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numb*3rs 兄弟話 370のその後

numb*3rs 兄弟話です。まだ子ども時代の話なので
今回もエロも意味もやまも落ちもないです。
懲りてなくてスンマソ

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   (  ,,゚) ピッ   ∧_∧   ∧_∧
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  └──────│370のその後の話。またしてもエロなし。
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感想くれた方がたありがトン!ご指摘どおり前に数字話投下した人間だったりしますが
別に特にあの3連話と今回の話につながりはないです。
ただ370と今回のは一応繋がってます。
弟が心待ちにしていた兄と一緒の高校入学を果たした後の話です。

 
 たまにドンはチャーリーがせめてあと2つか3つ年上だったらよかったのに、と思った。
チャーリーがドンより5つも幼いのではなく、2つか3つの年齢差だったなら、ドンももう
少しチャーリーを手荒に扱えただろう。ところが現実にはチャーリーはドンより5歳も下の
13歳で、しかも普通の13歳より体つきも小さく、いかにも頼りなく見えた。だからドン
は5歳下の弟――高いIQのせいで天才児教育とやらを受けて学年のスキップを繰り返し、つ
いにはドンと同じ学年にまで追いついてしまい、彼の面目を潰した弟――がいじめっ子に小
突かれたり、ゴシップ好きの女の子にからかわれたりするのを高校の廊下で見かけるたびに、
彼の前にかばうように立ちそびえ、弟に構うなといじめっ子や女の子たちに警告したりして、
チャーリーを守る羽目になった。そして振り返ると、チャーリーはぼろぼろになったノート
ブック(そこにはもちろんチャーリーの大好きな数式がぎっしり書きつめられている)を両
手で抱え、そんなドンを見上げて、まだ怯えた表情で小声でありがとうと言う。正直に言う
とドンはそんな日常にうんざりしていた。この「天才」と言われる弟と、特に高校の校舎内
では口も利きたくなかったし、兄弟だと周囲に知られたくもなかった。それなのにチャーリ
ーはことあるごとにドンの手を煩わせ、周りの注目を集めて彼に恥をかかせるのだ。
 例えばこんなことがあった。ある日、ドンがガールフレンドと放課後に映画を観に行く約
束をしていたときのことだ。ガールフレンドのロッカーの前で、彼らは肩を寄せ合ってこれ
からのデートについて話し合っていた。その日は天気もよく、次の日のクラスに厄介な課題
もなく、デートは完璧に上手くいきそうに思えた。どの映画を観る?ガールフレンドのブロ
ンドを指で弄びながらドンが聞いたとき、いつものようにチャーリーが不意に割り込んでき
て、最高の気分を台無しにした。

 そのときのチャーリーが早口で訴えたのは、ノートブックがない、ということだった。大
事な、とても素敵な数式のアイデアを書いたノートがロッカーからなくなってる。半泣きで
そう言ってくる弟を、ドンは絶望的な気分で見つめた。ちゃんとよく探せ。そう言って手を
振り、追い払おうとすると、チャーリーは何か言いかけ、けれども涙目で唇を噛んで、結局
何も言わずにきびすを返していく。ガールフレンドは大丈夫なの、あの子、と呟き、ドンは
大丈夫さ、と答えたが、鞄を引きずるようにして、自分より背の高いクラスメイトたちの波
を不器用に掻き分けていく弟の背中を見つめるうちに、たまらなくなって結局弟を呼び止め
た。ノートブックなんて、どうせいじめっ子たちが面白がってチャーリーのロッカーから盗
み、どこかに捨てたに決まっている。ドンにはそれがわかっていたが、チャーリーに一緒に
探してやる、というと、弟はほっとした顔をして頷いてみせた。
数時間後にドンが男子トイレのゴミ箱に突っ込んであったノートを見つけたときには、既
に日が暮れていた。もちろんもうデートなんてできない。ガールフレンドはお気に入りのカ
フェでドンへの怒りを女友達にぶつけているか、別のボーイフレンドを探しはじめているだ
ろう。ノート一冊のために、どうして俺がこんな犠牲を払わなければいけないんだ?ドンは
内心そう言いたかったが、実際はずたずたになったノートを見て悲しげに目を伏せるチャー
リーの頭を撫で、家に帰ろうとぶっきらぼうに命じていた。
 

 女の子とのデートがどんなに楽しいもので、それがどんな意味を持つかなど、この弟には
わからないだろう、とドンはそのとき半ば蔑むような気持ちで哀れみを覚えた。もしチャー
リーがそれがわかるほど子供でなかったなら、あのタイミングで話しかけてくるわけがない。
ドンだってそんな弟のためにデートをやめたりしない。だがチャーリーはまだ幼く、異性に
もまだ興味もなく、庇護してくれる存在をたえず求めている子供なのだ。自分が13歳のと
きは、ここまで幼かっただろうか?ドンは弟の肩を抱き、家路を辿りながらそう考えた。そ
んなわけはない。ドンが今のチャーリーの年齢のころには、もう異性に興味があったし、女
の子たちからデートに誘われたりもした。ところがチャーリーは数式に夢中で女の子に興味
を持つ暇もないようだし、そもそもデートするのにふさわしい、同じ年頃の女の子が彼らの
高校にはいないのだ。だからチャーリーがこんなふうでも仕方ないのかもしれない。そう自
分に言い聞かせながらも、そのときのドンは弟を乱暴に突き放し、もうお前と関りたくない
と怒鳴りたいという衝動を必死で抑えなければいけなかった。

