殺伐擬似父子
更新日: 2011-04-26 (火) 15:46:27
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| 瓶サガ トル/フィン×アシェ/ラッド風味
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| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| トル/フィンが原作4巻時点よりもちょっと育ってるの想定してるけど
| | | | \ ほとんど近未来パラレルってことで
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 擬似父子に萌えなんだぜ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
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お前は成長し、俺は老いる。いつかはお前に負ける日も――。
時は自分に味方する。そんなことは、言われなくても知っていた。
しかし、そのいつかは果てしなく遠いと思っていた。永遠にやってこないような気さえしていた。
ましてや、その時が今だとは。
組み敷いた男を見下ろし、トル/フィンは呆然としていた。
勝った。
アシェ/ラッド。父の仇であるこの男を地に倒し、今その喉許に刃を突きつけている。
この光景を何度夢想したことか。けれど、現実となってみれば、味わうはずだと思っていた喜びは無かった。ただ驚き、惑(まど)っていた。
緊迫したやり取りの名残で、アシェ/ラッドは荒い息をしていた。喉が、呼吸に合わせて喘いでいる。
立会い人はなかったものの、望んだ通りの、公正な勝負だった。あとは、形見の短剣でこの喉笛を裂いてやれば良い。その為に研いできた刃だ。
あとほんの少し、腕を横に凪げば事足りる。それなのに、何故かこれ以上動けない。
トル/フィンもまた肩で息をしていた。手元がブレて、刃がアシェ/ラッドの首筋を浅く傷つけた。
淡く金色を帯びた夕日の光の中に、ツ、と流れた鮮やかな赤い色。視覚、聴覚、手指の感覚の順に、現実味が戻ってくる。
「……どうした。やらねェのか」
乾いた声が、トル/フィンの耳を打った。
見上げてくるのは、表情の読めない、瞬きの少ない目。いつもと変らない。それが、トル/フィンの混乱を助長した。
「どうして、テメェが負ける」
問えば、失笑が返って来た。
「まあ、そろそろだ、たァ思っていたさ」
好きなようにしろ、と言うように、アシェ/ラッドは地に背を預けた。草が微かに音を立てた。
遠くから風に乗って、悲鳴と怒号と歓声が聞こえてきた。きな臭い匂いもする。
ビョ/ルン以下アシェ/ラッドの部下たちは、近くの村を襲撃している最中だった。まさか彼らの首領が今まさに生きるか死ぬかの状況にあるなどとは、夢にも思っていないだろう。
この男がわからない。トル/フィンは思った。
野心が強いようであるのに、時折、何物にも執着しない男だとも感じる。
己の命でさえ。今も、トル/フィンがに喉笛を裂かれるか否か、賭けでもしているかのように見えた。
「っざけんな!」
「あ?」
息を整え、トル/フィンは吠えた。アシェ/ラッドの息はまだ乱れている。
自分は成長し、この男は衰えた。今自分に殺されずとも、いつかは先に死ぬのだろう。
そしてそのことを、恐らくアシェ/ラッドは何とも思っていない。
堪らない苛立ちを感じながら、トル/フィンは短剣を振り上げた。
刃は、深々と土に埋まった。アシェ/ラッドの肩口の、衣服だけを貫いて。
「ふざけるな! そろそろだと思っていた、だと!?」
地面に縫いとめられた男の、襟首を掴んで地面に押し付けた。興奮で、息が速く浅くなる。
「それなら、どうして勝負を受ける!」
僅かに、アシェ/ラッドが瞠目した。次いで、唇を笑みの形に歪める。
「なんだ。まるで、勝ちたくなかったみてえな言い草じゃねェか」
「!」
襟首を掴んだトル/フィンの腕が動揺した。
そんなはずが。
ない、と動かそうとしたはずなのに、唇はまるで言うことを聞かない。速く浅い、荒れた息を繰り返し、喘ぐばかりだった。
「あー、あのな、オレも一応、ヒマじゃねェんでな」
微動だにできないでいるトル/フィンを見上げ、アシェ/ラッドが嘆息した。
