Top/3-123

栄が バッ戸まん

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  蝙蝠×駒鳥
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 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| 栄が見てここまで萌えるなんて
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
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「ディッ九?」
 ブノレースは同じ部屋にいるはずの人間の名前を呼ぶ。
 しかし返事がないことに読んでいた本を閉じて上を見上げる。
 天井高く作られた一室には、本を多く置くために本棚が所狭しと並んでいる。今、ブノレースが見上げるのは、空間を
 有効活用させるために作られている中二階のスペースだ。
 返事がないことにブノレースは脇にある螺旋階段を昇る。
 昇りきり、思わずブノレースは口元に笑みを浮かべていた。 
 床に寝転んでいる人間は本だけは汚さないように自分の体の上においている。
 ブノレースは膝をついて年若いつい最近できた「家族」の寝顔を見つめた。

 子供の頃、両親を殺され家族というものから無理やり引き剥がされたブノレースは執事のアノレフレッドに育てられた。
 まだ幼い自分とアノレフレッドが路頭に迷うことなく生活できたのも両親の莫大な遺産があったからだ。
 そして今やゴッ差無シティーで有数な企業のトップに登りつめているブノレースは、ただ遺産を食い潰すだけではなく、それを大きくした。
 企業を大きくしたのには、二つの目的があった。
 一つは人々の幸せのため。
 そしてもう一つは、バッ戸マンとなり悪と戦うこと。

 恐怖と復讐心から精神的に追い詰められた結果、一人で立ち向かう強さを得た。
 その生きていく目的を遂行するのに莫大な遺産を更に拡大する必要があった。
 戦うには費用が要る。そのために会社を大きくした。
 ゴッ差無シティで名士という地位を確立し表の顔を手に入れる。
 そしてただ戦うだけでなく、寄付や基金の設立、人が豊かに生きていけるように様々な施設をつくり、商品を開発させた。
 それは自分のような人間がもう生まれないように、このような人生は無意味であるから、もう誰にも味あわせたくないとそう思っていたからだ。
 人が幸福になれば、その分悪に心奪われることもなくなる。そう思っていた。
 不幸であるから人は悪しき心を持つのだとブノレースは考える。
 それはブノレース自身、人間不信にも近くなっていたこともその理論を作り上げるものになっている。
 裏切りや足の引っ張り合いそんなものを見ずに生きていくにはブノレースの周りは財力を狙う輩が多く存在していた。
 

 両親が目の前で殺害されたという子供の頃のトラウマに拍車をかけるような金に飢えた狼たちはブノレースは、
 人間を信用することができなかったのだ。人を守ることをしながら信じられないなどあってはならぬことだ。ただブノレースもわかっている。
 二面性は誰もが持ち、それを非難する権利はブノレースにもない。
 だから、人間不信であっても人嫌いなわけではない、ただ、自分の本当領域内に他人を入れることが出来ないだけだ。
 その頑なな心を溶かそうとアノレフレッドも様々な助言を与えてくれる。
 けれど、なかなか頷くことも出来ず、恋人と呼ばれるような女性がいたとしても彼女と一生を共にとは考えるには踏み込めない。
 彼女達は、表のブノレースという顔しか知らない。知られないように行動しているとはいえ、バッ戸マンの活動をどう説明すればいいのかわからない。
 言えば危ないことを止めろといわれるだろう。けれど、それを止めることができないと自分自身知っている。
 両親の敵をとる、悪を倒すことはこれまで生きる目的だった。
 その目的を失っては生きていけないほど今、生活にバッ戸マンは深く関わっている。誰かの賞賛を得たいのではない。
 悪を成敗することが、戦うことが生きがいになっている。それを止めようとして出来ることではない。今までも何度もそうしようと思った。
 けれど結局戦い続けている。
 それはいつしか自分自身を追い詰めることになる。
 戦わないでいられるならいいはずなのに、戦いを求める自分に反吐が出そうになる。なのに生きる目的なのだ。

 ディッ九の寝顔に躊躇しながら手を伸ばす。

 アノレフレッドはブノレースにディッ九を引き取るように進められた。
 それはアノレフレッドに言われる前に、ブノレース自身も考えていたことだった。
 トゥーフェ椅子に、両親と兄を殺されたディッ九。
 その原因は誰でもなくバッ戸マンであるブノレースのせいだった。
 バッ戸マンの正体を掴もうとしたトゥーフェ椅子はゴッ差無シティーの名士が多く集まる中、開催されていたサーカスのテントに爆弾を仕掛けた。
 その場に居合わせたのが不運だったのだろうか。悪に立ち向かっていたディッ九の家族は、ブノレースの目の前で事切れた。
 あの時のディッ九の目。
 きっと自分も両親が殺された時、あんな瞳をしていたのだと思わせるほど、悲しみに、喪失に、そして呆然とした瞳は次期に怒りの炎を燃やしていた。

