Top/25-90

One of the lasts

棚お借りします!二人の最後の一夜を妄想。
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カタン…。
何を考えているわけでもない、しかし心のどこかを深く締めつけられたままぼうっと呆けていると、小さな音が俺の意識を現実へと戻してくれる。
「…ん」
その音に目を向けてみると、いつの間にかカイルがカウンターに突っ伏していることに気がついた。
その腕が彼のグラスを倒していたのだ。そこにわずかに溜まっていた琥珀色の液体がカウンターの上に小さな水溜りを作っている。
「…ふっ」
連日に及ぶ仕事は俺たちに酒を酌み交わす時間を与えてはくれなかった。
正確に言えば『仕事』は『時間』だけではなく、俺の心からそんなことを提案する余裕をも奪っていたが…。
「カイル」
カウンターチェアから崩れ落ちそうになっているカイルに小声で呼びかけてみる。もちろん起こす気などない。
ただその名前を呼んでみたかった。それ以上のことを考えたくなかったからだ。すぅすぅと安らかな寝息を立てる彼の覗きこんだ寝顔は柔らかかった。
微笑んでいるようにさえ見えるほどに。俺よりは弱いといえアルコールには強い方だったはず。それなのにこの程度の酒で眠りに落ちるとは、余程疲労しているのだろう。
「…ハードなヤマだからな」
『潜入捜査』が俺に任されたことに対し『どうしてお前なんだ』と、不機嫌そうな表情を隠そうともしない。
『お前は顔に出るからじゃないのか』そう指摘した俺にますます機嫌が悪くなった。それを俺は笑いながらまたからかって…。そんな俺をカイルは全力を尽くして、寝る間も惜しんでサポートしてくれていたカイル。
「もしあの時、お前だったら…」
一人呟きながらカウンターに転がったグラスを起こす。中身はほとんどこぼれてしまい、底の方にわずかに残っているだけだった。
その琥珀色をじっと見つめながら、俺は考える。『もし』などという言葉は存在しないということを。それなのに、何度でも『もし』を考えてしまう俺自身の弱さが嫌だった。
「起きてくれ」
それ以上何かを考えることに、一人でいることが耐え難くなった俺は、穏やかな寝顔を見せ続けているカイルに少し大きめな声をかける。だが、彼はそのまま瞳を閉じたままでいる。

「……起きないのか」
思わず苦笑してしまう。寝たふりしているのではないかと思うほどすっかり寝入っているようだった。
こんなところで刑事が情けないだろう、といいつつ、『こんなところ』にいることを安心している自分もいる。弱い俺はまた考える『もし』を。
「ここが廃れたバーのカウンターではなく…」
お前か俺の部屋だったなら。俺は止まれなかったかもしれないと思っていた。長年必死になって隠してきたこの想いを伝えることを。
この汚れた腕で、カイルを抱いてしまうのではないかと。最後の夜になると知っていたから…全てを引き換えにしてでも、彼を求めていたかもしれないと。
「カイル」
俺がそんな目で見ていたと知ったらどう考えるだろうか。カイルには愛する人がいる、という噂を聞いていた。
その一件を耳にすることがなければこの気持ちを素直に打ち明けられていただろうか。相変わらずすぅすぅと寝息を立て続ける彼に、それを尋ねることなどできない。
「…これが最後か」
その寝顔を見ることも今日が最後になる。俺は、俺だけはその事がわかっていた。だからこれくらいは赦してくれるだろうと自分勝手な解釈をして、その考えに苦笑しつつ行動に移す。
「…グッドラック」
本当に伝えたい言葉から逃げ、俺は思いついた言葉をカイルの耳元で囁く。
そしてそのままアルコールに染まる朱色の頬にそっと唇を寄せた。最初で最後になるだろう触れたその肌は、荒みきっていた俺の心に染み入るように温かかった。
「…ブラッドリー?」
カイルから離れた瞬間、寝起きのためか少し鼻にかかった声が俺の名前を呼んだ。
「おはようカイル。よく寝ていたな」
「…悪い」
「気にするな。…そろそろお開きにするか」
仕事においてミスをした時よく見せる『しまった』という表情を浮かべるカイルに笑いかけながら手元のグラスを掲げた。
俺のグラスの中にも、彼のグラスと同じ琥珀色の液体がわずかに残っている。
「…そうだな」
倒してしまったためにほとんど空になってしまったグラスを、俺に向かって差し出すカイル。
カチリ、とガラスの触れ合う涼しい音が響き、俺たちは最後の一杯を飲み干した。

「お前と飲む酒は、やはりうまいな」
先程のカイルの表情よりも俺が好む満面の笑みを見せて笑う。俺はその顔が最後に見られたことが本当に嬉しかった。
「ああ。…俺もそう思う」
気の利いた言葉を口にすることもできず俺は微笑んだ。歪んだ笑顔になってしまったかもしれないが、今の俺にはそれ以上のことはできなかった。

「送っていこうか?」
「ブラッドリー、どうした?」
「何が?」
「そんなこと、いわれたことなかったぞ」
「…いわなかったんじゃない、いえなかったんだ」
「いえなかった?」
「今日は珍しく酔い潰れていたからな」
「これくらいなら一人で帰れる。問題ない」
「そうか。…それじゃな」
「ああ。お休み」
「お休み、カイル」
店を出た俺たちはそう言葉を交わしてそれぞれの道を歩き始める。重過ぎる足を無理やり前に運び、振り返るなと己にいい聞かせながら。
しかしそれでも脆弱な俺は曲がり角に差しかかったところでたった一度だけ振り返った。もう、彼はとっくに暗い道へと姿を消していたと思ったから。
「…カイル」
その瞬間思わず彼の名前が毀れてしまった。振り返るつもりなどなかった俺を、カイルはずっと待っていた。
そして目が合った俺に向かって片手を挙げると、すぐに暗闇へと姿を消してしまう。
「…」
彼の後姿を見送った後、俺もまた暗い道を選んだ。家への帰路としては遠回りになる道を。

「…グッドラック」
安っぽい愛を囁く代わりに彼に告げた言葉がもう一度響き、暗闇に溶けていく。
そんな優しい闇は俺の切実な願い通り、濡れる頬をいたわるように撫でてくれていた。

開始のAA間違えてましたスミマセンorz
ありがとうございました!
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