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野球 千葉ロッテマリーンズ 前の×今の遊撃手

ナマモノ棒球 区鳥・前の×今の夕劇守
・やまもおちもいみもなし ・今さら高留線 ・色々と捏造
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ ヒソーリオオクリシマース!

珍しく夜中に目が覚めた。メールの着信音で起きてしまったらしい。こんな時間に先輩から何事だろうと思って
枕元の携帯電話を開いてみたら、今俺に小柄な体を半分乗り上げさせて寝ている人を捜していたと言う。
「俺の隣で寝てますよ、っと。」
疲れているのに熟睡に落ちる前に起こされたのが癪だったが、今日は活躍もしたし気分はいい。にやけながら
正しい情報を教えてあげた。満足して電話を床に置いてある鞄に投げ込む。
もう一度寝る前に一服したくなったが、彼がTシャツ越しに胸へ顔を寄せてぴったりと密着していた。豆球の
明かりを頼りに、その横顔を覗き込む。頬が以前よりちょっとばかりこけたようにも見える。すやすやと息を立てる
寝顔は、背丈の事を抜きにしても、見ようによっては子供のようだ。眺めていると、怒濤の二日間が頭を巡った。
彼はここに帰ってきた。俺にまた痺れるような感覚を教えた。そして今まだ俺の傍にいる。
一旦視線を外す。やはり一本吸おうと、軽く肩に回された手を解こうとする。
「カンインを・・・」
「は?」
急に彼が寝言を言ったので、思わず動きを止めた。
「・・・十度もしてない。」
先ほどより厳しい顔つきをして、一体どんな夢を見ているのだろうか。俺を捕まえている手がほどけて、彼は
ころんと仰向けになった。浴衣をきっちり着て、首にはタオルを巻いている。こうして体の線を見てみると、
やはり少し痩せたようだ。左胸を覆っている生地を引っ張り、上半身を覗き込んでみる。
あの動きを可能にする筋肉、その形通りに僅かに盛り上がった白い胸に、薄く色が変わっている所があるのが
目に入った。しばらく距離をとってぼんやり見とれていたが、引き寄せられるようにそこに唇を持っていって
しまった。触れた瞬間、ぴくりと片胸が跳ねた。構わず吸い付く。うっと呻いた彼がどんな顔をしているのかにも
興味があったが、口を離したくなかった。煙草のかわりに何か含んでいないと、気が済まなかったのかもしれない。
自分の胸がちくりとして、彼が引き出した快楽を思い出した。しかし俺が貪っているのは興奮というより安心だった。

たまに舐めたりすると肌が震えるが、よく眠っている彼はどこへも逃げていったりしない。焦りなく、ただ口を
あてがっていられた。
すっかり浸って、このまままた寝てしまいそうだと思っていたその時、電話が鳴り出した。そういえば音を切って
いなかった、と舌打ちする。手を伸ばしても届きそうにないので、仕方なくベッドから降りて取る。
「何すか夜中に!」
本当に彼を見かけなかったか、とどこかのんびりとした声。
「だから、今ここにいる言うてるやろ。それじゃ!」
邪魔をされて苛々していたので、ベッドに腰掛けながらそう言い切った。何をそんなに怒って、と言いかける声は
無視して電源ボタンを押す。今度こそ鳴らないようにして、鞄に放り込んだ。

すっきりしたが、体は休みたいはずなのに目が冴えてきてしまった。とりあえずもう一度足を布団に入れようと
して、彼も半身を起こしているのに気が付いた。
「あれ・・・起きてたんすか。」
何だかがっかりする。まだ少し、口寂しかった。
「ん、何か叫んでなかった?」
「あ、すいません。夜中に電話かけられたんで・・・。」
「そう、夢かと思った。」
浴衣が乱れているのに気付いて、タオルとの隙間がないように直している。
「そういや、何か寝言言ってましたね。何だっけ、十回もしてないとか。」
手を止めて顔を上げたその瞳が、ふと右に泳いでいったのが分かった。
「もしかして、やらしい意味?」
「う・・・。」
嘘がつけるような人ではないが、目を逸らしたりしなければそもそも気付かなかったのにと思う。
「一体何考えてるんすか。十回やったら死にますよ。」

