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numb*3rs兄弟話

 
狐CHで放送中のnumb*3rs兄弟話
"SniperZero?"の回を遅ればせながら見た。

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   (  ,,゚) ピッ   ∧_∧   ∧_∧
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  └──────│あまりにも萌えの宝庫だった。
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目覚めたのは朝の4時半だか5時半だかわからない時間だった。
ベッドサイドにドンが立って、僕を見下ろしていた。
「ドン?」
そう声をかけると、ドンは心底驚いた声で「どうした、チャーリー」って言
った。部屋の中はまだ暗く、僕にはドンの表情を読み取ることが出来なかっ
たので「もしかしてまた事件?僕の分析が必要?」って聞いて、明かりをつ
けようとシェードランプに手を伸ばした。
「チャーリー、まだ寝てろ」
僕の手をやんわり掴んで、ドンは僕の質問を否定したようだった。
僕はその答えに、だったらどうしてドンがこんな時間にここにいるのか分か
りかねて、やっぱりランプの明かりをつけ、ベッドの中で身を起こした。
「ドン?」
ドンはなんだか困ったような怒ったような顔をしていて、その上スーツ姿だ
った。
「今から仕事なの?」
「そうだ。」
「やっぱり事件なんだ」
「そうだな、事件さ。1分に4件の殺人事件が発生し、2分間に13件もレ
イプ事件が起こるような州だからな。仕事は尽きることがないさ。だがお前
の知識が必要な事件かどうかはまだわからないし、俺はお前を起こしにきた
わけじゃない。」
サイドチェストの時計は4時18分を示していた。
「じゃあなんでここにいるの?僕に用事じゃないの?」
「いいから寝ろ」
ドンは苛立ったように明かりを消して。
言葉とは裏腹に、僕の頭をさらりと撫でた。

それは不純物の全く含まれていない優しさで、僕はびっくりして、もしかし
たらはじめての出来事じゃないか、と二人の間に横たわる古い記憶を順番に
整理しようと意識を伸ばそうとした。でも動揺して、次第に不安で一杯にな
り、「お前はどうしていつもそうやって質問ばかりするんだ」って呆れられて
いることも忘れて、非論理的である事実を自分自身で認めながらもまくし立
てた。
「ドン、もしかして転勤するの?ココからいなくなるの?これって最後の挨
拶なの?前にドンが大学の寮に入寮する為に家を出たときは、ドン、僕のこ
と振り返りもしなかったんだよ、ねぇ、今度は僕が寝ている間に行っちゃう
つもりだったの?それとも僕が事件解決の為に射撃をしたいって言ったか
ら、もうドンの事件に関わって欲しくないってこと?」
「チャーリー、」
「アルバカーキが懐かしくなった?それともやっぱりドンは僕がウンザリな
の?僕はどうしたらいいの、ドン、僕は」
「チャーリー黙れ!」
ドンは押し殺した声で僕を制した。
「だってドン、」
「いいかチャーリー、今お前が言った質問の答えは全部ノーだ。俺は転勤も
しないし、ココからいなくなったりはしない。もし異動の話がきたらお前や
親父にちゃんと話すし、お前が事件に必要な時は、たとえお前がデートの真
っ最中だったとしても連れに行く。わかったか」

「・・・・アルバカーキが懐かしくなった?」
「そうだな、思い出がたくさんあるし、仲のいい友達だっているからな。で
も会いたくなったらオフの日に車を走らせればいい。懐かしくなったからっ
てココを出て行きたいなんて思わないさ。さぁ、これで質問にはちゃんと答
えただろ。お前は寝ろ。」
「・・・・・なんでこんな時間に僕の部屋にいるのか、その答えは聞いてない」
まったくお前はどうしてそうなんだ、ドンはため息まじりにそう言って、僕
のベッドに腰掛けた。
「昨日、狙撃されただろ。だから心配になって、お前を見に来ただけだ。」
夜明け前の薄い暗がりは深い森の静けさで、僕はドンの言葉に隠しめいた秘
密がないだろうかと意識を集めて耳を傾けた。
「ああいう体験をしたら何らかのダメージを受ける。特にお前は免疫ないし、
俺が銀行強盗との撃ち合いで負傷した時、ショックでガレージにこもったじ
ゃないか。P=N問題に逃げ込んで」
「P≠NP問題」
「ああ、"それ"にかかりっきりになっただろ。」
「あれは。・・・・あの時ショックだったのは僕のミスで死傷者が出て、それに
現場がものすごく悲惨だったし、ドンが、ドンが命の危険に晒されて・・・・・だ
から・・・」
「だから俺が心配で吐くほどショックだった?」
「・・・・・・・そうだよ」
なんでドンは僕にこんなことを言わすんだろう。
僕があの時どんなに動揺したか、そうさ、ドンの言ったように"P≠NP問
題"へ逃げ込んだことで充分にわかってるはずじゃないか。いいかげんに現
実を見ろって、ドン怒鳴ったじゃないか。
ようやく暗がりに慣れはじめた瞳で、僕はドンをじっと見つめた。

