禿鷹
更新日: 2011-04-27 (水) 21:00:47
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )前回ミスすみませぬ。もいっかいうpです
不愉快な雨音が、鼓膜に響く。
雨は、嫌いだ
あの日のことが、思い出されてしまうから
あの人を、思い出してしまうから
耳に残る、あの雨の音…………
ただの、200万ぽっちが返せなくて、命を絶った男。
彼を救えなかったことが、苦しかった。
声を殺して泣き、嗚咽しながら思った。
何故、と
何故僕は彼を救えなかったんだろう
何故僕は彼を助けられなかったのだろう
何故。
そんなネガティブ思考に終止符をうったのは、敬愛する上司の言葉だった。
「日本は資本主義国だからしょうがない、お前は、悪くないよ」
その言葉を聞いた時、僕はさらに混乱に陥った
資本主義だから?
彼が死んだのはしょうがないと?
困惑し、どうしようもない涙が頬をつたう。
上司がそれを悲しさからきたものだと勘違いをしたらしく、そっと抱き込んできた。
故人への悲しみ、そして今自分が発したその言葉が生んだ困惑からきたものであろう涙を流す部下をみて、どうしようもなく彼が愛しくなった。
衝動で、彼を抱き込んでしまった。
彼とは多く体を重ねているけれど、こんなにも胸が苦しくなった欲情を感じたことはなかった。
多分、初めてであろう。
ふと胸のあたりに温かい湿ったものを感じて、抱いたままの部下をみやると。
無言で抱きかかえたにも関わらず、自分の胸に額を押し当てて、声を殺して泣いていた。
言葉はなく、ただ彼が愛しくなって抱く力を強めた。
ビクッと反応する彼が、いつもならば軽い抵抗を感じるのに、今は背中から肩に手を回して更に胸に額を押しつけてきた。
雨の音と彼の押し殺した嗚咽を聞きながら、彼の細い体をただ抱いていた。
いつまで泣いていたのだろうか。
気づけば30分が経っていた。
彼の疲れたような、困惑した艶やかな顔をみて、どす黒い感情が体を駆ける。
「落ち着いたか?」
「……えぇ、はい。すいません、取り乱してしまいました……」
「いや、いいんだ。ただもう落ちついたか?じゃあ少し、どこかで休もうか」
優しく彼に語りかければ、コクンと小さな頷きが返ってくる。
近くにホテルがあったのをこれ幸いと、宿泊し、鍵をもらう。
ラブホテルなどではなく、ただのビジネスホテルだ。
部屋は3階、ドアをあけて彼をソファーにすわらせるまで、終始無言だった。
彼の顔は暗く、目は赤く腫れていた。
「お茶でいいか?」
「ぁ、ありがとうございます、すいませんっ」
ソファーから立ち上がろうとする彼を手を振ることで押しとどめ、備え付けのお湯とパックの封をきる。
温かいお茶を彼の前の机に置いて、自分は立ったままお茶を啜る。
じんわりと芯から温まる感覚に満足し、彼の方をみやる。
さすがにもう泣くことはないだろうが、今にも泣きそうな顔をしている。そんな彼に、不謹慎ながらも欲情してしまい、そのままソファーに押し倒す。
持っていたお茶は軽い音をたてて落ち、床に染みをつくる。
「ぁ、しばた、せんぱい」
「……忘れさせてやるから」
一緒に堕ちよう、と
彼も意図を理解したらしく、何もいうことなく抱きついてきた。
快感が、体をめぐって、全てを忘れる、ことができた。
彼と繋がっている、ということが下腹の圧迫感で感じられる。
忘れよう。
そして、彼の言葉を考えてみよう。
「…ぁっ……ん……」
ただ今だけは、彼に抱かれる事だけで………
もう、何年前のことだろうか
「………七年、か」
ふぅ、とため息に似た呟きを吐きつつ、窓のブラインドをめくり外をのぞく。
「昔の僕とは違いますよ、先輩」
あなたに教わったことが転機。
自らの呟きに苦笑しながら窓から離れる。
彼を潰す為のものと言っても過言ではない程の書類をもち、会議に出席すべくドアを開けた。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )おそまつでした
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