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死よりもひどい

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  モララーのビデオを見るモナ‥‥。
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 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  スティ一ヴン・王の短編『ナイト・フライヤ一』ラスト以降妄想
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 吸血鬼×ディーズ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
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鬼畜気味ですが、ぬるめです(特に後半以降)

<注意>
小説版『デッド・ゾ一ソ』のネタばれをしています。
殺人のイメージが出てきます。

 あの夜以来、ディーズは休職していた。扉にも窓にもボルト錠を増やし、必要ない限り
部屋に閉じこもり、明かりをつけたまま過ごした。電話がひっきりなしに鳴っていた。
編集長からは矢のような催促が……その後は甘言が降り注いだ。無視するごとに、メッセージに
残される前払い額は吊上がっていった。なんといってもあの酸鼻を極めた現場の唯一の
生き証人の原稿だ。
 編集長は金で買えないものはないと思っている。つい最近まで、ディーズも信仰していた宗教だ。

 4日後の夜、鍵などないかのように玄関が開く音が聞こえ、同時に室内は暗闇に包まれた。
錠が丁寧に掛け直される音が聞こえた。すなわち、自分はこの部屋から逃げだすことは
できないということだ。
 ディーズは一種の安堵を覚えた。自分は今夜死ぬのだろう。願わくは瞬間的に。
あの夜以来続いている、あの映像を繰り返し見続ける人生に比べれば、それはいっそましな
運命に思えた。このときに備えて電話の線は抜かなかったのに、警察を呼ぼうとも思えなかった。
 ただベッドに腰掛け、人生最後の一口としてベッド脇のテーブルからグラスを取り、
ウィスキーを大きく呷った。
「そんなに飲むと身体に良くないよ」
気安げな、笑みを含んだ声が飛んできた。大陸のアクセントを帯びた、低く甘い声。
固く目を閉じ、もう一口酒を飲み下す。
「だから、良くないだろ」手からグラスが取り上げられる。急に空になった右手が身体の脇に落ちる。
 目を開く。壁一面に取り付けられた笑顔練習用の鏡に映っているのは、自分の姿だけ。
(……奴らは鏡に映らない)

「いい部屋だな」
右耳のすぐ傍でその声が囁く。ディーズは鏡の中の自分の姿を見つめ続ける。
「何しにきた……殺すなら早くやってくれ」
「なぜ殺す必要がある? お前は何も暴かない。
 本当のことを書いても、誰も信じやしない。
 今こそお前もジョン・スミスの気持ちを知るときかもしれないな」

 ディーズは再び目を閉じる。議員を暗殺しようとして射殺された、これまで取材した中で
唯一本物だと感じた『超能力者』を思い出しながら。
「服を脱げ」
「なぜ。もう…お願いだ。早く殺してくれ」

 すると彼の声と口調が優しいものに切り替わる。
「君が気に入った。
 …秘密を教えるよ。どうして皆私の訪れをベッドで待ち構えていたのか」
 ディーズは座ったままシャツの前を開く。隣から伸びた手が、引き裂かんばかりに
シャツを取り去る。
「下も。それとも前に回って脱がせてやろうか」
ディーズは立ち上がり、下着ごと脱ぎ捨てる。鏡に映るのは自分ひとりの裸体。
「これからどうなるかわかっているね。
 ……這え」

 命令に従い、鏡の前の床に四つん這いになる。状況は変わらず、目に入るのは自分の
身体のみ……だが、背中に男の体温と、重みを感じる。
 彼の手が前に回る。性的な興奮は全く感じていなかった肉体が、触れられた途端に
反応を示しだす。せめて拒否の言葉を発しようと口を開いても、洩れるのは呻き声だけ。
 数回彼に扱きあげられただけで、ディーズは激しく達し、床に崩れ落ちる。
自分の放ったものが尻の間に塗りつけられるのを感じる。

「力を抜け」
 ディーズはその言葉に従い、彼に身を任せる。自分の身体が、想像していたよりはるかに
大きく拡げられ、そこに熱く硬い物体が侵入してくるのを感じる。
 背を反らし、彼を受け容れる。体内を快感が駆け巡る。
 顔を持ちあげる。快楽に溶けた表情を浮かべる自分だけが鏡に映っている。呆けた顔が
涙で汚れている。こんなのが自分のはずはない。きっと何かのペテンだ。見えないところから、
何かの魔術をかけているに違いない。
「あ……も…ぅ……やめ…ろ」
 そう呟くと、彼が首の後ろにそっと優しいキスを落とす。そのまま彼は耳朶へと唇を移動する。
 自分の背後にいるのは人間ではない。その事実をディーズはありありと感じる。
その唇が耳の形を軽く辿るのと同時に、顎の下を這うその舌先を感じるのだから。
 それでも肉体は快感に震え、返礼として腰を振りたて、体内の異物を締め上げる。

「君のここにキスをしたい」
 やはり優しい口調で彼が提案し、鏡には映らないその指がディーズの唇を辿る。
視界の隅を横切る影がその像を結ぶのを、ディーズは断固拒絶する。
「い…やだ……ぜったいに」

「では次にするよ」首の後ろで彼が軽く笑う。
「その代わり、少し楽しませておくれ」その指が唇を割り開く。
 ディーズは一度だけ彼の手を目にしたとき、犠牲者の血と肉片に包まれていた彼の指を
見たあのときを思い出す。
「大丈夫。きれいだよ。さっき君に触ったのとも違う方の手だ」また笑い声。指はディーズの口中を掻き回す。

「ほら、見てごらん」
もう一方の手で顎を支えられ、改めて鏡の中の自分の姿を見つめる。口を大きく開かされて、
口に差し込まれた透明な『何か』に必死に舌を絡めている。
 開かれたままの口の端から、新たに分泌される涎が落ち続ける。淫猥な眺め。

 動きが激しくなる。自分もそれに合わせて腰を振る。顎を離れた彼の手が、自分の身体を愛撫する。
自分が達するのとほぼ前後して、彼が射精するのを感じる。
――やっと終わった。肩で息をして、床に崩れ落ちる。その背中に男が覆いかぶさってくる。
 彼が楽しそうに囁く。
「次は君をもっと気持ちよくするよ。君にちゃんとキスをして、フェラチオだってしてあげる。
 舌の長さはわかったろ?」

「そして、飽きたら殺すのか?」ディーズが呟く。

「君を殺したりしないよ。君は私の港となるんだ。
 世界中を飛び回って仕事をする私の疲れを君はこれからずっと癒してくれる。
 『旅先での思い出話』を聞けるだけの心の強さを持つ相手がずっと欲しかった。
 一緒に旅行に行ってもいいんだよ。操縦桿を交替で握ってね」

 ディーズは目を堅く閉じる。瞼の裏を自分が書いた記事の見出しが次々とよぎっていく。
 女たちが告白していた。美しい自分たちに訪れた「死よりもひどい」運命を。
・アラブ、あるいはインドの富豪に見初められ、豪奢だが非人道的なハレムの住人になった。
・エイリアンに見初められ、身体検査を経て、触手で弄ばれ、謎の器官を移植された。

100%でっちあげだ。

 だが自分に訪れたこの運命は現実。追っていたはずの吸血鬼に魅入られ、死ぬまで彼から逃れる術はない。

―死よりもひどい運命。死よりも深く、快楽に溺れる運命。

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 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧  小説も映画もアンハッピーエンドなので、
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __ ナンノカンノト
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  | チョット甘めに
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |


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