あぁ、そういえばハイスクールの頃のドンは、全然僕と視線を合わせてくれ
なかったなぁ、なんて記憶を思い出したりして。
ドン、もう一つ、一番大事な質問に答えてくれてないよ。ハイスクールの頃
からずっと、聞きたくて、でも怖くて聞けなかった質問。さっき動揺して思
わず口にした質問。
"やっぱりドンは僕がウンザリなの?"
「ドン、」
「チャーリー、お前が俺を心配して動揺したように、俺も昨日、お前が狙撃
されて死ぬほど心配して、動揺したんだよ。だから仕事の呼び出しがかかる
前から目が冴えて、というか俺は、お前が銃の撃ち方を教えてくれと言った
ことや、お前を現場へ行かせることや、色々、いろいろと考えて眠れなかっ
た。」
百戦錬磨の捜査官なのにな。
ドンは肩をすくませ、バカバカしい事だというようなジェスチャーをした。
「だからお前が無事で、いつも通り眠っているのを確認してからオフィスへ
向かおうと思ったわけさ。だから俺はここにいた。――――納得したか?さ
ぁ寝ろ」
that's all.それですべてだ、あるいは"証明終わり"とでも言うかのように、
ドンは口を閉ざした。もう何一つお前の質問には答えないぞ、と。
僕は。ドンの言葉がじんわりと沁みてきて、
ドン。あぁなんてことだろう。深く、ゆっくり息を吐いた。
"やっぱりドンは僕がウンザリなの?"
今のが答え?
だとしたら、それって僕のことがすごく大切ってふうに聞こえるよ?
この前もドンは「家族が一番大切だ」って言ったけど、今の話はもっと、な
んだかもっと、個人的な答えに聞こえる。それって僕の都合のいい解釈?
僕はずっとドンに認められたいって思ってた。それと同時にもっと僕に関心
を持ってほしいって。今のドンの答えは、僕がずっと欲しくても「欲しい」
と口にすることさえ叶わなかった種類のものだよ?

僕はドンの答えの「本当の意味」を探ろうとしたけれど、いくら考えても、
自分の知っているありとあらゆる数式を駆使しても、ドンの感情を読み解く
のは無理だということもわかっていたので、とにかく伝えなければならない
一言を唇にのせた。
「うれしくて眠れない」
みっともないくらい声は震えて、幼い子供のたどたどしさになったけれど、
この気持ちがドンに伝わるならみっともなくても全然かまわなかった。
そんな僕に、ドンはなんと反応していいのかわからなかったのか、男らしい
節だった右手で口元を覆いながら「おまえは」とか何かをつぶやいたようだ
った。でも結局は何も言わなかった。
僕はとっても暖かい気持ちにつつまれながら、でもなんだかおかしくなって、
からかうように言葉を紡いだ。
「うれしくて眠れない。だから今日はついていくよ、ドンに。」
「来なくていい」
「行く」
「ヤメロ」
「ドン、知ってた?ドンがダメだって言っても、僕は政府のフリーパスを持
っているからね。FBIには出入り自由なんだよ?」
上体を傾けてドンを覗き込むように見上げる。
するとドンはからかわれた事に気づいたのか「お前はガキだな」って声を大
きくして僕の顔を押しやると「とっとと寝ろ」と言って腰を上げた。
「ドン、おとなしく待ってる。ドンが呼びに来るまで。」
「・・・・そうだな。お前は俺に心配かけないようにしてろ。」
部屋を出て行くドンが振り返ることをほんの少しだけ期待したけど、実際に
はいつもの素っ気なさで、平凡な幕切れだった。
静寂が訪れた部屋の中で、僕は自分の鼓動に耳を澄ませながら、僕を落ち込
ませることが出来るのも、心臓を締めつけるような幸福をもたらすことが出
来るのも、ドンただ一人だけなんだ、と潤んだ心で考えた。

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「兄貴に認められる為なら何でもする弟だ」って親父にあそこまで心配され
るなんて、どんだけワンコだ弟よ。
お付き合いありがとうございました。


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