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輝きスレの河合卓のAAがツボったので

>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

男はもう72時間ものあいだ眠りについていなかった。仕事上避けられないトラブルが
発生し手を尽くすもドミノ式に一度起きた問題は加速度をつけて仕事量を増やしていき
家にも帰れない、食事もまともにとれない、トイレに行く時間も惜しいという有様が
三日続いたためだった。相手方の電話を待って床に大の字になっていると意識を失って
着信音で目が覚める、慌てて時計を見ると気絶していたのはたったの五分間なんてことも
あった。この三日、口にしたものといえば机に溜め込んでいたカロリーメイトの類、
浴びるほどのコーヒー、少量のチョコレート、ミネラルウォーター、命綱のドリンク剤。
そうそう、気を利かせた後輩が差し入れてくれたカップラーメンも食べたはずだったが
味は覚えていない。仕事をしながらだったせいだ。すべての後始末が済んだのは早朝で、
開いたばかりの銭湯にでも行ってひとっ風呂浴びて、朝定食でも食べて、そんで始業時間
までちょっと仮眠をとって…と考えているうちに男はまた床で寝てしまう。気がつくと
頭を定期的に叩く何かがあった。人の指だ。ツンツンというかんじで頭をつつかれている。

「同僚くん同僚くん」その声に男は覚えがあった。同じ課の河合卓だ。いつも飄々として
何を考えてるかわからない顔で、何を考えてるかわからないことを言う変な男だ。「寝る
ならそこのソファがいいと思うよ」顔を上げるとすぐ横のソファを指差される。時計を
見ると始業時刻まではまだ一時間もあった。男はもう風呂も朝定食もどうでもよくなって
いてとにかく眠りたかった。そうさせてもらおうとソファに横になると眠りに落ちる前に
いい香りがしてきた。淹れたてのコーヒーの香りだ。まだ河合卓以外にオフィスにいる
人間はいない。

河合卓が作っているのだろう。向こうから「はーおいしい」と声が聞こえる。それは
ようございました、と男が思いながら再び眠ろうとすると河合卓は男と反対側の
ソファにどっかりと腰かけてしみじみとコーヒーを味わいはじめた。時折聞こえる

はーだのふーだのの声。気になって眠れやしない。「あの」と男が声をかけると「君も
ほしいの?コーヒー」と河合卓は立ち上がって給湯室に消えた。いや、静かにして
ほしかったんだけど、と思いながらもせっかくの厚意を受け取らないわけにもいかない。
昼寝の前にカフェインを取ると目覚めがいいという話も聞く。ありがたく受け取ろうと
すると河合卓がもってきたのは黒が見事なブラックコーヒーだった。「はい、どうぞ」
じゃない。これから仮眠する人間にブラックはないだろう。丸三日男が眠っていない
ことは河合卓も当然承知の上のはずだった。「あの、ミルクは?」と聞くと「ああミルク。

ミルクなかったよ全然ない」とのこと。それなら仕方ないと一口だけ口に含んでカップを
置いた。そしてもう一度眠ろうとすると河合卓はソファから立ち上がってどこかへ行く
気配がした。気を使ってくれたのかな、と思い眠りに落ちようとした途端響くラジオ
体操の録音。いち、に、さん、し、と河合卓の声が聞こえる。気になって眠れやしない。
「あの、どうしたんですか」とたまらず話しかけると「今朝やるの忘れたんだよね、
うっかり」と伴奏に合わせて体を動かしている。「一緒にやる?」と言われたが、男は
丁重に断った。とにかく眠りたい。けれどいち、に、さん、し、は続く。伴奏も続く。
ただひたすら終わるのを待った。十分もしてラジオ体操が終わるとまた河合卓はソファに

戻ってまたコーヒーを飲んだ。男はすっかり目が冴えていた。淹れてもらったコーヒーを
すすり、河合卓を見る。こんなに間近で顔を合わせたのは仕事のとき以外にない。男は
河合卓のことが好きだった。思いは叶わないとしても気持ちだけは告げたいと思っていた。

他の社員はまだ誰も来そうにもない。河合卓はわざわざ男のためにコーヒーを淹れて
くれた。嫌われているというわけでもなさそうだ。告げるなら今しかない、と三日寝て
いない頭で男はそう思った。神妙な顔を作り手と手を組んで視線を落とし目一杯雰囲気を
作ったつもりで男は言った。「河合さん、実は俺、あなたのことが好きなんです」男は
言ってやった!と内心でガッツポーズを決めた。河合卓は嬉しそうでも嫌そうでもなく、
まったくの無表情でしばしのあいだ男を見つめて沈黙し、やがて言った。

「で?っていう」

なんか変なとこで行数あいたりしてサーセン!
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!


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