錺職人、夜這い編
更新日: 2011-05-02 (月) 20:43:39
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| 錺職人、夜這い編モナ。
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| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| 新~より前の「必/殺/仕/事/人」時代だよ
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| | |> 再生 | |  ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
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※この当時の錺職人は、職人姿と着流しの二通りの衣装でした。
しんと痛いほどに静まった町。子の刻をとうに過ぎ、猫の子一匹動く気配はない。
月のない闇夜は秘め事には持ってこいだが、お天道様どころかお月様にも
顔を背けられるのか、とヒデは後ろ向きの思考のまま歩いていた。
こんな時刻にまともな人間が出歩くはずもない。足音を消し、いつでも
闇に紛れられるよう周囲を伺っていたが、誰にも出くわすことなく目的の場所が見えてくる。
墨を流したような漆黒の中、目を射るように浮かぶ番屋の提灯。
ヒデは立ち止まり、目を逸らさずに明かりを見つめた。番小屋からは数人の気配がする。
知らずに自分の襟元を強く掴んでいることに気づき、ヒデはふるりと頭を一振りして足を踏み出した。
「中/村様、そろそろ見廻りじゃございませんか」
「おう、もうそんな時分かい」
「大丈夫ですかい?今夜の差し入れはなかなかに強え酒でしたぜ」
「馬鹿野郎、これっぽっちで酔えるかい。丁度いいぜ、醒ましに行ってくらあ」
「それじゃ、あっしもお供に――」
「ああ構わねえ、俺ひとりでいい。お前らはしっかりここ守れよ。こういう闇夜にゃ
何か起こって駆け込んでくる奴もいるからな。そんときゃ呼子鳴らせ」
「へい、かしこまりやした」
ヒデは番屋の裏手で壁越しの会話をぼんやりと聞いていた。
これが、あの男の日常だ。うだつのあがらない昼行灯。妻と義母につつかれながら
毎日こつこつと勤めを果たし、多くはない手当てを持ち帰る。
あの男が何を置いても守ろうとする生活。自分には理解できない世界。そして決して近づけない世界。
不正に対して腰の重い主/水に、何度となく突っかかっては殴り飛ばされた。
自分の主張が間違っていると思ったことはない。人として当たり前の感情をぶつけただけだ。
それでも、背を向けられると胸がきりきり痛かった。
障子を開け、聞きなれた足音が出て行く。ヒデはそっと闇へ身を引いた。
いつもの巡回路を、主/水は提灯を片手にゆっくりと歩いていた。今夜のように月が隠れていると
暗がりに紛れて犯罪も起こりやすい。用心してか馴染みの屋台も見当たらず、
当てが外れた主/水は舌打ちをして提灯を持ち直した。
市中を廻り、連なる武家屋敷の長い壁に沿って進み、川の音が近づいてきたころ、主/水は足を止めた。
「おい。何の用でえ」
振り返らずに声だけを後ろに投げかける。数秒の沈黙のあと、川岸の釣り小屋の陰から軽い足音がした。
咄嗟に大刀に手を掛けた主/水は、その人物を見止めて大きく息を吐いた。
「なんだお前ぇか。脅かすんじゃねえよ」
巡回の途中からつかず離れず尾行してくる気配を感じ取っていた。
ヒデならばとりあえず警戒の必要はないが、それにしても同行者もいないのに声も掛けず、
尾行するというのも妙だ。それにヒデは姿は見せたものの、黙ったまま何も言葉を発しない。
「――仕事か?」
主/水の声が固くなる。しかしヒデは「いや」と小さく答えて首を振った。じゃあ何だと言いかけて、
己の襟元を掴んでいるヒデの手がひどく震えているのに気づいた。
「ヒデ?」
近くまで行って覗き込んだ顔は思いつめた子供のようで、俯いたままこちらを見ようとしない。
「おい、どうしたよヒデ。ん?」
その瞬間、主/水は思いがけない力で胸を押された。背中に松の幹が当たって痛みが走る。
そして何が起きたかを理解する前に、さらに理解を超えたことが起きていた。
