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おばか×優等生

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                     |  >>330の続きになります
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 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  おばか×優等生
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「最近どこか明るくなったんじゃないか、ト オル」
友人達と会話をしている時だった。
それまで黙って僕らの遣り取りを耳にしていた友人のSが率然とそう口にした。
「何だ、急に」
「風 間がどうしたって」
突然のSの言葉が理解できなかったのか、友人達は眉を曇らせながもSへ質す。
僕自身もSの言葉を怪訝に思った。
「トオ ルは前ならこんなに楽しそうに笑顔を作らなかったよ。
それにこうやって君たちと駄弁ることなんてあまり無かった」
いきなり何を、と不快に思いながらも、否定の出来ないそのSの言葉につい口を噤む。
「何だ?いきなりお前を風 間が構ってくれなくなったからって妬いてるのかよ」
揶揄した口調で友人がSに言うと、Sは薄らと苦笑いを浮かべた。
「僕はただ思ったことを言っただけだ」
そう言うとSは眸を僕らからテキストへと移し、何事もなかったかのようにペンを動かし始めた。
「何だよ、あいつ。変な野郎だな」
「でも確かに風 間は前に比べて何処かオープンな感じになったよな」
他の友人達も相槌を打つ。
確かに彼らの言う通りなのかもしれない。一言で現すと、僕は以前より“明るくなった”のだと思う。
僕は特別に暗かったという訳ではない。
友人とのコミュニケーションも巧く取り、逸楽してきた筈だ。
けれどその何処かには優等生としてのレッテルと自尊心が見え隠れしていた。
心から楽しいと感じる時間がそこにあったかというと、首を縦に振ることは決して出来ない。

僕は幼い頃から両親の強い期待を背に浴びていた。僕自身も良い成績を残すことに対して快楽を覚え、
幼いながらに前途に期待と不安を背負う日々を過していた。
だがしんの すけ達と過す時間は、不思議とその不安も忘れ、彼らとの遊びに夢中になった。
当時はそれ程自覚しなかったものの、僕は彼等と過す時間に歓を尽くしていたのだ。
あの頃程大らかで愉快な時間を過したことはきっと無い。
だが近頃またしんの すけと会うようになり、まるであの頃に戻ったかのような錯覚を覚えていた。
彼を前にすると、僕は優秀者としての仮面を外し、ありのままの僕を晒すことができる。
それは僕がしんの すけに対してすっかり気を許している証拠でもあるが、
きっとしんの すけの力が僕をそうさせているのだろう。
皆が云うように僕が以前と比べ明るくなったのは、きっとそのしんの すけの力なのだろう。
いつしか僕にとってしんの すけと会って話をすることが、何よりもの慰みとなっていた。

「トオ ルちゃん」
玄関で靴を脱いでいると、心配そうな母の声が背中に降ってきた。
僕に対し何か不満があるといつも母はこのような声を出す。
鼓動が強く鳴り、僕はつい手を止めた。
「最近よく出掛けているみたいだけど、一体どこに行ってるの?」
しんの すけと会っているなど素直に言えるわけが無い。
母はきっとあいつに対して良い印象を持っていない。
もし本当のことを口にすると、母はきっと良い顔はしないだろう。
「…図書館だよ。参考書を探しに行ってるんだ」
「そうだったの。安心したわ。さ、晩御飯が出来てるわよ」
母の声のトーンはすっかり高くなり、安心した様子でリビングへ戻って行った。
罪悪感が押し寄せた。それは嘘を付いたという単純な理由でもあるが、
しんの すけと会うことが楽しいだけのものではないということを自覚した証拠でもあった。
鞄の中の携帯の着信音が鳴った。携帯を開くと野原しん のすけの文字が表示されていた。
僕は懲りずに再び靴を履き、ドアを開け外へ出ると通話ボタンを押した。

それから数日経った頃である。
試験の結果が渡った。僕の成績は多少ではあるが落ち込んでいた。
当然の結果とも云えるだろう。本来なら学習に当てる筈の時間を、しんの すけと会う時間に代えていたのだ。
鬱ぐ調子で席に着くと、隣に座る友人のSが僕の顔を覗き込み、皮肉な口調で言った。
「最近随分と成績が下がったんじゃないか」
最近Sは何かしら僕に対し見縊る態度をとる。僕は内心うんざりしていた。
「君には関係ないだろう」
「…トオ ル、今日塾が終ってから僕に付き合ってくれないか」
辻褄の合わないSの返答に眉を寄せる。
「今言うことじゃないだろ」
「どうなんだ?付き合ってくれるのか?駄目なのか?」
「今日は用事があるんだ。悪いけどまた今度にしてくれ」
これといって用事があった訳でもない。
試験の結果への不満やSの態度が癇に障り、とてもそういう気分にはなれなかった。
「あの馬鹿げた奴とはいつも会ってて、僕とは駄目なのか」
Sの表情はすっかり憤っていた。
馬鹿げた奴とはしんの すけのことだろう。
きっとSは偶然僕としんの すけが一緒に居る処を見かけたのだ。
Sが言うとおりしんの すけは馬鹿な奴だが、
友人を貶されて良い気分はしない。だが反発したところでSの機嫌を益々損ね、結果として諍いとなるだけだ。
僕はそれを畏れ、反発したい気持ちをぐっと抑えて穏やかな口調になるよう努めた。
「そんなことないって。また今度付き合うよ」
Sはそれきり口を開かなかった。けれど機嫌を直した様子でも無く、Sの表情は曇ったままであった。

