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たいじ←たいち(その他)

やまだたいちのミラクル。

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貧乏球団アストロズのホームグラウンドは、当然屋根など無い。そして室内練習場も無い。
だから雨になると、殆んどの連中は自室か談話室で休息を取る。
まあ、選手層が薄いので、休みを返上して練習することも多いから丁度良いのかもしれない。
大きなテレビがあるので、なんとなく集まる談話室。
何人かメンバーが来ているなか、珍しく山田泰二が居た。壁に背に胡坐をかいて座わり、本を読んでいる。あまり皆と群れる方ではないので、こういうふうに居るのは稀である。
当然、太一もいる。太一は野球以外では誰かに引っ張られるか、弟の泰二にひっ付いて居ることが多い。
今日は泰二がなんとなく談話室の方へ足を延ばしたので、太一も一緒に付いて来たしだいだ。泰二は何か後ろからコソコソと馬鹿兄貴が付いて来ているな。と、思ったが無視しといた。

談話室には他に、酒飲みバッター岩田、助っ人外人トマス・ブラウン、器用な突っ込み担当大山、取り合えず普段は大人しい浅見。
なんというか、比較的無難なメンバーだ。それぞれに相反する個体が居ないので静かだった。
大山には二階堂が居ないし、トムには八木沼が居ない。岩田や浅見なんかは泰二かもしれないが、特に野球が絡まなければ絡む事もなかった。なので、談話室はテレビを見ながら、一言三言の会話だけで平和そのものだった。

「テレビつまんねー。」
大山は伸びをしながら呟く。トムもそれに同意だとあくびをした。浅見は特に意見することもなく皆を見回す。岩田はお酒を飲んでいるので曖昧に頷いた。
太一も一緒にテレビを見ていたので、どうだと大山が声をかけたら、鼻ちょうちんを膨らませて寝ていた。静かだと思ったら、正座したまま器用に寝ている。
大山はにやりと笑ってトムを手招きすると、太一の鼻ちょうちんを指してきししっと声を出さずに笑った。トムもにやにやと笑った。
大山が早速、鼻ちょうちんを突いて割ってみた。大きな音はしなかったが、鼻水になって垂れる。そしてまた新しい鼻ちょうちんが出るので、トムと大山は交互に割っていたら、それで鼻が詰まったらしく、大きなくしゃみをして起きた。
寝ぼけながら鼻水を垂らす太一に、大山とトムは大笑いする。鼻水が出っぱなしなのがかわいそうに思った浅見は、ちり紙を出して太一の鼻水をぬぐってあげた。

盛大なくしゃみをしたから、目が覚めたかと思えばそうでは無かった。眠い目を擦りながら立ち上がり、ふらふらと歩きだした。
どうするのかな?部屋に寝に帰るのかな?大山、トム、浅見は黙って太一の行く先見ていたら、弟の泰二の方へ向かった。
そして本を掲げている泰二の腕の脇から潜りこみ、胡坐をかいている上に丸くなった。

大山とトムは驚いた時の、よだれや鼻水を垂らした変な顔をし、浅見はわーわーっと顔を真っ赤にしながら驚いて見た。
もっと驚いたのは、泰二が気にもせず丸くなった太一の頭を、空いている手で混ぜた事だ。
三人はそれを見て思った。
大山『猫だ。』
トム『子猫だ。』
浅見『にゃんこだー!』
いつもの泰二なら「バカ兄貴!!」等と言って追い払うのに。
三人は物珍しく見ていた。

―――?、膝になんか乗ってきたな。
泰二は本に集中する頭の片隅で、中心にかかる重みを認識する。なんとなく無意識に手を出し、それを撫でると、毛が指の間をすり抜けた。
―――あー、猫か、、、。
泰二はそのまま手を動かし、毛を撫でつけた。
―――そういえば実家に居た猫も良く膝の上乗ってきたな。
そうのんびり思いながら、全身を撫でようとしたら毛が無い。
―――・・・あれ?実家?
そうだ、寮に猫など居るわけがない。なんだか視線を感じる。
泰二が本から顔をあげて周囲を見ると、三人がこちらを不思議そうに見ていた。
取り合えず泰二は、違和感のある下に視線を向け、現状を確認した。