「ディッ九」

 前髪に軽く指先が触れ、そのまま額、こめかみ、頬へと滑らせ、ブノレースは彼の名前を呼ぶ。
 家族を殺され復讐に燃える若者の姿を見ることが、これほど苦しいとは思わなかった。
 昔の自分を思い返させられるからではない。ディッ九の向こう見ずな行動に、肝を冷やさせられるからだ。
 彼の保護者になったのは心配だったという部分が大きい。
 復讐が産む愚かさを知っていただけに、それを彼に伝えたかった。自分のような人間になってもらいたくなかった。
 彼を引き取る。そう言ったとき、アノレフレッドはたいそう喜んだ。
 何故喜んだのか、今ならわかる。
 あれほど拒んでいた自分の秘密に触れられるほど傍に、他人を招きいれたのだ。

 バッ戸マンという立場を隠しとおせると自分自身思っていたのだろうか。もしかしてばれる事を望んでいたのだろうか。
 復讐は愚かだと口では反対しながら、同じ場所に住めばその復讐心を煽るようなものを突き止められることはわかりきっていた。
 
 死を目にし、涙を堪えるように、顔を隠すディッ九。
 食事も、睡眠もほとんどとらずに、この世でたった一人なのだと言い聞かせているような顔。
『憎い』
 そう言って、悪党を殴ることを爽快だと言い切ったディッ九。
『相棒にしてくれ』
 ディッ九に詰め寄られて、俺はどう思った。
 まだ若く、たった一つのことに燃え盛る彼の目に。

 自分は知っていた。
 相棒をいらないといいながら、孤独に耐え切れずにいた自分。
 自分の苦しみは、同じ苦しみを受けた人間にしかわからないと。
 そして同じように、その傷をなめあうことが出来るのだと。
 同じ境遇、同じ痛み。だからこそ、分かり合える。

 だから、恋するのだと。

 同類哀れみでなければ自分の心がこんなに動かないなんて思いもしなかった。
 今まで出来た恋人に情が沸かなかったわけではない。
 でも、それは義務だったのかもしれない。
 公式の場に出席するときにパートナーが必要とされる立場であったから似合う人間を探していただけなのかもしれない。
 本当に探していたのは、同じ視線を持つ人間。

「ん、ブノレース?」
 瞼を擦りながら目を覚ますディッ九は、覗き込んでいたブノレースに笑みを向ける。
「おはよう、こんなところで眠るんじゃない、風邪引くぞ」
「あはは、大丈夫だよ、この家の温度管理は完璧なんだから」
 起き上がろうとするディッ九は、ブノレースの伸ばされた手に手を重ねる。
「過信するんじゃない、いくらアノレフレッドがこの屋敷を快適に調節してくれているとはいえ…」
 言葉を続けようとすればディッ九が笑っている。
「どうした」
 起き上がるディッ九に合わせてブノレースも立ち上がり、誇りを払うようにズボンの尻部分を手で叩くディッ九に問いかける。
「ブノレースはあいかわらず過保護だとね」
「別に…そういうつもりは」
「そお?」
「今のは一般論だろ、誰だって言うさ」
 あまり口うるさいと、ディッ九は一人前に見られていないと拗ねてしまう。何度も何度も過去それで口論となっている。
 別に、戦いにおいてどうこう激論を交わすのはいいのだが、普段はできるだけ穏やかでいたい。
 あまりにも身の回りに煩わされることが多い。だからディッ九とあまり諍いを起したくないから、思わずいいわけめいた口調になる。
「なんだ」
 だが、ディッ九の反応はいまいちだった。
「一般論なんだ面白くない」
 ディッ九はそっと手を伸ばしてくる。
 さっきディッ九に触れていた自分の指と同じように額や頬に触れてきた。
「ディッ九?」
 顔を近づけてくるディッ九に、思わず身体を引くブノレースは棚に背がぶつかる。

