パタリ口 少佐×17歳パタリ口
更新日: 2013-02-05 (火) 00:32:19
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| __________ | パタリ口で少佐×17歳美少年パタリ口。
| | .| | 最近はまってまだ文庫も制覇し切れてないため、原作との矛盾、間違いあったらスマン。
| | >PLAY .| | エロなし、朝チュンです。
| | .| | Λ_Λ
| | .| | ピッ (・∀・ )
| | .| | ◇⊂ )
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夜半。霧のロンドン。
仕事を終えて帰宅しようとしていたバンコランは、イヨマンテに呼び出されとある高級
ホテルのスイートルームの前に立っていた。
扉の前に控えたベルボーイがうやうやしい仕草で扉を開けるのを待たず、自らぞんざい
に扉を開け放ち、煌々とシャンデリアに照らされたスイートルームを睥睨した。
「来たか。雨に降られなかったか?」
高く澄んだ、変声期前の少年独特の声にバンコランは寝台の方を振り向きそちらへ歩み
寄った。
目当ての人物はギリギリのところで悪趣味と装飾美と間をさ迷っている帳つきの寝台に
優雅に寝そべり彼の方に手を振っていた。
バスローブに伸びやかな身体を包む少年は、美しい顔に小悪魔的な微笑みを浮かべてこ
ちらを見ていた。
その視線に気づいていながらあえて無視し、バンコランは苛々とした仕草で懐から葉巻
を取り出した。
火をつけようとするが一度ではマッチの火はつかず、スイートルームに彼の舌打ちが響
く。
「ロンドンでは霧雨など当りまえすぎて濡れることに一々構ってなどいられない。まった
く、大体なんで私がお前の護衛など……」
「まあそう言うな」
何も含むところなどない清らかな笑みにも、何かたくらんでいるようにもとれる玉虫色
の微笑みを浮かべ、パタリロ、若きマリネラの国王は首をすくめた。
「いつもは大使館かうちに押しかけてくるくせに今日に限ってどうして一流ホテルなんか
に泊まるんだ。お陰でこちらはロンドンにいながら外泊だ」
「なに、今回の渡英は接待で向こう持ちだからな。向こうがタダで泊まらせてくれると言
うのなら、断るほど私は無作法者ではない」
「相変わらず国王にしておくのが恥ずかしい守銭奴だな」
バンコランは怒りを一瞬忘れ呆れた目でベッドに怠惰に寝そべる少年を見つめた。
「国王だからこそ、血税のありがたさをかみ締め、節制に励んでいるのだよ」
「相変わらず口が減らない」
「口が減ってたまるか」
「ああ言えばこう言う。部長の命令でなければ、今すぐ家に帰れるものを。大体護衛なん
て、お前相手に何を守る必要があるというんだ」
日ごろパタリロの非常識かつ人類の進化に反した能力の数々を見せ付けられ、巻き込ま
れているバンコランはいやそうな顔で部屋を見回した。
いつものパターンならば、ここいらで暗殺者、喋る猫、タマネギの一匹や二匹飛び込ん
できてもおかしくはない。おかしくないどころかそんな非日常がパタリロとバンコランに
とっては悲しいかな当りまえの日常であった。
「私が知るか。今回はダイヤの展覧会に主賓で呼ばれたのだよ。主賓に万が一の事があっ
てはという、主催側の気遣いじゃないのか?」
「つまりお前が悪いと言うことだな」
「アホ、なぜそうなる。……今日は機嫌が悪いな、どうした、浮気の予定でも入っていたのか?」
「今日は潔癖だ」
なぜか得意げに目を細めた美少年キラー。
「そこで胸を張る辺りにお前の普段の悪行がしのばれるな」
彼の手癖の悪さを知るパタリロは懲りないやつめ、と冷たい視線を向けた。
無言の糾弾を受けて、バンコランは少々わざとらしい咳でお茶を濁した。
風向きの悪さを感じ話題を変えようと彼はパタリロからあさっての方向を向きながら考えた。
「そういえば、今回タマネギたちは連れてきていないのか?」
「奴等は大使館にいるぞ。あいつらまでスイートルームに泊まらせる義理はない」
「主催側が付き人用に部屋を取っているだろう。……まさか、勝手にキャンセルして金を
浮かそうとしたんじゃないだろうな」
「三ツ星ホテルは流石にキャンセル料をとってもいい儲けになっ……」
「…………」
「……今のはタマネギたちには内緒だぞ」
「私は呆れて何も言う言葉がない」
白々しい空気が二人の間に流れる。
