武/装/錬/金 防×火
更新日: 2011-04-27 (水) 20:54:51
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| 無想連筋から、防×火風味です。
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| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 無駄に長いけどエロはナシ!
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| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
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注・アニメ視聴オンリーなので設定が原作と違っているかもしれませんがご了承ください。
アニメの7年前、坂口小隊が任務に失敗した事件の直後を舞台にしたオリジナルSSです。
防人が所属する坂口小隊が任務から帰還して3日が過ぎていた。
初めての任務の失敗。しかも膨大な犠牲者を出して。どれだけの
子供たちがおぞましいホムンクルスどもに食われたことだろう。彼
らは髪一筋も残さず、この世から消え去ってしまった。世間にはい
ったい何が起こったのかを知られることさえなく。
錬金戦団に帰還してからというもの、坂口をはじめ、小隊メンバ
ーの防人、千歳、火渡は連日、委員会の厳しい査問にかけられていた。
小学校が丸ごと一つホムンクルスによって消失したのである。責任
を問われるのは当然だった。
「一切の責任は私にあります。君たちには累が及ばないよう尽力し
ますので、防人君は火渡君と千歳さんを支えてあげてください。そ
れでなくとも強いショックを受けていますから」
坂口戦士長の言葉に従い、精神的疲労からついに入院してしまっ
た千歳を防人は見舞っていた。
「心配をかけてごめんなさい。入院するほどのことじゃないんだけ
ど。別に寝込むほどじゃないし」
「無理をするな。顔色がまだ悪いぞ。お前への査問は終了というこ
とになったそうだから、今のうちに休んで気力と体力を回復させて
おけ」
その言葉にうなずくと、千歳はベッドのそばに置かれた花束を防
人に渡した。
「今朝、買っておいたの。あの子に持っていってあげて」
自分で持っていけばいいじゃないか、という防人に千歳は笑って
「レディーの病室を訪ねるなら花を持っていくのは当然」と答える。
考えてみればこの病室に来るときも防人は手ぶらだった。おまけ
に服装はいつものシルバースキンのコートに帽子である。病院にそ
ぐわないこと夥しい。病院ではせめてシルバースキンだけでも解除
すればいいのに、と言う千歳を笑ってごまかし、防人はかの事件で
唯一生き残った少女、津村斗貴子の病室へ向かった。ちなみに、千
歳に見舞いの品を持ってきていないことには気づいていない。そこ
まで気を回すには--彼自身は認識していなかったが--あまりに
も疲れ果てていた。
集中治療室のベッドに横たわる斗貴子はまだ、意識を取り戻して
はいなかった。
医者によると肉体的には問題ないが、精神にダメージを受けてい
る可能性があるという。無理もない。おそらく、目の前で友人たち
がホムンクルスどもに食われていく地獄絵図を見たのだろう。彼女
一人でも生き残ったことが奇跡なのだ。
(そう、奇跡だ)
防人はつぶやく。
雨の中、ホムンクルスに蹂躙された挙句に泥流に埋まった小学校
で、泥にまみれながら生き残りの子供を気が狂ったように探したこ
とが脳裏に蘇る。
泣きじゃくる千歳。天に向かって慟哭する火渡。坂口すら、生存
者の存在を諦めていた。小隊全員の心が折れかけていたあの時、少
女は半ば土砂に埋もれたロッカーの中から、最後の力で音を立てて
自分たちに生きていることを伝えたのだった。
(よくぞ、生きていてくれた)
眠り続ける斗貴子の小さな手をそっと握る。
シルバースキンの手袋ごしでは彼女の体温を感じることはない。