「なんで風邪ひいたら困るの?」
「それは病気なんかしない方がいいだろう。お前だってベッドに縛られるのは退屈だろ」
「それは僕の問題じゃないか、あなたが困ることじゃない」
「それは、そうだが…心配になるじゃないか」
「ほら、過保護だ」
「これは」
「風邪引いて寝てるぐらいで心配なんて一般論じゃあんまりないよ、過保護だからでしょ」
 過保護という言葉にどうにか反論しようとする時点で、過保護であるのだとばらしているようなものだけれど、ブノレースは否定しようとした。
「いや…そうじゃない、そうじゃ…!」
 口付けられているのだと理解するには、言葉が続かないことですぐに理解できる。
 しかし、何故口付けられているのかと理解する前にブノレースの腕はディッ九の腰に回る。
 口を開き、舌を中に差し込む。お互いに、相手の息を飲むように口付け合う。
 すっぽりと腕に収まるディッ九の身体を強くかき抱きながら、ブノレースは棚から背を離す。
 ディッ九の身体に覆いかぶさるように唇を吸い続けていけば、だんだんと相手の背が反らされていく。
 ディッ九は両手をブノレースの背にすがりつくように力を加えて体制を保とうとする。
 それを助けるようにブノレースもディッ九の背と腰に回す力を増す。
 ディッ九の身体が空間の安全性のために取り付けられている手すりに押し付けられた所で、お互いに唇を離した。

「そうじゃなかったら、なんなの?」
 手すりに背を預けて身体を反らしたままの格好で、ディッ九は問いかける。
「何って…」
 その問いかけにブノレースは口ごもる。
 なんといえばいいのか、というか言っていいのかというところか。
 口付け合いながら、何を言っているのかといえばそうだが。
 なんとも口に出してはいいにくい。
「言えないの?」
 ディッ九は時折こうだ。
「言ってよ、ブノレース。ねえ」
 パートナーとなった時も、言葉を待っていた。勝手についていくと言いながら、ブノレースの許可を得ようとした。
「言わなきゃ、続きはなしだよ」
「ディッ九!」
「そうじゃないの、だって…」
 視線を下ろすディッ九にブノレースはあわてて腰を引いた。まあ、自分の身体だ。どこが冷えて、どこが熱くなるかは言われなくてもわかっている。
 身体を離せばディッ九は笑うので、こっちも笑わないわけにはいかない。
「意地悪だな」
 苦笑と共に漏らした言葉に心外だといわんばかりにディッ九は口を尖らせた。
「だって、ブノレースは秘密すぎるんだよ、なんでもかんでも」
「別にそういうわけではない」
 熱を拡散させようと大きく呼吸をして、ついでに頭を振る。
「だったら、言ってよ」
「ディッ九?」
「言ってくれなきゃ不安なんだよ」
「不安?」
 突然どうしたんだとブノレースはディッ九の言葉を繰り返す。

 ディッ九はぷいっと顔をそらす。
 何も言わない相手は、さっきまで眠っていた場所にまた腰を下ろす。
 そこにはディッ九が読んでいた本が積まれていて、中には今日の新聞もあるようだ。
 ブノレースは情報収集の一つとしてこの街で刷られている新聞は全て購入している。
 少しでもおかしなニュースがあればと思っているからタブロイドものも多くある。
 そう言えばと思い出すのは、既に新聞を全て読み終えているからだろうか。
「ディッ九」
「なんだよ」
「不安なのは、あれのせい?」
 ブノレースが指差すものにディッ九の視線は泳いだ。
 タブロイドには昨夜出席したパーティーの写真と結婚の言葉が踊る。
 何度も取り上げられるブノレースの結婚話。しかし実現しないそれに、誰もが注目している。
 何度も別れを繰り返すブノレースに、プレイボーイのレッテルも貼られているのは確か。そして踊るのは「今度こそか!?」という文字。
 彼女を連れて公式な場に出始めてから長い。
 しかし、付き合っているというより共同開発者であり、馬が合う友人という方が正しい。
 彼女は結婚には興味を持たず、お互いに公式に出る際に一人というのが分が悪いので、同席しているのだが。
「説明したじゃないか」
「そうだけど、でも、今度こそ結婚だって」
「そうじゃない」
「だから言って欲しいんだよ」
「ディッ九」
「だって、僕はこんな場所にあんたと行けない。行ったとしてもアノレフレッドも同席できる時だけでしょ」
 だんだんと小さくなる声に、ブノレースはディッ九を抱きしめる。こんなに不安に思っているなんて知らなかった。
 そしてうかつに思う。自分が相手に求めるように、相手も自分に求めていることを。
「もう一度同じ質問してくれるかい?」
 間近に覗き込めば、ディッ九は一度視線を下げるがすぐに上目遣いで見つめ返してくる。
「過保護じゃなかったら、なんで?」
 口付けあうほど近ずく唇を横に滑らせ、ブノレースはディッ九にだけ聞こえるように口を動かした。

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