炎と蜂と音楽
更新日: 2011-04-26 (火) 17:28:14
炎と蜂と音楽、映画後日談のひとこま。
小説版とコミックス版設定も混合のため蜂の発声機能未回復。オマケにドン暗いorz
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
差し伸べた指は銀色の頬に僅か数インチの距離で阻まれる。
現世(うつしよ)と隠世(かくりよ)とを隔てるたった一枚の玻璃の壁。
自分たちの身体の大きさから見れば無きにも等しくそれでいて無限の距離。
ディセプティコンとの戦いが終わり、地球に留まることとなったオートボット達は
彼らに協力を約束した政府によって提供されたフーバーダムの地下、
旧セクター7の研究施設を本拠地として滞在している。
ディセプティコン達の『遺体』は海溝の底へと葬られたが、オートボットの副官のそれについてだけは
彼らの心情を慮(おもんばか)って可能な限りの修復が施され、外界環境への万一の影響を避けるために
真空状態に保たれた強化ガラスの『棺』に収められてこの地の研究棟(バンブルビーが拘束されていた部屋)
に安置されている。
黄色と黒の指先が、小柄な銀色の身体を覆うガラスをゆっくりと辿る。
スパークさえ宿っていれば今すぐにでも起きあがるであろう姿は、さながらこの星で学んだ童話の姫のようで。
ただ一つの相違は目覚めの手段などもはや絶対にないのだという厳然たる事実。
バンブルビーは穏やかに眠っているかのようなジャズの貌を見つめながら、哀しいとも愛おしいともとれる
電子音のつぶやきを漏らした。
「ここにいたのか、バンブルビー」
顔を上げて振り向いた太陽色のオートボットのアイセンサーに、彼らのリーダーである大柄な
赤と青のオートボットの姿が飛び込んできた。
ゆっくりと歩み寄ってきたオプティマス・プライムは静かに片膝をついて、ジャズの棺とバンブルビーの側に屈み込む。
いつもは穏やかなそれでいて確とした意志を宿し輝く青い瞳も、今は深い悲しみを湛えて暗く揺らいでいた。
しばらくの沈黙の後に、
「………すまない」
重く、低く、悔恨に満ちた呟きがバンブルビーの聴音機構を打った。
「すまない、ジャズ。すまない、バンブルビー。
私がほんの僅か判断を違えてさえいれば…このようなことにはならなかったはずだ。
バンブルビー……私は二度も、お前のたいせつなものを奪ってしまった」
何千年も前、オールスパークの悪用を防ぐため宇宙へと打ち上げる作戦時に危険な囮役を担ったバンブルビーは
メガトロンに捕らわれ苛烈な拷問の果てに声を失った。
その事実に接するたび、オプティマスが激しい自責の念に駆られることにはバンブルビーも気づいていた。
そして今度は、数年前只一人未知の惑星である地球に潜伏し、過酷な任務の果てようやく再会できた二人が
その翌日に永遠の別離を強いられる結果となった事が彼らのリーダーを責めさいなんでいる。
バンブルビーはオプティマスを見上げ、彼の大きな手に触れた。
穏やかな電子音とともに、己の意志をデータの形で送信する。
司令官、ゴ自分ヲ責メテハナラナイ。貴方ハ何モ悪クナイ>
「ありがとう、バンブルビー。だがやはり、これは私の責任なのだ」
データ送信による意思疎通には感情をほとんど反映させることが出来ない。
バンブルビーはもどかしい思いで、打ちひしがれて項垂れるオプティマスを見やった。
オートボットのリーダーであり元セイバートロニアンの元首であった彼には弱腰は許されない。
常にまっすぐに立ち、死した者への哀惜とそれ以上に今生きてある者達を慰撫し激励し続けねばならない。
あの戦いの後もそうだった。
リーダーと副官という立場以前に、古くからの友人を喪った哀しみを押し殺しまずは皆を励ましていたオプティマス。
その心中はいかばかりであったことか。司令官、貴方ノセイデハナイノデス>
懸命に送る意志データにもオプティマスは反応しない。
どうにか己の意志を、思いを伝えるすべはないものか。
バンブルビーは立ち上がってオプティマスの正面に立った。
屈み込んでいるせいでいつもより低い位置にある彼の肩に両腕を回し、広い胸に身体を押しつける。
聴音機構に顔を可能な限り近づけて、以前人間の親友にしたように体内の回路の伝達を無理矢理ねじ曲げて
強引に歪みきった声を絞り出した。
「……おぷ…ま…お、ぷてぃ、てぃま……す」
それが、限界。それ以上の声は出なかった。
雷に打たれたかのようにオプティマスが顔を上げ、縋りつくバンブルビーを見やる。
バンブルビーはオプティマスを見つめ、肩口に顔を埋めてゆっくりと首を振った。
「バンブルビー……」
オプティマスの声が詰まる。
彼はゆっくりと手を持ち上げ、小柄な部下の背に回して抱きしめた。
声も音も信号の送信もない、しかし確実に伝わってくるもの。
「バンブルビー……ありがとう、バンブルビー……」
慈雨のごときあたたかな思いに浸りつつ、オプティマスは只ひたすらに友がその生命と引き替えに守りぬいた
愛しい仲間、かけがえのない部下に抱擁を返し続けた。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
∧,,,∧
(・ω・` ) オプがへたれになっちゃってファンの皆様ゴメンナサイ
/ y/ ヽ
━(m)二フ⊂[_ノ ブシッ
(ノノノ l l l )
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