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脈々

オカ板師匠シリーズから僕×師匠 エロ有
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

 久々に師匠の部屋に行った。以前の態度が怖かったのだが、結局俺はあの人を見捨てることはできないらしい。
 鍵がかかっていないのは当然なので、ノックもなしに入る。部屋はいつにも増してゴミ溜めのようだ。師匠は布団の真ん中でうずくまっていて、生命力を感じない胎児のようにも見えた。
 俺を見ると声もなくへらぁと笑った。でも手は俺の持ってきた袋に伸びたから、単純に空腹だったんだと思う。
 うどんを見つけるといそいそと開けた。その時まで俺は何も声をかけなかったし、師匠にかける言葉もなかった。
 部屋中がおかしな空気になっているのだ。俺の隙間から入り込もうとしているのが分かる。師匠が次に言わんとしていることも、なぜか読めるような感じがした。

「お前もう僕に会わない方がいいよ」
 うどんをすすりながら師匠が言う。
「僕ね、そろそろヤバい。お前もヤバいよ」
 俺は何も言わない。言いたくない。
「聞いてる? 帰った方がいい。僕だって何するか、」
「何するんです」
「言えないよ」
 訊いてみたが、俺には師匠が俺をどうしようとしているかは分かっていた。勘というか、予感だ。
「俺は師匠を心配してます」
「うん、そうだと思う。僕も心配してる。だから帰って」
 師匠は俺の方を見ないでぼんやり答える。ふと見ると付属のゆで卵は食べていなかった。動物のものが食べられないのかもしれない。
「俺の座標を決めて下さい」
「僕にはもう無理」
 食べ終わった器をそのまま床に置いた。この癖は止めた方がいいと思う。

「師匠がしたんです」
「死ぬよ?」
「構いません」
 途端、ぐっと喉の奥がつかえるような感覚に襲われた。部屋に充満していたものが一気に俺の周囲に集まり、密度が高くなるのが分かる。
「死ぬよ、マジで」
 息ができない。じっとしてるとかなり苦しい。多分動いても苦しいだろうが。
 師匠がこちらを向いた。なんとも感情のない顔だ。それでもどこか見慣れた気がするからおかしく感じられた。
「死ぬよ」
「…脅しですか」
「死んでほしいんだ」
 息苦しさに涙が出てくる。苦しい。苦しい。苦しい。
 死んでほしいなんて、言われると思ってた。俺は俯く。涙がこぼれる。
「僕、ずっとお前のことを見てた。見る度に恐ろしいと思ってた。いつか僕になってくれるって思ってた」
「……なんで、死ぬ、ん、ですか」
「なんだろ。分からないや」
 苦しい。これ以上は無理だ、を何度も越えている。峠の向こう側を見ている。段々と部屋が白く見えてくるのは、何のせいなんだろう。
「楽しくなってきた?」
 あの日、夏の夜空の真下での遊びとは真逆の行為だ。それを俺が楽しんでいる。死ぬかもしれないという恐怖と安堵が押し寄せる。
「助けて、って、言いなよ」
 俺は言わない。これは賭けだ。例え俺になりたかったとしても、師匠は俺を殺さない。これは分かってはいなかったが、俺の願望が強く含まれていた。
「マジで死ぬんだよ」
 首を横に振る。絞りカスみたいな声が漏れる。

「  こ   ろ し  て 」

 口から言葉が漏れた瞬間、師匠が抱きしめてきた。泣いている子供にするように。
 師匠は「馬鹿だな、僕は馬鹿だな」と何度か繰り返していた。俺は喉に息が通るのを感じた。
「死にたいのは、…師匠じゃないですか」
「どうして分かるんだ」
「怖いです、俺、師匠になることが」
 きっとさっきの俺は師匠みたいな表情だったんだろう。一瞬だけ、白くぼやけた視界で、師匠が俺みたいに泣きそうになっているのが見えたから。
 師匠のジーンズにうどんの汁がかかっていた。それは染みることなく弾いている。俺がなんとなくそこに指を乗せると、ささくれに染みて痛かった。
「嫌か」
「嫌です」
 距離を利用して肩に顔を埋めた。初秋の少し冷えた空気が師匠の首を冷やしている。鼻が頸動脈に触れたが、動いている感覚がなかった。
 そのまま師匠の頭をかき抱き、逆に俺が師匠を抱きしめた。口唇で動脈を辿り、耳に触れると、無意識に「好きです」と呟いていた。
「好きです、どうしようもなく、あなたが」
 腕の中の師匠が少しだけ身じろいで、それから心臓にキスするように顔を近づけた。
「お前、きっと僕に感染したんだよ」
 声が師匠のものに聞こえない。多分、俺に似ているようになっているんだろう。俺は眼鏡を取ったが、師匠のことはハッキリ見えた。
 感染。感染したなら、それでもいい。
 長い沈黙の後、観念したような言葉が出てきた。
「…馬鹿だな、お前は馬鹿だな」
 顔を上げると、師匠は俺にキスをした。だけど、もしかしたら俺が師匠にしたのかもしれない。シャツの裾から師匠の素肌に触れると、ようやく二人であると認識できた。
「俺は死なない、殺させない。俺もアンタも生きるんだ」
 真面目な顔で言ってみた。師匠は少し待ってから、俺の頬をペチンと叩く。
「お前、色気ねぇよ」
 それは紛れもなく師匠の、俺が初めて出会った頃の師匠の声だった。俺がまたキスをすると、師匠は熱い息を漏らしながら「ヤバい」と小さく言った。
「何がですか」
「妙に、興奮する」

 その伏せた目がなぜか愛しく見えて、俺はシャツの下の手を荒々しく動かして脱がせる。細い体にはなぜか小さな傷跡がいくつかあった。
 俺も脱ごうとしたが、焦って髪の毛がボタンにひっかかってしまう。師匠が苦笑いをした。
「がっつくなって」
 俺がようやく服を脱ぎ、それを部屋の端へ放り投げると、三度目のキスをした。誘うようにゆっくり開いた口へ舌を入れると、師匠の舌が重く絡む。
 喰われると思ったが、何事もなく離れた。涎が垂れ、間抜けにも俺は舌を出したままだったということに気付き、慌てて戻した。
 師匠は舌なめずりをすると、ニヤリと笑う。不敵な笑みだったが、内心は怯えているのが俺には分かる。
「喰えよ」
 言われるがまま、俺は師匠を引き倒し、動く気配のない動脈に吸い付いた。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
エロというか微エロでした、期待した人すいません
本番はまたいつか…書けたらいいかな、と


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