 帰り道の間、ドンはなんとか自制に成功したものの、家まで着くと玄関のドアの前で、自
分の大事なものをロッカーに置きっぱなしにするな、お前は目立ってるんだから、と冷たく
弟に言わずにはいられなかった。するとチャーリーは大きな瞳をさらに大きくして、僕が悪
いんじゃないよ、悪いのは盗んだ方だもの、とかぼそい声で、けれどもしっかりと主張した。
ドンはそれを無視して、家に入った。高校ではお前の弟を助けてやらないといけない。両親
はドンにたびたびそう言うが、それがどんなに大変なことか、彼らにはわからないだろうと
ドンはうらめしく思った。自分より年が5つも下なのに、自分と同じ学年で学び、このまま
でいくと同時に高校を卒業するであろう弟、数式に夢中でわけのわからないことばかり言い、
いつもドンにまとわりついて頼ってくるくせに、ドンをたまに馬鹿にしたような態度を取る
弟、そんな弟をどうやったら可愛がれるのだろう。チャーリーは厄介なお荷物で、ドンには
不要な存在だった。しかもチャーリーには妙な詮索癖まであり、ドンが外出している間に彼
の荷物を勝手に引っ掻き回したりする。何年か前に一度、ガールフレンドからもらった手紙
を弟に勝手に開封されたとき、ドンは本気で怒り、チャーリーをきちがいだと罵って突き飛
ばした。するとチャーリーは女の子みたいにぴーぴー泣いて、母親や父親がそれを聞きつけ
てきて、ドンを叱った。チャーリーはまだ子供なのだから許すべきだと言われ、ドンは尻餅
をついて泣きじゃくる弟に謝ったが、内心では苦い気持ちが残った。チャーリーは子供かも
しれないが、まともな子供ではない、そのときドンはそう思った。

 それでもチャーリーはドンの弟に違いはなかったから、ドンはなるべく彼に丁寧に接した。
けれども、親しくはしないことは決めていた。ドンはここ数年、チャーリーを自分が出る野
球の試合に連れて行くのはやめていたし、チャーリーが勝手に観に来たときもなるべく素っ
気無く応じた。するとチャーリーは悲しげな目をしてドンを見つめ、とぼとぼと去っていく。
それを観るとドンの気持ちまで重くなり、しかもそういう日は家に帰るとチャーリーは夕食
も抜いて頑なに数式に没頭して、両親を心配させるか、報復のようにドンの荷物を勝手にか
き回して知らん振りをするかのどっちかだ。もう勘弁してくれ、とドンは思った。せめても
う少しチャーリーが子供でなかったなら、ドンだって彼を手荒に扱ったり無視したりできた
だろうに、と両親を恨んだ。
 ノートブックをトイレのゴミ箱に捨てられた日、チャーリーは案の定夕食にも手をつけず
に、唇を引き結び、居間のテーブルで一心不乱にセロテープで破れたノートの補修をしてい
た。父親にチャーリーはどうしたんだ?と不安げに耳打ちされて、ドンはうんざりしながら
ノートを盗まれたことを語った。父親はそれを聞いて信じられないというように頭を振り、
ドン、お前はいじめっ子たちからチャーリーを守らなければ、と叱責した。ドンはますます
げんなりして、そっぽを向いて夕食を摂った。
 ドンがキッチンで食事を終え、自室に上がろうとしたときも、チャーリーはまだノートを
直していた。ドンはそれを見過ごそうとし、それからやはり結局振り返って、ため息をつき、
弟の向かいの席に腰を下ろした。無言のままでセロテープを取って、手伝いはじめると、チ
ャーリーは驚いたように見上げてきてから、すぐに目を伏せた。そして固い声で言った。「
自分でやるよ」

 「一緒にやった方が早い」
 無感情な声でそう言うと、チャーリーは唇を噛んだ。巻き毛に覆われたその顔が、いつも
よりさらに幼く見えて、ドンは本当にうんざりした。チャーリーは小さく呟いた。「盗まれ
たのが僕の落ち度だっていうなら、ドンに手伝ってほしくない」
 「落ち度だとは言ってない。自分で身を守れって言ってるんだ」
 しわくちゃになったノートのページを伸ばしながら答えると、チャーリーは微かに喉を鳴
らして笑った。諦めたような、嘲笑しているような、変に大人びた嫌な笑い方だったので、
ドンは僅かに眉を顰めた。
 「ドンは僕のせいで、あのブロンドの子とのデートが中止になったから怒ってるんだ。僕
みたいなお荷物いらないって思ってる」
 チャーリーはそう言い、乱暴な動作でセロテープをちぎった。ドンは少し驚いて弟を見た。
チャーリーがドンのデートにまで気が回っていることにも驚いたし、それについて遠まわし
に非難してきたことにも不意を打たれた。チャーリーの黒い瞳からは涙が溢れ始め、汚れた
ノートブックのページをさらに汚した。
 「ドンなんて嫌いだ。大嫌いだ」
 チャーリーは掠れた声でそう言い、俯いて補修を続けた。ドンは言葉を返しあぐねて、黙
って弟の作業を手伝った。ノートに書かれた数字の羅列の意味はドンにはわからない。それ
がどんなにチャーリーにとって大事なのか、理解することもできない。それと同じようにこ
の弟のことも、きっと一生理解できないんだろうと思いながら、ドンは破れたノートを直そ
うとする弟を無言で手伝った。

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軽くネタバレなんですが
弟は高校なんて二度と行きたくないというトラウマ持ちで
しかも兄のこともちょっと恨んでるみたいなので妄想してみました

ちびっこな弟を書くのは楽しかったりします
つか前回誤字多すぎて申し訳ないー


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