で塞ぐように、グラハムは激しいキスを仕掛けてくる。そ
の熱に呑まれて、カタギリも脳裏に兆しかけた疑問を押し流され、目の前の快楽しか意識に入
らなくなる。
 ――そう。グラハムの言うとおり。
 三分割された世界が三竦みの状態にあるこの時代において、大国同士の全面戦争など考えら
れないのならば、対等以上の腕と機体を持つ強敵との戦闘を何より望むグラハムの願いが叶え
られることは決してない。
 ユニオンの軍人としてのグラハムの仕事は、ルーティンワークの周辺警備と、圧倒的弱者で
ある反体制派やテロリストの制圧。それでも骨のあるゲリラ相手なら、多少てこずらされるこ
とがないではないが、所詮は物量の差がありすぎておよそ勝負にはならない。まさに殲滅戦だ。
 彼の戦闘の腕は本物。それだけに、出撃命令を受ければ受けるほど、彼の中には虚しさしか
蓄積しない。
 明るい緑色の瞳の裏にひそむ、その絶望の深さを思う。

 だから、いつか。
 それが彼の命を奪うことになるかもしれないのを承知で、それでも、彼のために、ただ彼の
ために、――戦争を、偉大なる敵の到来を、望む自分がいることを、ビリー・カタギリは知っ
ている。
 それは、果たして愛なのだろうか。
 そんな問いかけさえ、けれどただ淫らに彼にしがみついて喘ぐグラハムに奪われて、熱とな
り光となって灼き尽くされてしまう。
「グラハム、」
「あぁ、っ、……ビリー、」
 名を呼ばれた瞬間、カタギリは自身を勢いよくグラハムの中から引き抜く。その感覚に一際
高い声をあげてグラハムが達した。その腹に散った精液に重ねるようにして、カタギリもまた
己の想いを吐き出す。

 まつ毛を半ば伏せ、ぐったりとシートに横たわるグラハムの体を拭い、元通りパイロットスー
ツを着せる。行為が終わったあと、日常の中でも軍務の中でも、グラハムがこんな肉体関係の
片鱗をさえのぞかせることはなかった。記憶を失っているのかとまで、最初は疑ったほどに、
何事もないように彼はふるまう。
 今日もまた、しばらく放心状態に陥ったあとで、――凛と背筋を伸ばし、普段通りの美しい、
軍人らしい所作で、グラハムは起き直り、無言でハッチを開け、コクピットを出ようとする。
「――今日の戦闘記録は、追って提出する。大した戦闘ではなかったが、カタギリ技術顧問の
新作ライフルのテスト程度にはなっただろう」
 その声は、先刻までの甘さなど微塵もない、明朗ないつものグラハムだ。
「ああ。――今後のために役立てさせてもらうよ」
 カタギリもまた、普通を装ってそう返す。それ以外にどうしようがあるというのか。
 何故。――君は、私を何だと思っているのか。
 それは決して口にしても頭に浮かべてもいけない問いであり、カタギリはそこで思考を閉じ
ようとする。

 けれどあの。はじめてグラハムが行為の最中に漏らした意味のある言葉を、どうしても忘れ
ることはできなかった。あれは、誰より気丈で誇り高い彼の、――確かに、悲鳴だったから。
 自分にだけ聞かされたそれを。どうすればいい。
 どうすれば、彼を救える。彼のため、より強い武器を用意することしかできない自分に。彼
の望んでやまない至上の敵になど、決してなってやることのできない自分に、何ができるとい
うのか。
 ――たとえば。
 その首筋に、胸許に、あからさまな痕をつけて。体の中にも交わりの痕跡を残してしまえば、
彼はどうするのだろう。そんなことは、自分にはできないと知っていて、カタギリはそれでも
思わずにいられない。けれど。
 そう。そんなことは、あり得ない。ここ以外の場所で、恋人同士でも愛人関係でもない彼と
私が体を重ねるなどあり得ない。戦闘をこよなく愛する彼。その研究者である私。それ以外の
関係など、存在しない。ただの腐れ縁が、幾分友情に似て見えるというのなら、そうだ。その
他には何もない。
 フラッグの戦闘能力向上が私の仕事であるならば、パイロットのメンタルケアもまた、メン
テナンスの一環。ただそれだけのこと。
 己に言い聞かせながら、彼は乱れた髪を結い直し、グラハムに続いてタラップを降りる。

 ――そう。
 私の名はビリー・カタギリ、ユニオン軍モビルスーツ部隊MSWADの技術顧問。
 いつか彼が最強の敵と死戦に臨むその時、彼のために最高のモビルスーツを造ること。
 ただそれだけが私の願いであり、身を賭しても果たすべき使命なのだ。

 私には他に、彼にあげられるものなど何もないのだから。

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 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 萌えの勢いだけで3時間で書いたお
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
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