唇に押し付けられた柔らかく暖かい感触。それが何であるかは、すぐにわかる。
この場所にいる人間が誰かを考えれば、それが誰のものかもわかる。
問題は、何故、そんな状況になっているのかだ。
見開いたままの主/水の目の前で、固く瞑ったヒデの瞼と長い睫が震えている。
主/水の両肩を掴む手も、不器用に押し付けるばかりの唇も、これが悪ふざけではないことを伝えていた。
どちらも動かず、動けずにどれだけの時間重なっていたのか。やがてぎくしゃくした動きでヒデが身を離した。
主/水はひとつ息をついて宥めるように声を掛けた。
「何だ、女日照りで我慢が効かなくなったか」
ヒデは無言で項垂れたままだ。
「こんな親父にサカるほど不自由しちゃいねえだろうよ」
わざと軽口を叩きながら主/水は内心でため息をついた。何とか言わせずに済ませたかった。
こいつの心の内は分かりやすくて困る。特にあの目は真っ直ぐ過ぎて時々見ていられなくなる。
あんな曇りのない目を自分になど向けてほしくなかった。
だが、そんな主/水の願いは届かなかった。
「あんたじゃなきゃ…いやだ」
搾り出した声は涙混じりだった。放り出されて燃え上がる提灯の火が、俯いたヒデの顔を照らす。
ほろほろと零れ落ちる涙もそのままに、ヒデはただ立ち尽くしていた。
一歩ずつ近づく主/水の足音に捕らわれたように、指一本動かせない。
数秒の沈黙さえ、叫び出したいほどなのに声も出せない。
「来い」
ただ、一言。ヒデは弾かれたように顔を上げた。主/水は黙って釣り小屋へ足を向けた。
相変わらず月が顔を出さないままの夜。提灯の燃えかすから拾い上げた蝋燭が
狭い小屋の中で頼りない火をともしている。建てつけの悪い木戸を閉め振り返った主/水に、
ヒデはただむしゃぶりついた。どうしてか、いつからか、そんなことはもうどうでもよかった。
ずっと抱えてきた痛いほどの思いも、もはや告げようと思わなかった。
呼吸が苦しいと感じる余裕すらなく、ただ貪るように接吻けを求めた。
いつの間にか、崩れそうな身体を主/水が支えてやっているのにも気づかなかった。
ただ、欲しかった。目の前のこの男が欲しい、欲しい―――
「慌てるんじゃねえよ」
仕掛けたほうのヒデの息が上がっているのに苦笑しながら、主/水は腰の二本差しを帯から抜いた。
羽織を脱いで脇に掛けるのをぼんやりと目で追っていたヒデは、すっと腰に手を回されて我に返った。
間近から無言でじっと見つめられ、今更ながらに居たたまれなさを感じる。
それでも感情はもう止まらない。ヒデは目の前の袷を開き、現れた胸板に唇を押し当てた。
自分の帯が解かれる軽い音がして、背中を撫で下ろす手が火のように熱く感じられる。
大きな手のひらが間違いなく自分に触れていると感じて、例えようもない喜びが湧き上がる。
ヒデは主/水の背中に両手を回し、しがみ付いて猫のように身体をすり寄せた。
もどかしげに袖から腕を抜き、主/水の着物も脱がせようとのしかかる。それをやんわり押しとどめ、
主/水は丹念に細い身体を弄った。鼻にかかった声をひっきりなしに上げるヒデを腕に閉じ込め、
殊更にゆっくりと唇を合わせる。がむしゃらなヒデのようなやり方ではなく
何度も食むように繰り返した。
そのうちに我慢できなくなったのか、ヒデがねだるように腰を押しつけてくる。
主/水は壁に背を預けて足を投げ出し、ぐいとヒデを引き上げて向かい合わせに跨らせた。
真正面から合わせた主/水の目には明らかな欲望が見て取れる。
ヒデはごくりと喉を鳴らし、初めて見る顔から目を逸らせないままそっと接吻けた。
見慣れた着流しの赤い裏地がやけに目につく。
十分に愛撫を重ねた身体は止めようのないところまで追い上げられ、どこに触れても鋭敏な反応が返る。
そして指先が後孔を探り当て、腰が跳ねた。
「ん…ッ!」
初めは擽るようにじっくりと押し広げようとするが、ヒデはそれだけで激しくかぶりを振って暴れた。
耐え切れず自分のものに手を遣るのを、上から手を重ね一緒に擦り上げてやる
「っあ、あ…あ―――」
程なく若い身体は勢いよく弾け、力をなくして崩れるように主/水に縋った。
激しく息を弾ませるヒデに、主/水は意地悪い笑みを浮かべからかうように言った。
「ヒデよ、ここでへたばってるようじゃ身が持たねえぞ」
わざと耳元で低く囁く。
「お楽しみは、これからなんじゃねえのか」
ぞくりとする声音がまともに腰に響き、ヒデはおぼつかない手つきで袖の内を探った。