バンコランはその辺にあった椅子を引き寄せていかにも大儀そうに腰掛、パタリロは退
屈そうに巻き毛を指先で弄くって沈黙の重みに耐えた。
ふと思いついた様子でパタリロが顔を上げ、窓の外を眺めている男に声をかけた。
「バンコラン」
「なんだ」
「こうして初めて会ったときのことを思い出すな」
しみじみと思い出にふけるパタリロの表情とは反対にバンコランの声は暗い。
「言ってくれるな。私の人生の中で思い出したくない過去の一つだ」
バンコランは苦虫を噛み潰した顔で吐き捨て、短くなった葉巻を灰皿に置いた。
「あの頃はいちいち僕の言うことに反応して、中々からかいがあったものだが、最近はち
っとも乗ってこないからつまらん」
「お前も随分と変わったものだな。昔はつぶれた饅頭のような酷いものだったのに一体ど
ういう奇跡が起きたら三頭身が八頭身になれるんだ」
バンコランはパタリロの方を振り返り、改めて己の目に映る17歳パタリロの美少年ぶりを胡散臭そうに眺めた。
最近お互いの仕事が忙しすぎて電話で話すことはあっても姿を見ることがなかったせい
か、前にあったときよりも更に横幅が減り縦に伸びたような気がする。
昔の面影は、うっすらと目元に残ってはいたが、すらりと伸びた手足や、金色の巻き毛が
覆う繊細な顔のパーツは肥満児で生活習慣病を患っていた大食漢の子供とはもはや別人だった。
ただしそれは口を閉じ一歩も動かず椅子に座っているときだけで、口を開けばあのパタリロが
順調に成長してこの美少年になったということを疑う余地はない。
「選ばれた人間だけに許される変身だ」
「全身整形か」
「違う。僕のあの可憐な容姿のどこをメスで弄くる必要がある」
「まあ、あの容姿では無理もない。人生を悲観して身を投げても仕方がないレベルだったからな」
「おい、さらっと聞き流すな。失礼な奴だな」
「繰り返して言うが、あのへちゃむくれで潰されたゾウリムシのようなお前がだぞ、どうしてそんな……そんな姿になれると言うんだ」
本人相手に美少年などとは死んでも言ってやりたくない。バンコランの意地が、彼の言葉の語尾を弱らせた。
パタリロは目線を逸らした諜報員にふん、と鼻を鳴らした。
「前半部分は寛大な心で聞き流してやろう。この僕の美しさがあるのは父母から頂いた
遺伝子のお陰だ。よくある話だろう、家族でアルバムを見て、生まれた時は父さん似で凛々
しかったのに今は母さんにそっくりで美人だなー。あらいやだお父さんったらとかいう話は」
手癖までつけて一人芝居をする少年を、バンコランは冷たい視線で眺めていた。
「お前の別人ぶりはそういう微妙なレベルの話では断じて、決してない」
「くどい。しつこい。これだから中年は……冗談だ」
懐から銃を取り出す仕草をしたバンコランに、パタリロは両手を持ち上げて早々に降参の意を示した。
ま、昔の僕は僕でそれはもう神に愛されたような容姿の持ち主だったからお前が失われた
過去を嘆くのもわかるがな、とマリネラの若き国王は喉を鳴らして笑った。
猫のように目を細める昔からの癖も、昔とは随分様が違う。
幼い頃のパタリロのそれは招き猫然としていたが、今は蠱惑的な力を持ってみる人を魅了する。
(数年前の私の前に今のパタリロが現われたら、私は信じなかっただろう。
それどころか声をかけてディナーの約束の一つや二つ……)
そこまで考えて、バンコランは己の想像のありえなさに身震いした。
パタリロは柔らかな寝台に身体を預けながらそんな男の姿を怪訝な目つきで見つめている。
バンコランは一瞬、自分の想像が見透かされたか?と考えたが、いつものポーカーフェイスで乗り切ることにした。
「……まあ、中身は一向に変化がないと言うか悪化の一途を辿っているが」
「後は老いるだけの中年の嫉妬は醜いな」
バンコランの皮肉に対してパタリロは満面の笑みで毒を吐いた。
ひくり、とバンコランの口元が引きつる。
最近マライヒから何かというとワインとステーキがメインの食生活を改めなければ、
中年太りの危機を迎えると説教されている彼は年齢の話題に敏感だった。
「なに、お前がプレイボーイを引退しても僕がしっかりと跡を継いでやるから心配するな」
「……お前は同性にはその手の興味がないはずだ」
過去のパタリロの失恋履歴を付き合いが長いだけに無駄に詳しく知っているバンコランは、何を馬鹿なことをと鼻白んだ。
「なに、最近はその手の輩に声をかけられることも多くてな。そちらの方にも僕は寛容になったのだよ」
「何だと!」
「驚くことはないだろう? 何しろ僕はガニメデスも真っ青な美少年だからな」
