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映画「3OO」若者コンビ1

「3OO」スレ443で自分が書いたネタを広げてみた
滅多に文章なんて書かないから壊滅的だが許して
あ、このスレ141とは別の人です

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

「いてっ」
小さく聞こえたステ/リ/オスの声に、アス/ティ/ノスは慌てて振り返った。
つい先刻まで実戦さながらの手合わせをしていたのだ、痛みに強い彼が声を漏らす程の傷でも出来ていたのだろうかと。
「どうしたっ……あれ?」
ステ/リ/オスが首を傾けた変なポーズで固まっている。
眉間に皺をよせてしかめっ面ではあるが、血が出ている様子は無い。
どうやら深刻な怪我などでは無さそうだ。アス/ティ/ノスはほっと息を吐く。
「何やってんだよ」
「い…ってぇー」
見れば、細い紐をぐいぐいと引っ張っている。ステ/リ/オスが剣を振るう時、髪を束ねている物だ。
どうやら汗をかいたことで髪が濡れ、解き難くなったらしい。そうでなくても、彼の金の髪は細かく波打っていて絡みやすいのだ。
「いでっでででっ」
「あーあー力任せに引っ張るなよ」
ほら、と促して手を放させる。
髪の一房に絡み付いたまま、申し訳無さそうに紐がぶら下がった。
それにしても。
くすくすとアス/ティ/ノスが笑い出す。
「……何だよ?」
不審に思ったステ/リ/オスが聞けば、アス/ティ/ノスは楽しそうに笑って言う。
「一体、どうしたらこうもグシャグシャに結えるんだ?」
不器用だとは思ってたけど、と言えばうるせえ、と不機嫌に返される。
手合わせの高揚した気分が台無しになって少々ムカついているらしい。
しかし、実はアス/ティ/ノスが笑ったのはそれだけでは無い。
激しい組み手で打ち身を作ろうが、剣が皮膚を裂こうが声一つ上げずに耐え切れるステ/リ/オスが、この程度の事で大騒ぎしている。
それが何だか酷くおかしくて。
可愛いなぁ、なんて思ったのだ。

(……絶対怒るから、言わないけど。)

複雑に絡まった髪を器用に解いていく。
無理矢理引っ張っていたせいで千切れた金糸が数本、はらりと落ちた。
「勿体無いなー。大事にしろよ、綺麗な髪なんだから」
「うるせえ。女じゃねぇんだ、一々髪なんか構ってられっか」
別に性別は関係無いんだけど、とアス/ティ/ノスは思う。
ステ/リ/オスの髪は夕焼けに照らされた、収穫前の小麦の色。綺麗な金の髪だ。
質素を旨としたスパルタで本物の黄金を見る機会はそうそう無いけれど、そんな物よりこの黄金の方がずっと綺麗だと思う。
アス/ティ/ノスが世界で一番好きな色。
「今度から、毎回俺が結ってやろっか」
それなら髪が痛まないだろ、と言えば怪訝な顔をされた。
「はぁ?……まあ、別にいいけどな。お前がいない時はどうすんだよ」
「また絡んでたら、俺が解くよ」
何でそんなに自分の髪にこだわるのか。
ステ/リ/オスにはさっぱり解らなかったが、アス/ティ/ノスがいい?とあんまり嬉しそうに聞いてくるから、まあいいかと頷いておいた。
目の前の綺麗な顔が、花咲くように微笑んだ。

それからずっとアス/ティ/ノスの前には、自分の結った金の髪がスパルタの深紅と共に翻っていた。

ホット/ゲートに陣取るギリシャ連合軍の弱点、背面に回る『ヤギの道』がペルシア側に知れた――。
その知らせに、連合軍内は激しく動揺した。
実質、海岸線と崖の間隙という限られた空間で大軍の利点を削いでいたからこそ何とかなっていたのだ。
100万ともいう数の敵に回り込まれ、前後を挟まれてしまえば。
当然待っているのは、全滅。
そして、アルカディア軍を始めとした連合軍の殆どが撤退を決めた。
ここで死ぬよりも、故郷の防備を固める方が得策であると考えたからである。

だが、スパルタのレオ/ニ/ダス王と彼直属の300人はここに踏みとどまる。
ほんの僅かな時間でもペルシア軍をここへ押し留める為。
各都市(ポリス)の非戦闘員を一人でも多く避難させる為。
全ギリシャの兵士達を奮い立たせ、その武装を進めさせる為。
そして何よりも。
敵に背を見せず、降伏も撤退も許さないスパルタの矜持を守る為に。
夜が明ければ、ペルシア軍が押し寄せてくるだろう。
今はまだ光も見えない。
だが、刻一刻と最後の決戦が迫っている。

その時、ステ/リ/オスは隊長の作ったアス/ティ/ノスの墓の前に居た。
ステ/リ/オスを置いて、彼は先に逝ってしまった。
寂しいとは思わない。アス/ティ/ノスは栄光の戦死を遂げたのだから。
寂しくは無い。
…ただ、ほんの少し背中が寒いとは、思ったけれど。
「もうすぐ俺もそっちに向かう」
話し掛けても当然返事は無い。
けれどステ/リ/オスは常と変わらぬ口調で話し続けた。
「出来る限り敵を斬り倒してから行くさ。陛下と共に。俺達のスパルタの為に」
見上げればアス/ティ/ノスの髪に似た漆黒が空を覆っていた。
言わなかったけれど、ステ/リ/オスも彼の髪が好きだった。優しい顔に似合った、穏やかな夜闇の色。
そしてあの綺麗な顔にそぐわない硬く大きな戦士の手が、自分の髪を器用に結うのを見るのが好きだった。

「……あー。そろそろ行かねぇとな」
水平線が明るく染まり始めていた。
ディ/リ/オスがもうすぐ発つ頃だろう。
彼を送り出したら、すぐに決戦に備えた陣を張る事になっている。
顔に下りてくる邪魔な髪を簡単にまとめ、結った。
少々髪が引き攣れているように感じる。
「やっぱお前じゃねぇと上手く結べねえな」
ずっとアス/ティ/ノスにやらせていたから、前より酷くなってる気がする。
ステ/リ/オスは苦笑した。
「どうせまた絡んでっから、そっち行ったら解いてくれよ」

王の号令が聞こえる。
マントを翻し、ステ/リ/オスは振り返る事無く走り出した。

名誉の死が、彼を待っている。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

初投下で慣れてないので番号をふるの少し間違ったorz
原作の2人の可愛さには及ばないが書けて楽しかった
終わる前にまた映画観に行こう


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