自分の胡坐の上で、兄貴の太一がまん丸になって寝ている。

泰二は驚いた。誰もいないところならまだしも人前。恥ずかしさのあまり身体が震えた。急いで立ち上がって太一を床に転がそうとしたが、太一がもぞもぞと動き、更に丸くなった。
―――うわーーー!!
さすがの泰二も、そんな太一をかわいいと思ってしまったから始末が悪い。太一に置いてある手を簡単には離せなく、そのまま撫でたいという欲求が恥ずかしさを上回った。
しかし、人がいる。でも可愛がりたい。
泰二はもの凄く真剣な顔で動けなくなった。
ここで大山は察知する。
「いーなーいーなー♪俺も泰二の膝の上で丸くなりてぇ~。」
大山はきししっと笑いながら泰二に駆け寄り、太一の上にダイブした。
「のわっっ、てめ!!ふざけろ!!」
泰二は大山に怒鳴った。大山はまだ寝ている太一の首に抱きつき、太一と一緒に丸くなった。
「いーじゃーん。泰二の膝の上。気持ちい~♪」
当然、泰二が嫌がるのを承知で実行した。
「くふふっ。俺も混ぜろ~。」
そこで今度はトムが察知して泰二に駆け寄った。これも泰二が焦ると解って実行する。
「おお!これはなかなか!」
トムは大山と太一の上に大きくうつ伏せになった。
「重いだろ!!」
泰二が足に力を入れて跳ね飛ばそうとしたが、人数が人数なのでびくともしない。
「てめ!ちっとは考えてやれよ!!」
下になっている大山が怒る。
「いーじゃねーか。なー?太一だけ可愛がられてずりーじゃん♪」
トムは笑いながら、泰二の膝の上でクロールをしはじめた。
流石に太一や大山に比べてでかいので、手足が動いていると危なくて仕方が無い。
「やめんか!!このアホ達!!」
泰二は大声を出して怒った。心底嫌な泰二だが、はたからみたら何やら3人で楽しそうである。

「いーなぁ~、、、楽しそうだなぁ~。」
ここで酒を飲みながら見ていた岩田がぼそりっと呟いた。聞こえて泰二は青冷める。
「俺も混ぜてくれ~。」
酔っている岩田。勢い良く正面から泰二に抱きついた。泰二の首にぶら下がる感じで抱きついたので、岩田の身体がトムの上に傾れる。
「げぇ!!重いよ岩田さん!!」
下になったトムが苦しいと訴えた。
「ぐももっ!!」
更に下の大山が呻く。

―――視線を感じる。
泰二は早々アホ3人を追い払いたいが、あまりにも真剣な視線を感じ、思わず苦しい首をそちらにむけた。
「!!」
浅見が羨ましそうに、じっーっとこちらを見ていた。
お互い目が合う。
これが兄貴の言っていた、浅見ビームか!っと、泰二は焦った。
どんなに遠くからでも、何故か感じる浅見視線。
「・・・・・来ますか?」
泰二は絞り出すように思わず声をかけた。
浅見はそれを聞いて顔を真っ赤にして慌てて断るが、なぜか僅かににじり寄ってくる。
これ以上来たら対応できんな、っと、泰二は身体以上に頭が重くなった。

「あれあれ?何やってんだー?」
泰二が困っていたら、八木沼の声が入口から聞こえた。
見るとアストロズ一の遊び人、八木沼と、よろず相談所、平田。
「浅見まで、、、珍しいな。」
平田が泰二達の様子を見て、どこから突っ込んで良いのかとあきれ顔でぼそりっと言った。
それで気づいて、泰二は眼だけで横を見ると、何時の間にか浅見が横から首に抱きついていた。
「いったい何して遊んでんだ~?いーなー、モテモテだな。山田泰二~♪」
八木沼がからかう様に言うと、泰二は怒りでこめかみに幾つもの青筋を立てた。もう、恥ずかしいとかそんなものは通り越した。
「うへへっげぼっ、いーだろー泰二に可愛がってもらっている最中だ。ぐほっ。」
八木沼の質問に大山が岩田とトムの下からなんとか顔を出し、苦しそうに答えた。
嫌がらせにたいしたガッツだ。しかし、泰二の顔は変わらない。
「ほほぅ、、、トムもか?」
大山の答えに、泰二よりも八木沼の顔が少し引き攣った。
「あー?そーだよ。いーだろ?ふふふっ。」
トムは八木沼をちろりっと見ると、広げていた四肢を縮込ませて泰二の足に抱きついた。「げぇ!苦しいぞこの馬鹿外人!!」
下にいる大山が締められて声をあげる。
「・・・おいコラ、そんなのより俺の方が可愛がってやるぞ。」
八木沼の目が細まる。
「い・や・だ。泰二がいー。」
トムはぷいっと八木沼から顔を背けた。
八木沼が泰二に敵意をむき出したが、泰二の怒りは八木沼以上だ。
平田もそれが解ると、これ以上泰二で遊ぶと機嫌を損ねて大変な事になると、取り合えず上に居る岩田と浅見を退かそうと声をかけた。