だが、二度とこの少女を、そして仲間たちも傷つけさせはしない
--その想いが、防人からシルバースキンを解除させることを許さな
かった。
少女を見舞った後、病室を出るとそこには火渡がいた。彼もまた
少女の様子を見にきたらしい。防人が出てくるのを見て慌てて背後
に隠したが、花束を持っているのは一目瞭然だ。
「……あの子は、元気か?」
「ああ。まだ意識は戻っていないが、命に別状はないらしい」
「そうか……」
火渡は一瞬安堵したような顔をしたが、防人の前だということを
思い出したのか、すぐ顔を引き締めた。そして持っていた花束を防
人に押し付ける。
「これは?」
「……千歳からだよ。意識が戻ってねーのに花飾っても仕方ねぇだ
ろうけどな。お前、活けとけ」
防人は苦笑した。見え見えの嘘だ。
「ああ、分かった。先刻、オレも千歳に花束を持たされたばかりな
んだけどな」
うぐ、と唸る火渡。つくづく嘘がつけない男だ。こういうところ
が坂口戦士長にからかい……もとい、可愛がられる所以なのだろう。
「お前は……大丈夫か」
おそらくあまり眠っていないのだろう。火渡の目が赤くなってい
るのを防人は見逃さなかった。
「大したことねえよ。……そりゃ、お前ほどタフじゃねえけどさ」
それよりお前こそ少しは休めと火渡が言葉を続けるのを遮って防
人は言った。
「ありがとう」
唐突な言葉に火渡がぽかんとした表情になる。
「礼を言われるところじゃねぇだろ。何だよ、いきなり」
「お前はいつも、そうやって皆を気遣ってくれている」
一見ガサツで強引に見える火渡。だが本当は、繊細で傷つきやす
いことを防人は共に行動するうちに見抜いていた。荒っぽい態度は
虚勢に過ぎない。本当は自分などよりずっと心配性なのだ。
だから。
「すまない」
防人は火渡に近づくと、その体躯を抱きしめた。またしても唐突
な防人の行動に何しやがる、と火渡が暴れるが無視する。元より火
渡の体格では肉体的に防人に逆らうのは難しい。
「あの子にも……お前や千歳にも辛い思いをさせたな。すまん」
暴れていた火渡が動きを止める。その隙に防人は火渡の頭を抱え
て自分の胸に押し付けた。そしてもう一度、すまんと謝る。
「防人、お前……」
火渡がつぶやく。
そして、二人の間にしばしの沈黙が流れた。
「オレは謝らないからな」
不意に火渡が口を開いた。その強い口調に防人は驚く。
「戦いなんて不条理なモンなんだ。俺たちの思うとおりに全部のコ
トが進むわきゃねぇんだ。ハッピーエンドだけで何でもケリがつく
ほど世の中甘くねぇ。力が足りなかったのは事実だが、オレはもう、
絶対にあの子にだって、戦士長にだって謝らねぇぞ--」
だから、お前にも謝らせねぇ。お前も千歳も、これ以上誰かに謝
ったりしたら、そいつらごとオレがブッ飛ばすからな。
防人に抱きしめられたまま、火渡は言葉を続けた。涙を懸命にこ
らえているかのような声だった。そのとき防人は、己もまた火渡の
腕に抱きしめられていることにようやく気づく。
たとえ誰が何を言おうとも。自分だけはお前を責めたりはしない。
だからこれ以上、自分を責めるな--。
粗暴な言葉ではあるが必死に訴える火渡の言葉を聞いて、防人は
思い出す。火渡は決してただ強がっているだけの男ではない。彼は
自身が張っている虚勢が、いつか真実の姿になるように。たとえ今
日は無理でも、明日は己の言葉を真実に出来るように、常に上を向
いて歩いていく男なのだと。--時に、その真っ直ぐさが妬ましく
なるほどに。
シルバースキン越しには伝わらないはずの火渡の身体の熱さが伝
わってくる。防人の目からいつしか涙が流れ始めていた。火渡を抱
く腕に力がこもる。
からん、と乾いた音がした。解除されたシルバースキンが核金に
戻って、二人の間に落ちた音だった。
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読んでいただき、有難うございました。
……何でこんなに二人とも暗く orz
エチーありの後半に続く…予定です
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