組み敷き、自由を奪っているのはトル/フィンのほうだというのに、戸惑ってしまった時点でもう、立場が逆転してしまっている。それに気付いて、く、とトル/フィンは奥歯を噛み締めた。
「やる気がねェんなら、さっさと放してくれや」
抜け、と、肩口を縫い止める短剣を顎でしゃくる。その仕草で一瞬、咽喉が無防備に晒された。身体の中でも一番、皮膚の柔らかい部分。
ぎくりとした。何故かはわからない。
「うるさい!」
トル/フィンは奇妙な感覚を振り払うように頭を振ると、もう一本の短剣を振り上げた。振り上げたが、やはり振り下ろせなかった。
研ぎ澄まされた刃が、残照を弾く。それを、アシェ/ラッドは瞬きもせずに見上げている。
動けない。そのくせ鼓動だけが速い。トル/フィンは唇を噛んだ。唇は乾いていたが、舌で湿すほどの気持ちの余裕もない。
ややあって、アシェ/ラッドが何かに気が付いたような顔をした。
「……お前」
「うわ!?」
立てた膝で、もぞりとその位置を探られてトル/フィンは悲鳴を上げた。
「な、な、何、テメ……!」
「そりゃこっちの台詞だ。何サカってんだガキ」
「ぅあ!」
股間のものが硬くなっている、その形を知らせるように腿を押し付けられた。辛うじて剣は取り落とさなかった。
「何だ? 溜まってんのか」
アシェ/ラッドの唇がニヤリと歪む。
「や、ちょ、な、テメ、畜生……ッ、」
アシェ/ラッドを組み敷いた体勢を崩すのは嫌で、意地を張ったのがまた悪かった。ぐりぐりと揉み込むようにされて、息が上がる。
ついに持っていられなくなった短剣を、トル/フィンは咄嗟に鞘に収めた。戯れに与えられている刺激を、快楽として受け取っている。あまりの情けなさに、涙目になった。
遠くで、略奪の騒ぎはまだ続いている。風に乗って、女の悲鳴が聞こえてきた。すぐには消えず、長く続く。
チラリとその方向に視線を向けると、アシェ/ラッドはまた人の悪い笑みを浮かべた。
「たまにはあいつらに混じって女抱いとけ」
「ッ、クソ、……ギャーギャー言ってる女相手に勃つか!!」
「うん?」
苦し紛れに喚いたトル/フィンに、アシェ/ラッドが眉を上げる。からかうような笑みは、苦笑いに変化していた。
「……じゃあ何だ? 親父の仇のオッサン相手なら勃つのかお前は」
今度こそ、弾かれたように、トル/フィンはアシェ/ラッドから離れた。
「な、な、な、この……っ!」
頬が熱い。半泣きの状態で頭に血が上ったものだから、のぼせた。トル/フィンは手の甲で鼻の下を擦った。鼻水が垂れそうなのだ。
「うっさい、ハゲ、死ね」
「じゃあ殺せば良かったんじゃねェのか? 父上の霊に捧げるんだろう、オレの心臓を」
ぐずぐずと鼻を啜りながらどうにかこうにか悪口を吐くと、地面の上の男がからからと笑った。
「次は必ずそうする!」
「次なあ。どうしようかねェ、お前、強くなりやがったからなァ」
トル/フィンは瞠目した。驚いたのだ。強くなったと言われたことよりも、言われて微かな喜びを感じている自分に驚いた。
成長し、戦士になって認めてもらうことは、幼い頃の目標だった。しかし、強くなったなと、頭に手を置いてくれるのは父だったはずなのだ。
この男などではなく。
「……働けば良いんだろう」
父の形見の短剣を地面から抜き、トル/フィンは低く言った。
「ああ。そうだな、オレの首に釣り合うだけの働きをしろ」
「するさ」
トル/フィンは踵を返した。走れないのは、まだ股間の興奮が続いているからである。何の気の迷いだ、と自身の身体を叱咤したところで、どうにもならない。
ああそうそう、と間の抜けた声が背中から追って来る。
「それなァ、適当に抜いとけよ、身体に悪ィから」
返事をせずに、トル/フィンは足を速めた。
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| | □ STOP. | | オソマツサンシター
| | | | ∧_∧ ハゲ相手には攻だけどそれ以外が相手だと
| | | | ピッ (・∀・ ) トル/フィンは受のような気がする。不思議。
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|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
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