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雲路の果て

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

いつだったか発行し損ねた原稿をネタに。
すげぇながいんだ。反応見て続きうpさせていただくことにする…
小心者なんだ漏れ…

種&種死
クルゼ総受・いろいろでたらめファンタジ捏造万歳。

私は完全では無いのです。
貴方も完全では無いのです。
どうしてと聞かれても困るけれど、近くに来れば分かるでしょう?
抱きしめてくれれば分かるでしょう?
ほら、髪の先から指の先まで一つになってしまいそう。
だから完全では無いのです。

私たちは二人で一人なのだから。
こんなにもそばに居て愛おしいと感じるなら、
どうしていっそ一つにならなかったと思う?
それは、

「…………。」
「さあ、ここが今日からお前の家だ!」
陽気に、歌うようにそう言った青年が手を引いて連れてきたのは、それはそれは美しい顔をした人形だった。
豪奢な、とまではいかないものの風格ある立派なたたずまいをした屋敷の玄関で、間の抜けた顔をしたままその華奢な体はぽかんと突っ立っている。
まるで異世界か何かにでも来てしまったからかくや、というその顔に、手を引いていた青年は人好きのする笑みを浮かべると、帰ってきたらただいまって言うもんなんだぞ、と半ば強引に手を引いてその美しい顔をした人形を漸く家に招き入れる事に成功する。
当の本人は、場末のダンサーのように憔悴したんだか、気の抜けたんだかわからないなんとも間抜けな顔で視線をさまよわせていたんだけれども。

ある日、家にヒュームがやってきた。

ヒューム、というのは最近になって急に研究が進んできた、準クローン技術で
生まれた人工生命体で、クローン培養した人間を、不安定要素がすくなる過程
まで育て、ナノマシンを組み込んだ・・・要するに、限りなく生身に近いアンド
ロイド、とでも言ったところだろうか。一言で割り切ってしまえば簡単なこと
なのだが、学会の片隅に位置するこの研究は、多くの人間から、命に対する冒
涜行為だ、直ぐに破棄すべきだといった・・・最もな意見が多い。身も蓋も無い
言い方をしてしまえば、要するに・・・ペットロボットと変わりは無い。

確かに、ハウスキーパー用アンドロイドや、介護用、医療用と多種多様に開発
は進められた機械仕掛けの命たちはいたものの、有機物であるほぼ生身のク
ローンを使って、無機物の命を埋め込み、ナノマシンをたっぷり含んだ溶液の
血液が循環するヒュームに、研究の許可が正式快諾されたのはつい最近の事だ。

快諾・・・とも言いがたいし、許可が下りたのも奇跡としか言いようが無い。そ
れに政府から許可が下りたとはいえ、まだ一般の施設で研究を進めることは禁
じられていた上、製作したプロトタイプのヒューム達は市場は愚か、メディア
からも隔離されるという徹底振りだった。もっとも、公式なメディアは・・・と
いうことであり、パーソナルネットワークに埋もれた膨大な情報の海には、こ
の世紀の大発明!とでもいえよう生きた人形の話題で持ち切りであるのだが。

しかし肝心のヒュームの調子はというと、まだ研究過程なのも甚だしく、上手
くナノマシンが適合せずに破棄されてしまったり、自己崩壊してしまう機体も
多い。

当たり前だ、とムウは父親から送られてくるそれらの資料を見るたびに、眉を
寄せていた。

人工臓器や義手、義足などは、まだ全人類が地球にへばりついて暮らしていた
頃からあるし、それを体の不自由になってしまった部位で代わりを補ったから
といって、感謝こそすれ、冒涜だなんだと、少なくとも熱心な宗教人か何かで
なければ思わないだろう。

けれど、心など、そうも簡単に作れるものじゃないのだ。

どんなに膨大なデータを緻密にプログラムしようとも、心は機械とは違う。作
れるものではないし、

作って良いものでもない。

もの、というふうに定義づけすることすら・・・間違っているのだから。

それなのに、研究者達は、ムウの父親は、それすらも自らの手で・・・作り上げ
ようとした。間違っている、どうしてその一言を、誰も提言しなかったのだろ
う。

いや、したのかもしれないが、現にヒュームたちは生れ落ちてきている。政府
からの援助を受ける為に、まずは成功例、培養層から離れても自立する成功体
が早く欲しかったというのも有る。もしこの機体達が世に広がって行くとした
ら、人権は堅守されるのだろうか。アル・ダ・フラガが提言したのは、クロー
ンとして生まれてきたヒュームの雛形の脳を人の手で管理する事だった。

生れ落ちたばかりのヒュームたちを眠らせて、その間に脳を・・・記憶や人格を
司る部分へナノマシンを注ぎ込んで。そうやって人間に逆らい、傷つけること
の無いように。

従順なペットを・・・創ったのだ。自我は二の次だと、表情も変えずに言い捨
てる父親の姿が目に見える。

けれどそのためにヒュームの成功率は著しく低下した。当たり前だ。体を維持
するのに欠かせない脳を弄られて、平気で居られるはずは無い。人間は、機械
じゃないのだから。

足繁く通ったわけではないが、青年が思い出せる研究所の棚には、いつも沢山
並べられた麻酔の瓶が不気味に光っていて、焼却炉から棚引く煙が絶えたこと
は無かった。

ムウが連れてきたこのヒュームも、元はといえば失敗作のうちで、破棄直前に
なっていたのを・・・何のことは無い、つれてきてしまったのだ。研究機関にば
れたら、それこそただではすまない。それは重々分かっていたのだが。試験段
階として政府の高官や、著名人が莫大な金を積んでこの生きる人形を買ってい
くというのが、まだ若いこの青年に、大きな戸惑いを生んだ。確かに、割り切
ってしまえば人形だろう。けれど、失敗作だ、とその一言でまるでゴミのよう
に破棄されるべく研究員に手を引かれて処理室に向かうこのヒュームが、
一瞬、彼を見て

