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ス/ピ/ン/シ/テ/ィ 第89話ネタ周辺(1) マイク×ジェームス

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

・ネタをご存知の姐さんがふたりもいた嬉しさで調子に乗りますた
・掛け合いを書いたら無駄に長くなったorz 2回に分けます

「ゲイが必要だ。誰か、ゲイの人いない?」──第1話

 ジェームスがわめいている。なんだか知らないけど、とりあえず黙れ。純朴な
ウィスコンシンの若造め。いつまでスチュワートのブラックジョークを真に受け
れば気が済むんだ。僕は今日も忙しい。スチュワートのおいたを叱る役目はカー
ターに任せよう。このごろスチュワートは妙にカーターに従順になった。彼らが
一緒に暮らしはじめたからだということは分かっている。ともあれ深く考えるの
はうんざりだ。僕はウィンストン政権が順風満帆であればそれでいい。僕はスタ
ッフのみんなのことが大好きだ。ケイトリンのことだけは憎たらしいけど、でも、
彼女は今度の選挙の勝利に欠かせない参謀だし、おまけに僕は彼女と猛烈に寝たい。
悪くない。それでいいじゃないか。僕が市長補佐としてこの職場でやっていくため
に、他にどんな理屈や言い訳が必要だというんだ。

 とにかく僕は忙しい。忙しい。
 忙しいんだよ。頼む。……ウソじゃない。

 しばらく静かになったなと思ったら、ジェームスがうなだれた様子で補佐室に
入ってきた。純朴なウィスコンシンの若造め。森の熊さんに彼女でも寝取られたか?
よく見ると顔が真冬のハドソン川みたいな灰色だ。まずいぞ。選挙にそなえて、
書いてもらわなきゃならないスピーチ原稿が山のようにあるのに。
「ジェームス……」僕は頭の中に当面二十四時間のスケジュールを書き出した。
「いいか。回れ右して、家に帰って、二段ベッドの枕にアタマを突っ込んで、きっかり
五時間冬眠してろ。原稿はそのあとでいい。スチュワートとは絶対に口を利くな。いいね?」
「マイク!」ジェームスは突然飛び上がると、僕の机の前まで一気に突っ走ってきた。
「聞いてくれよ!僕は自分の真実に気がついたんだ!聞いてくれ!」
 僕は椅子ごとうしろに下がった。「手短に頼むよ。韻は踏まなくてもいいから」
「僕さ……ゲイなんだ!!!!」
「おい、スチュワート!」僕は椅子を蹴り倒して扉へ向かった。「おまえ本気で
クビにされたいか!? 他人をからかうにもほどがある!ジェームスに何を吹き込んだんだ!」
「違うよマイク。スチュワートは関係ないよ。僕、ほんとにゲイなんだ」
「黙れーッ!!」引き止めようとするジェームスに僕は怒鳴った。「君には失望した!
スチュワートにも、他のみんなにもだ!いいか、君がゲイなんてありえない、
絶対にない、ゼロ、0、ベーグルの穴と一緒!どうしてみんな、こんな錯乱した仲間を
ほったらかしておくんだ! ジェームス、今日は本当に帰っていい。二段ベッドの枕に
アタマを突っ込んで、きっかり24時間冬眠してろ。そのあと君が書くのは、原稿じゃ
なくて反省文だ」

「マイク……」彼はさっきとはうってかわっていやに穏やかな顔でこちらを見た。
「マイク、どうしてそんなことを。混乱してるんだね。落ち着きなよ」
 落ち着くべきはおまえだ、ジェームス。僕は彼をソファに座らせた。
「なあ、どうして自分をゲイだと思ったんだ」
「実は、夢を見てさ」
「どんな夢だ?」
「ロケットに乗って宇宙に飛ばされる夢だ。いかにもゲイが見そうな夢だろう?」
 さっぱり分からないぞ、ジェームス。
「それだけじゃない。そのあと、カーターとスチュワートとポールにキスされる夢も見たんだ」
「どうせ、ブタにキスされる夢だって見るんだろ? 似たようなもんだ」
「ひどいよマイク。カーターのことはゲイだって認めてるのに、どうして僕の
ことは認めてくれないんだ」
 僕は彼の鼻先に指を突きつけた。
「だって、おまえはゲイじゃない!」
「僕はゲイだ!」
「違う!おまえはただのモテない田舎者だ!」
「違わない!」
「そこまでいうなら」僕はごくりと生唾を飲んだ。「じゃあ……試しに、僕にキスしてみろ」
 ジェームスはソファから転げ落ちそうになった。「な、なんだって?」

「ゲイならできるだろ? ウィスコンシンのタフガイ君。僕はニューヨーク一セクシーな
男だぞ。僕にキスできるだなんて無上の喜びのはずだ。口ではどう言おうとも、スーパー
モデルと寝たくない男がこの世のどこにいる? ほら、キスしてみろよ」
 ジェームスは僕の言葉をしばらく牛みたいに反芻していたが、やがて、ふらふらと
立ち上がった。僕の両腕を、ぎこちなくつかむ。僕はもういちど生唾を呑んだ。ジェームス、
思ったより背が高いな。面長の顔がこっちに近づいてきて、反射的にぎゅっと目を閉じる。
腕をつかむ力が強くなった。まさか、ばかめ。頭の中に動揺が走る。本当にやる気じゃない
だろうな。できるのか? 違うよな? よせ、う、嘘だろ? 

 ……温かい息がちょっとだけ鼻先に触れて、思わず身をこわばらせた瞬間、腕から
ふっと力が抜けた。目を開けると、ウィスコンシンの純朴な若造は、床の上に膝を崩し、
ぜえぜえ苦しげに息をついていた。ほら、見たことか。子豚にちなんだジョークでも
言ってやろうと思ったが、何だかかわいそうなので、その天然パーマの頭だけ
もしゃもしゃと撫でてやった。

[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!

  • 素晴らしいです(゚∀゚) -- 2014-05-20 (火) 01:10:13
  • 可愛い! -- 2016-03-02 (水) 22:58:12

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