思えばその態度が知らずとSの心を傷めつけていたのかもしれない。
Sは次第に僕を嬲るようになった。痛め付けては喜び、僕はそれに反撥しようとも
Sのあくどい恐喝にただ人形のように従うしかなかった。

「風 間君、最近元気ないぞ」
「もしかして、風 間くんが昔からだ~いじにしてたもえPのフィギュア無くしちゃったとか?」
しんの すけの声が耳に薄らと通る。
僕はその声を機械的に受け止め、数秒かけてようやくその言葉の意味を理解する。
いつもなら大声を出して否定している筈だが、声を張る気力すら今の僕には無かった。
「しんの すけ」
「なに」
「もうお前は会わない」
「…どうして?」
しんの すけは数秒言葉を詰まらせると、驚いたような口調で言った。
「ひどぉい、風 間くん、散々弄んでおいて
いらなくなったら只のゴミなのね!?」
「僕はふざけて言ってるんじゃない。僕はお前のせいで成績は下がるし、散々な目にあってるんだ。
もう二度と、お前には会わない」
僕は逃げるようにしんの すけに背を向けた。
捻くれた表現しか出来ない自分が情けなく、唇に強く歯を立てた。
僕はあの頃から何も成長などしてはいない。八つ当たりや我侭でしんの すけを傷付けてばかりいる。

助けてくれ。僕にはお前しか居ないんだ。
心の中で僕はそう叫んでいた。

しんと静まり返った部屋に荒い息遣いが響く。Sは僕の腕をきつく掴むと重い体を覆い被せてくる。
肉棒が蕾に捻じ込むように押し付けられ、あまりの激痛に唸り声を挙げた。
堪らず僕は脚を上げ、Sの腹を思い切り蹴った。Sは小さく唸ると、憎めしい眼で僕を睨みつけた。
「どうしていつもこんな酷いことをするんだ」
「酷いこと?」
Sは僕を見下しながらも鼻で笑った。
「何度も言っただろう?僕は君を愛してるんだ。
只の愛情表現に過ぎないよ」
僕の怒りの我慢は限界に達していた。こんな無軌道な奴の人形になるのは、もう御免だった。
「こんな愛情表現で、誰が君を愛するっていうんだ。
人を傷つける他の何でもないことが分らないのか?」

Sの瞳孔が開いたかと思うと、途端に頬にジンと激痛が走った。
痛みが脳に響き、意識が朦朧とする。
ぼんやりとした眼でSの醜い顔を眺めると、また一つ頬に堅い拳が強くぶつかった。

気が付くと外はすっかり暗くなっていた。
街灯がぼんやりと眼に映る。辺りを見渡すとSの姿はそこにはなく、部屋には強い雨の音が響くだけだった。
頬や下半身に走る激痛に耐えながらも立ち上がり、まるで機械のように脚を進めた。
公園の前で脚を止め、ベンチに腰を掛ける。冷たい雨の雫が音を立てて僕の体を叩きつけた。
僕はそれを気にも止めず、地面に出来た水溜りをただただ眺めた。
「かーざーまーくん」
ふと聞きなれた声が耳に届いた。
「やっぱりここに居た」
雨の雫が途端に止んだかと思うと、視界に大きな靴が映った。
「しんの すけ、どうしてここに居るんだ」
顔を上げると、しんの すけは目を丸くして僕の顔を見つめた。
「風 間くん、どしたの、その顔」
しんの すけは心配した様子で僕の頬に手を翳したが、僕はそれを強く振り払った。
「うるさいな!お前には関係ないだろ」
時が止まったかのように辺りがしんと静まり返った。そうしてようやく気が付く。
僕がしていることは、あいつが僕にしたことと何も変わらないではないか。
あいつも僕も、捻くれた表現で人の心を傷つけているだけだ。

「…ぶったね!親父にも殴られたことないのに!」
口調はふざけていても、しんの すけの顔は真剣だった。
僕はつい息を呑む。しんの すけのこんな顔を今まで見たことはなかった。
僕は何度しんの すけに対しこういった表情をしただろう。どうしようもなく惨めな気持ちが僕を襲った。
溢れそうな涙をぐっと堪える。
「ジョーダンジョーダン。
風 間くん、帰ろう。傷手当てしなくちゃ」
しんの すけはそっと僕の手首を掴み、肩に廻した。
昔からそうだ。本当に昔からしんの すけは変わってはいない。
「どうしてお前はそんなに僕に優しくするんだ。
僕は何度もお前を傷つけただろ?僕を怒ればいいだろ?」
しんの すけはきょとんとした表情で僕を見ると、幼い頃から変わらない独特な笑顔を僕に向けた。
「な~に言ってんの。ちょっと言いすぎなところもあるけど、俺には痛くも痒くも何ともないぞ。
だってオラ達大親友でしょ?」
否定し続けていた筈のその言葉が、つんと鼻を刺激し、堪えていた涙がボロボロと頬を伝った。
「…しんの すけ、僕には、お前しかいないんだ」
あの時心の中で叫んだ言葉を、嗚咽に混じり途切れ途切れに口にする。
しんの すけは僕の体を支えていた腕に、ぎゅっと優しく力を入れた。

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 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧  お付き合い下さった方どうも有り難うございました。
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
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名前欄ですが、以前とまた同じミスをしてしまいました。申し訳ありません。


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