「あ~、、、岩田さん、浅見。そろそろアレなんで、退かないか?」
「嫌だー俺も泰二がいー。」
岩田が平田の誘いに、ぷほーっと酒気を吐きながら嫌だと返す。浅見も真っ赤になりながら泰二の首に更に強く抱きついた。
浅見の顔が変なふうに赤い。岩田の酒気でやられて、勢いで泰二にちょっかい出しているのだろう。
これはどうしようもないな、っと平田が頭を垂れたとき、「どわーーーっ」と言う特有の声が聞こえた。

「だめだーーー泰二のいーーは俺だーーー!!可愛がるのもおれだけーーー!!」

太一の大声が部屋中にこだましたと思ったら、泰二に乗っかっている全てを払いのけ、太一は泰二の首に抱きついた。
太一以外の一同唖然。
太一の大告白?に、泰二は今までに無いくらい顔を真っ赤にした。
この弟の泰二が顔を真っ赤にするのは、たいてい兄貴の太一に対してだけ。大変解りやすい反応に、八木沼や大山、トムは大笑いした。
「こっっっの!バカ兄貴!!!離れろ!!!」
泰二は焦って太一を引きはがそうとするが離れない。そんなこんなしていると、このまま笑い物になるのは目に見えている。
「くっそ!!」
泰二は悪態を吐き、そのまま太一を抱きあげて足早に談話室を出て行った。

「あはは、そんな格好のまま矢島さんに見つかるなよー。」
泰二の後ろ姿に、平田は軽く笑って声をかけた。
「くくくっ、アレはほら、「平田さんがー。」と同じだよな。」
同じく後姿を見ながら、八木沼が笑って言った。

自室に戻る。
幸い誰にも会わなかった。まあ、会ったところで誰に何言われようと睨み返すだけだ。
「いい加減離れろ!!このバカ兄!!」
今度は渾身の力を込めて太一を引き剥がす。引っ付き虫よろしく、べりりっと勢い良く剥がし、ころりと太一をベッドの上に投げ捨てた。そして太一の肩口を押さえ込み、勢い良く怒り出した。
「いいか!今度みんなの前で膝で丸くなったり、俺がいーーーだ、、、の、、、。」
泰二は先ほどの太一のセリフを思い出し、言葉を切って再び赤面した。
言葉に詰まった泰二に、太一はどうしたのかと心配に泰二の顔を上目使いで臨む。
それに泰二は慌てて太一から手を退け、後ろを向いた。一々この兄貴のしぐさ等に弱いこの弟、兄バカである。
―――ちくしょう!!落ち着け自分!!
泰二は自問自答しだした。
―――だから、あれは、俺がいーとかソレで、その、そんなんじゃ無くて、、、。
―――・・・あーだから、ダメだろ!!ソレは!!兄貴だぞ!!
―――可愛がるとか、、、兄貴で、近親なんとかじゃねーか!!
否定しつつも、なんとか結論に達する。
―――・・・双子、、、だよな?で、自分と同じ遺伝子で、、、。
―――えーっと、双子で、自分としてるならオナニーと一緒か?OKか?
ちょっと混乱しているようです。

「兄貴!!」
真面目な顔で泰二は太一を振り返った。が、すぴーーーーっ、と軽快な音がベッドから響いていた。太一は鼻を鳴らして気持ちよさそうに寝ていた。
「・・・・・クソ兄貴~、、、。」
自分の一大決心を、何時ものごとく覆す兄、太一。
さすがに寝ている人間にアレやソレは何なので、怒る矛先、寝ている人にするのはただ一つ!泰二は油性サインペンを取り出し、太一の額にお約束を書いておいた。

―――にく。

起き上がり、いの一番に八木沼や大山、二階堂にからかわれる太一。
寝ている間におかしな話だと、太一は泰二を睨むが、そんなのは当然だと、泰二は太一を無視した。
でも太一は、無視されても無下にされてもメゲナイ。
弟のいー所を解っているのは自分だけだと思っている。
そして、兄として弟は可愛がるモノだとも思っている。

「だめだーーー泰二のいーー(所を解っているの)は俺だ(け)ーーー!!(弟を)可愛がるのも(兄の)おれだけーーー!!」

弟、泰二の兄バカ以上に、太一の方が弟バカのようです。

おしまい

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