VIPから来ますた
更新日: 2011-04-26 (火) 17:31:05
406です。今更ですが続き書いたので投下。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
「…お前な、大声でそんなこと言ってんじゃねーよ。ほら、周り皆お前を見てんじゃねーか」
「え?何お前まんこってだけで恥ずかしがっちゃうの?…もしかしてDou-tei?なーんて」
けらけらと笑う彼の頭をはたく友人。
彼はいつもこうだ。まるで言葉を覚えたばかりの幼稚園児のように、下品な単語を大声で話す。周りがいくら白い目で見ても、まったく気にしないのだ。
「…もういいや。んで、なんだっけ?801板に凸すんだっけ?」
これ以上この話題を続ける意味がないと悟ったのだろう、友人は天にむかってため息をついてから彼に問い掛けなおすと、再び彼の顔が弛んだ。
「そう!いつもは凸って言っても、みんなで行って2~3日もしないで祭終了だろ!?だからさ、今度は俺が一人で1000までいくくらい粘ってやろうと思って!」
友人はvipperではあるが、今まで801板を見た事がない。他の板を荒らすことよりも、安価を出したりROMしたりすることが好きなのだ。
だから友人はあまり深く考えずに、楽しそうでいいんじゃね?などと適当に返し、彼はそれに嬉しそうに笑いかけたのだった。
と、いうのが一昨日の夕方の話。
今、彼は自室にてパソコンと向かい合っている。相も変わらずタイピングの音だけが響きわたる部屋で、赤くなった顔を歪めつつ画面を見つめながら。
「…ッ、なんで!!こいつらこんなんなんだよ!!!」
彼の視線の先、パソコンの画面の中には一つのスレがあった。
――【r冷静に】なぜ801が悪いのか説明する【理論的に】――
その中では、>>1がたくさんの名無しによって遊ばれ――いや、いたぶられていた。>>1が何度口汚なく罵っても、煽っても。名無し達はそれに煽られることなく、むしろ嬉々として>>1を隆辱しているかのようなレスを返す。
いつものvipでのスレとは、根本的に全てがまったく違った。
「俺間違ってないよな!?この腐女子達だってホモ妄想してるだけでチンポ好きなはずなのに!!いつの間にか俺が負けてるみたいになってっし!!!」
氏ねとか馬鹿とか、そんな言葉なら他のvipper達にさんざん言われてきた。それに対する対処だって慣れたもの、だったのに。
まさか自分が801妄想の、しかも受けとしてネタになっているだなんて。
彼はもうどうしたら良いのかもわからず、目に涙をいっぱいに溜めてしまっていた。
「…もうここにはいたくねー。そろそろvipに戻る、と…ッ!?」
一旦vipに戻る、というレスをつけた直後。不意に鳴るのは傍らに置いた携帯電話。
元から登録数の少ないそれは、決まった人間にしか鳴らされない。鳴らすのは家族、そして――あの、友人だけ。液晶のディスプレイを見ると、やはりそこにはあの友人の名前が表示されていた。
「…もしもし」
『あ、今暇?』
「暇っちゃあ暇だけど。なんだよ」
『イライラすんなよ。で、801板のあのスレ、お前がたてたの?』
「――だったら?何」
今一番聞きたくなかった事を言われ、不機嫌さを隠す事も出来ずに答える彼に、友人はニヤニヤと笑いを含んだ声で、こう言った。
『…なあ、あんな事言われて、恥ずかしくなかった?』
「…俺を馬鹿にしてるわけ!?」
怒りで手が震え、涙を堪えているために声も掠れている。
あの友人が自分を、801板の名無しと同じように馬鹿にするだなんて。
信じられない。
彼は、友人と出会った時の事を思い出した。
「なぁ、ここいい?」
入学当初、まだ友達がいない彼が一人で昼食をとっていた時のこと。
彼の隣りの席に座り、人懐こい笑みを浮かべてそう話し掛けてきたのが、あの友人だった。
人見知りの彼はその時、仏頂面でそれを受け入れただけだったのだが、本当はとても嬉しかった。
なにしろ、彼は入学当初からずっと一人だったのだから。
そこで、彼と友人は色々な話をした。
出身はどこ?…俺は、ずっとこの近くに住んでる。へー、俺は生まれが函館で、最近こっち来たんだよ。…函館、って…五稜郭、とか…。
おっ、よく知ってんじゃん、新選組好き?アレだ、五稜郭は俺ん家みたいなモンだから。…変な事言うのな、面白ェ。
お、やっと笑ったな、で、名前なんていうの?
最初から馬が合ったのだろう。人見知りな彼も、すぐに打ち解けて話すことができた。
学校のこと、好きな曲や本のこと。そして、2ちゃんねるのこと。
楽しかった。友人と話すのは。
もっと仲良くなりたかった。その一心で彼はvipを始めた。
vipを見た当初はその雰囲気に馴染めなかったけれど、友人がやっていることなら楽しいのだろうと思った。他のvipperとは違って、友人は彼に冷たくしたり、嘲笑ったりすることはなかった。
そんな友人が、今、彼を笑っている。
『違うよ、お前を馬鹿になんかしてない』
電話の向こうから聞こえるのは、いつもの友人の優しい声。彼の目から一筋の涙が流れた。
「…嘘つくなよ。お前だって、こうやって名無しに馬鹿にされてる俺を、笑いにきたんだ、ろ」
涙のせいでまともに話すことができない。彼は、今悲しかった。とてもとても、悲しかった。
『違うって…、て、お前。泣いてる…?』
それは彼が、友人に笑われたから。
「もう。俺は、vipやめる。お前と話すのも」
自分友達なんかじゃなく、ただ馬鹿にされているだけの存在なんだと思ったからだ。
『なに言ってんだよ、お前…俺は!』
「俺を笑いたいなら最初からそう言えよ!!」
悲鳴が部屋に響く。彼は最早泣いていることを隠さなかった。いや、隠せなかった。
彼は今、やっと気付いたのだ。
この友人が、こんなにも好きなのだと。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
この物語はフィクションです。また続き書きに来ます。
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