・・・・・笑ったのだ。

これからどうされるのかもわからなかったに違いない。
たまたま施設へと来ていたムウが、裏庭にある処理場の近くを通りかかったと
きに、目が合ったこの白い人は、子供みたいに、ふわりと。
その生まれたての笑顔から、目が離せなかった。気付いた時にはもう、どこを
どう走ってきたのかはわからない、右手にしっかりとヒュームを抱えて研究所
を飛び出していたのだ。
悪運が強いのか、天が味方したのかは分からないが処理場の近くに人影はなく、
ムウはこのヒュームを連れていたいかにも体力の無さそうな青白い研究員に思
いっきりお見舞いして、案外あっさりとこの泥棒は成立してしまった。
「・・・おまえ、喋れないのか?」
「まだ、ちょうせい、が」
ぼうっと入り口に突っ立ったままの、ヒュームに声をかけると、まだ上手く喋
れないのかノイズ交じりの声を必死に合成して、やっとムウにも聞き取れる小
さな声を上げた。気だるそうに少し湿ったような声が、微かに震える喉から漏
れている。
きちんと整備も調整もされないうちに破棄されようとしていたのを、連れ出し
てしまったので、まだ色々なところに不都合が多いのだろう、落ち着いたら技
術者の知り合いに当たってきちんと見てもらわなければなるまい。しかし・・・
見た目は人間と変わるところなど無いのに整備だの調整だのが必要だというの
が未だに少し信じられない。相変わらず戸惑ったようにきょときょとと辺りを
見回している小柄な体を見て、青年は思ってしまう。確かに、こういった人工
生命の生成が公的に認可されたのは、まだ最近の話で。クローンという格好の
材料を手に入れた研究者たちはこぞって新しい生命を作り出すべく必死にな
っていたのだけれども。

だから、その副産物として、生れ落ちたのは良いが、既に死する事が決められ
ている機体も少なくは無い。
例えばこのヒュームのように。
「そっか、無理はしなくて良いんだからな。ゆっくり調整していけば。うちで
どれくらいやってやれるかはわかんないけど、出来るだけはなんでもしてやるから」

綺麗な光に透き通った金髪を撫でてやると、ヒュームはやっと少し笑って、
ありがとうと呟いた。
ふわふわとした金糸は確かに素晴らしい手触りで、やっと声も落ち着いてきた
のか、少し低めのハスキーボイスは可愛い声だったんだけれど、
やはり人間とかわらないのに、存在の意義からして全く俺達とは違うのか、と
その若い家主は生まれたばかりのヒュームを見つめて思う。
研究室の定義といえば、清潔と無彩色というのは恐らくどこであれ変わらない
ものだ。
実際、青年がヒュームを連れ出した研究室も、四角くて、つめたくて、色が
無い空間だった。ただ、ひかりが、
光が白い部屋に零れていて、そこだけが天使の梯子の様で綺麗だと思ったのを
覚えている。
本来天使の梯子なんていうのは雲から零れて出来るものだけれど、人の手で天
使を造ろうとした愚かな人間達はそんなものまで再現しようとでも・・・・し
たんだろうか。
真っ白い空間で造られるのは、やはり色の無い天使たちで、
沢山並んだガラスのケースに、まるで蝋人形館のようにきちんと収められた白
い体たち。
……人間は、エデンで蛇にたぶらかされ知恵のみを口にし、その楽園を追放さ
れたというのに。二度目の裏切りは自らの手で、自分達の遺伝子を冒涜すると
いうのか。

「…お前、名前は?」
神様か何かにでもなった気で居たのか、それともヒュームを造ることで神に追
放されたエデンを再び作ろうとしたのかは定かではないが、まだ幼かったムウ
でさえ、そんな父親を醜いと思って、
その瞬間、激しい嫌悪感に襲われた。
なんて、
なんて愚かな男なのだ。
「らう。」
そんな愚かな男の作り出した人形は、酷く不安定な声を必死に絞り出して、そ
う呟いたので、
透き通ってしまいそうに白い肌に触れると、ひんやりと冷たかった。
それは、なんだか……とても悲しいことに思える。
この子は、何から何まで管理された子宮という水槽の中からここに生れ落ちて
きたのだ。25年間、自分という入れ物だけを抱えて、からっぽのままずっと
、ただ温い羊水のような培養槽の中で、一体どんな夢を見続けていたのだろう。
たった今生れ落ちてきた雨の一滴を思わせる、透き通った瞳をして。
「そうか、俺はムウ。ムウ・ラ・フラガだ。よろしくな、ラウ。」
「・・・よろしく、ムウ」
外見はきちんと大人の形をしているのだけれど、ムウにはどうしても、この冷
たい肌をしたラウが子供にしか見えなかった。事実25年間水槽の中で調整さ
れながら眠っていて、目覚めるのはまだ先なんだと生前父親に聞いた事がある
ような気もする。
兎に角、子供にしか見えなかったので、子供と同じ接し方で接することにした。
この、アンバランスなヒュームは直ぐにムウに懐いてくれたのが幸いし、大き
なトラブルや故障も発生することも無く、とりあえずは平和に日々が過ぎた。

[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!

とりあえず序章ここまで!
ちょっと中断シマス。


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