とっさに、わざと怒っているようなふりをしてみる。実際淡泊そうに見えて時間も手数もかけてきているから、
よく考えるとぞっとする。しかし俺の期待した通りの気まずそうな、何かを我慢しているような姿が面白い。
「そうじゃなくて。」
「じゃあ、何?」
両肩を捕まえて、鋭いとも言われるつり目でじっと見据えて、顔を上から近づけて訊く。その無表情に恥ずかしい
思いをしている分、この状況はたっぷり味わわせてもらう。
「お前の事、考えた回数というか。」
「そっか、やらしい事考えた回数だ。」
実に素早く頭が回る。図星をさされて観念したのだろう、彼は神妙にこちらを見上げて頷いた。
「ふっ、そんな顔しなくても。俺怒ってないっすよ。」
我ながら完璧な速攻が決まって、もう頬が緩むのを止められない。真面目な人が後ろめたいくらい俺の事ばかり
考えて、それで悩んでいるなんて本当におかしいと思う。
「すいません、こんなに笑って。」
いちおう謝りながらも、笑みは抑えられない。この調子なら、気にかかる事を色々吐かせる事もできそうだ。
「セカンドにランナーいるのに。」
「あ。」
思いがけない所を持ち出されて、俺は口を半分開いたまま彼に向き直った。
「嬉しそうにして。」
「嬉しかったっすよ。」
あの場所で会えて話を交わせたから、もうすぐ2人になれると思ったから。久々にと思うとわくわくした。
「・・・あれ?」
つまり、俺も彼と同じようなものかと手を頭にやる。でも俺は、いちいち深く考え過ぎて気持ちを抑えこんだり
しない。結局は好きなのだから、嬉しいのだから、仕方がない。
「俺はむっつりじゃないから。」
自分にも言い聞かせるように言う。彼は何かに魅入られたような目をして、黙って後ろ髪に手を伸ばしてくる。

たまにこういう、俺の話を全く聞いていないような時がある気がする。マイペースな所が出てしまうのかと思って
いたが、それだけではないと気付いた。
「惚れてるんだ?」
口角を上げてにやりとした顔を作って、視力が良くない彼のために至近距離で言ってあげた。
「うん。」
赤面するかと思いきや、真剣な顔をして頷く。右手を髪に絡ませながら、左手は俺の頬にやって来る。体を
伸ばして、目はぱっちり見開いたまま、下からゆっくり口付けられる。人前で話す事すら恥ずかしがる事もあった
はずなのに、こうして覚悟を決めた時は逃げも隠れもしないと言わんばかりだ。あれほど求めてまだ飽きないのかと
呆れもする。しかし他ならぬ彼をこれ程惹きつけていると思うと、悪くない。ぐっと目をつぶって彼のするに任せた。

上下の唇をついばんだだけで、彼のそれは頬や顎に移って行く。薄目を開けて見ると丁寧に口付けていく様子が
分かって、胸に満足感が広がっていった。

「寝ないとね。」
はっとしたように顔を引き離した彼は、すぐに平穏な表情に戻って言った。俺も落ち着いてきて、変な時間を
過ごしたなと冷静に考えた。
「うん、じゃあこうやって。」
先ほど口を寄せていた辺りに頭をつけて、そのまま一緒に横になる。
「・・・夢みたいや。」
一瞬、目が覚めてからの時間が、この二日間が、そして彼との何もかもが、とても儚い事のように思えた。馴れて
きているような気もするが、1年前にも考えつかなかった事ばかりだ。
「またすぐ会える。」
そのはずだが、朝までは醒めなくてもその先は分からないと思った。強い力で胸を抱く。目を閉じながら、撫でて
くるその手の感触を覚えようとした。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀T )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
まさか今年はこれが最後とは。ツーショハ、カワイカッタケド


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