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禿げ鷹

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  土曜ドラマ『禿げ鷹』
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  アラソ×鷲(→柴)
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 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ トラウマネジその後。アラソに一部原作設定あり。
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
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1998年。
5年、日本で実績を出した後は本社取締役として呼び戻すと言われ、僕はマサヒコの国へ来た。
契約書も何もないそんな言葉を僕は信じていなかったけど、約束通り5年目に本国からお呼びが掛かった。
マサヒコほどではないにしても、この年齢では異例の出世だった。
けど僕は、その話を断った。
本国のボスであるクラリスは酷く立腹し、マサヒコも随分と僕にNYに戻るよう促した。

「お前は自分の人生をふいにする気か?」

マサヒコはそう言ったけど、マサヒコのいない人生なんて、僕には考えられなかったから。
報われなくても、想いが叶わなくてもいい。
ただ、マサヒコの傍にいたかった。
そんな僕の決断をマサヒコに伝えた時、マサヒコは困ったように笑いながら、

「仕方ない奴だな。」

って、僕の頭を撫でてくれた。

あれからさらに1年が経ち、日本で、マサヒコの傍で、マサヒコと共に過ごしてもう6年になる。
マサヒコは相変わらず何かを忘れようとするみたいに一心不乱に働いて、
たまの休みも自宅で書類に目を通すだけの禁欲的な生活を送っていたから、
6年間の僕とマサヒコの想い出と言ったら、本当に片手で数えられるくらいしかない。
来日直後に手がけたバルクセールのデューデリで行った老舗旅館。
2年目にバイアウトした映画演劇の製作配給および興行会社、西宝の子会社であるシネコンで見たラブロマンス。
3年目、偶然休みが重なった僕のバースデーに、マサヒコが弾いてくれたピアノ。
丁度その頃からマサヒコは笑わなくなって、心配だった僕はマサヒコの部屋に半ば無理矢理転がり込んだんだ。
タワーマンションのペントハウスがマサヒコの自宅だったけど、一通りの物は揃ってるのに生活感はどこにもなく、
なんて言うかただ広く冷たくて、淋しい部屋だった。
それを見たらもう、マサヒコが何と言おうと自分の部屋に帰る気にはなれなくて、
歯磨きを持ち込み、パジャマを持ち込み、命の次に大事なPS2とそのソフト達を持ち込み、マサヒコの生活に侵食して行った。
一緒に住むようになってからはそれでも、ぬくもりのある部屋になったんじゃないかと思うけど、それは僕の自己満足かもしれない。
何故って、マサヒコは相変わらず笑ってはくれなかったから。
3年前、Mr,シバノに会いに行ってから、彼は一度も笑ってない。
今日も随分思いつめた顔をしていたから、マサヒコの仕事が終わるのをオフィスで待っていたのに、

「悪いが、先に帰っててくれ。」

なんて、見事に振られてしまった。

珍しく愛車のポルシェで出掛けて行ったマサヒコを心配しつつ1人部屋に帰った僕は、今もこうしてマサヒコの帰りを待ってる。
時計の針は、もう1時を回る。
ケータイを鳴らしても留守電に切り替わるばかりで、一向に出てくれない。
外は雨だ。
どこかで事故にでも遭ってるんじゃないかと、心配で胸が張り裂けそうになった頃、玄関で物音がした。
僕はソファから飛び降りて、一目散に玄関に駆けつける。

「マサヒコ?おかえり!」
「アラソ、悪い、タオル持ってきてくれ。」

そう言ったマサヒコは頭の先から足の先までびしょ濡れだった。

「どうしたの!それ。」

僕は言いながらバスルームに向かいマサヒコを包み込めるだけのサイズのタオルを持って、もう一度玄関に急ぐ。

「少し考え事をしてた…。」
「少しじゃないよ!そんなに濡れて、風邪でも引いたらどうするの。」

僕の心配を余所に、自分を大事にしようとしないマサヒコが少しだけ憎くて、マサヒコの頭をタオルで覆いいつもより乱暴にその髪を拭いた。

「マサヒコに何かあったら、僕はどうすればいいの!」

文句のひとつも言いながら、ぐしゃぐしゃとかき回すみたいにして手を動かしてると、俯いたままのマサヒコがポツリと言った。

「どうすればいい、か…。……アラソ…俺はどうしたらいいんだろうな……」

6年目にして初めて、泣き出しそうな声で弱音を吐いたマサヒコに驚いて、僕は手を止めた。

「マサヒコ…?」
「すまない…忘れてくれ…」

どんなに辛くても、いつも気丈に振舞っていたマサヒコを見て来たから、目の前の彼がそこまで追い詰められているのかと思うとたまらなくなって、
僕は、震えるマサヒコの細いカラダを引き寄せて、胸の中に強く抱き締めた。

「アラソ、離せ、お前まで濡れる…」
「離さない。」
「アラン。」
「濡れたっていい。何があっても、僕だけはマサヒコの傍にいる。マサヒコをずっと抱き締める。」
「…」
「だから、マサヒコの信じた道を、マサヒコが正しいと思うことを貫けばいい。」
「…」
「どこまでも着いていくから。」

冷え切って真っ白になったマサヒコの手が、そっと僕の胸に伸びた。
握り締めていた手の中にあったのは小さなネジ。
マサヒコはそのネジごと、僕のシャツを握り締める。
肩に頬を乗せて縋り付いてくる彼の薄い背中を、僕は暫く撫で続けた。

「アラソ、一緒に風呂、入るか?」

やがて顔を上げてそう言ったマサヒコは、もういつものマサヒコの顔だった。

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 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ アラソのわんこ度がどんどん上がる罠。
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