「これ…」
小さな包みを取り出し主/水に手渡す。開けば粘りのある物体が。
無言で見返すときまり悪げに目を逸らし、ぼそりと言った。
「岡場所の姉さんがくれた」
「使う予定があるからってか?」
「頼んだんじゃねえよ!簪の代金はずんでくれて、ついでにこれもって」
「ほーお。なかなか気が利くじゃねえか」
にやりとしながら指に掬い取り、吐き出した精に濡れた場所を改めて探った。
「なあ…まだか、よ…っ」
「お前ぇのためにやってんだろうが。もうちょっと待て」
散々に焦らされ息も絶え絶えのヒデをなんとか宥めつつ、後孔を解すのに専念していたが
実際のところ、乱れ悶えるヒデの痴態に主/水のほうも我慢の限界だった。
とめどなく上がる甘い声、潤んだ大きな目でねだられてそうそう耐えられるものではない。
「そろそろ行くぜ」
首にしがみつく身体がひくりと震えた。
ヒデは緩慢な動作で膝立ちになり、おずおずと腰を浮かせる。白い尻を両手で掴むと
ゆっくり押し開くように楔を突き入れた。
「っ―――――― !!!」
痩身が大きくしなり、硬直する。背中に手を回し撫でてやりながら腰を落とさせ、じりじりと押し進めた。
苦しげな呼吸を伺いながら浅く深く内部を擦る。
ゆっくりと呑み込む熱い肉壁が、ヒデの痛々しいほどの表情と正反対の淫らさで主/水にまとわりつく。
「う、うぅ…ッ、うあ…」
喉を反らし、ヒデはこれ以上ない艶めいた顔で鳴きながら身を捩った。
腹の中一杯に主/水の存在が脈打っている。すべてが吹き飛ぶような快楽の中、ヒデはそれだけを全身で感じようとした。
もっと、もっと欲しくて腰を振った。呆れられ蔑まれても構わなかった。
やがて主/水の息が荒くなり、腰を掴んだ両手に力が込められる。主/水が自分に欲情しているのが嬉しい。
今だけでいいからこの男のすべてが欲しかった。
「あぁ、あッ…うう、あ、あっ、あッ」
がくがく揺さぶられ突き上げられ、滅茶苦茶に壊されるような倒錯した感覚に視界が明滅しだす。
奥の奥を執拗にぐいぐいと抉られて悲鳴に近い嬌声が迸った。
「く…っ!」
ほとんど狂ったような嬌態に否応なく煽られ、一気に頂点に引きずり上げられた主/水は
咄嗟に引き抜こうとして身体を引いた。が、ヒデが全身でかじり付いてそれを止める。
「おい…!」
「出せよ、そのまま。俺ん中に全部くれよ…」
熱に蕩けた目は凄絶な色香に染まり、主/水にそれを振り払う理性は残っていなかった。
内部で弾け溢れ出す熱に、ヒデはうっとりと目を閉じて身体を震わせた。
ふと、ヒデは目を開けた。
蝋燭の火は、もう尽きる寸前の弱々しさで揺れている。ぞんざいに着せかけられていた
着流しを整えながら身を起こすと、汚れた下肢は拭き取られたのか不快な感触は残っていない。
散々に鳴いて痛む喉と、重くだるい下半身。
そして、だれもいない空間。
ヒデは、身体を引きずるように小屋の外へ飛び出した。
黒く塗りこめられた夜が無言で広がっている。もう気配さえ残っていない。
澄んだ空気が急速にヒデの身体と心を冷やしていった。
一人の夜廻りとはいえ、あまりに戻りが遅いと厄介ということだろう。それは理解できる。
だったら平手でも2、3発食らわせて目を覚まさせればいい。余計な気遣いなどいらない。
「なんだよ…」
明日からまたつれない態度に戻っても、二度とこんな行為に応えてもらえなくても、
見殺しにされたって構わない。
「置いてくなよ…」
でも目覚めて傍に誰もいない、この絶望に似た思いには耐えられない。
ヒデはふらふらと数歩歩き、松の木の根元に蹲った。喉が震え、嗚咽が漏れる。
指先が白くなるほど肩口を握りしめ、身体を丸めて泣きじゃくった。
とてつもない喜びの後の大きすぎる寂しさに押しつぶされそうだった。
それでも、あの男がどうしようもなく愛しかった。
東の空が白み始めるまで、ヒデはその場から動かなかった。
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| | □ 停止 | |
| | | | ∧_∧ ヤッチマッター
| | | | ピッ (・∀・ )
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旦那のエチーはねちこいと思うのです。
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