「お前の場合、どちらかというならナルキッソスだろう」
バンコランが皮肉ると、パタリロは身体を起こしてフフン、と意味ありげに微笑んで見せた。
「試してみるか?」
ベッドの上からバンコランに向かって四つんばいになる。
バスローブの下から覗く細い喉や白い胸元は扇情的としか言いようがなく、バンコランは
咄嗟に否定することも忘れその光景に見入ってしまった。
駆け引きめいた艶っぽい緊張感など、己とパタリロの間に発生するわけがないとつい最近まで思っていた。
どこで歪んだ二人の関係が更に曲がりくねったところに着地してしまったのか。
パタリロは己が若く美しく、そういう嗜好を持っているものにとって自分がたまらなく
魅力的であるということを十分に理解し、その魅力を遺憾なく振舞うことに長けていた。
たちが悪すぎる、とバンコランは心の中で思う。
相手はあのパタリロだ。いくら見た目が誂えたようにバンコラン好みの美少年であろうと、
中身は悪魔のようなずるがしこさを持つあの、パタリロなのだ。
チャタテムシだぞ。潰れたまんじゅうだ。性格も最悪、無駄な発明と世界の食糧難を引き起こし、
金のためなら悪魔にだって魂を売るような奴だ。
バンコランは心の中で思いつく限りの罵詈雑言を目の前であくまでも余裕の笑みを浮かべ
こちらの葛藤を面白がっているパタリロに向けて並べてみた。
やるべきか、やらざるべきか。マライヒに知れたら血の惨劇ものの葛藤はしかしあくまでも真剣に彼の中で続いた。
だが、パタリロの桃色の薄い唇がせかすように僅かに開き、中から白い歯と赤く
誘うような舌が微かに見えたとき、バンコランは悪魔に魂を譲り渡した。
あの唇が私の名を呼ぶのならもうどうなっても良い。
パタリロの誘惑に乗ると決めたバンコランは、これから起こるかもしれないすべての
騒動について考えることを放棄した。
少々壊れた脳でそんなことを考え、椅子から腰を浮かせた少佐は唇で小悪魔の誘惑に答えようとした。
「ちょっと待て」
「何だ」
唇と唇が触れる寸前、舌を伸ばせば触れられる距離でパタリロは身体を起こしバンコランの前に手を広げて見せた。
「50ドルだ」
パーの形に広げられた手を突き出され、わけがわからないバンコランは鼻白んだ。
「……何がだ」
「キス一回につき50ドル。これ以上はびた一文まけられんぞ」
わかってはいたことだが、パタリロはどこまでもパタリロだった。
例え絶世の美少年になろうと、中身はドケチで小銭の一枚も惜しむ守銭奴な上に根性がひん曲がっていた。
だが、悲しいかな、バンコランの前で手をひらひらとさせるパタリロの挑戦的な顔つきは、
悲しいほどにバンコラン好みだった。
(ああくそ、この生意気な言葉を吐き出す唇を蹂躙しひれ伏させたい。私が欲しいと
泣いてねだるまでねぶって可愛がって、赤く腫れるまで唇や乳首を可愛がりたい……)
「ああわかったわかった。後で払ってやる」
だから続きをさせろ。苛立ちながらバンコランはキスを強請る。
バンコランの指に顎先をつかまれると、パタリロは可愛らしい唇をひん曲げた。
「言質は取ったぞ? 後でそんなことは言ってないというのはなしだからな?」
「わかったと言っているだろう! さっさと唇を閉じろ!」
金に汚い美少年の唇をバンコランは自分の唇で黙らせた。
バンコランの舌がパタリロの唇を撫でる。
パタリロの唇が迎え入れるように薄く開き、「50ドル」と声に出さずに呟いた。
そんな少年の舌を嗜めるようにバンコランの歯がパタリロの舌先を甘く噛む。
奥深くにバンコランの舌がもぐりこむと、嫌がるようにパタリロの手がバンコランの胸を押した。
それに構わず、寝台に軽い身体を押し倒しバンコランはキスを続ける。
息継ぎをしながら、何度も何度も。
「く、あ、待て、バンコラン」
赤く熟れきった唇でパタリロが制止する。
バンコランは心の中でほくそ笑んだ。
(ここまで持ち込んでしまえば、後はこちらの思うが侭)
ロンドンのプレイボーイは大変いやらしい笑みでパタリロの唇に羽のようなキスをした。
「待てないな」
甘く耳元に囁く声は数え切れない少年たちを落としてきたものだ。
囁かれたパタリロは、いつもの冷めた目で待てというに、とバンコランの頭をはたいた。
「何だというんだ」
叩かれた頭を抑え、お預けを食らわされたバンコランは不機嫌な顔で少年を見た。
「これで何回キスをした?」
パタリロは真剣な顔で、とても彼らしい質問をした。
「そんなことより、集中しろ」
「アホか、こっちはビジネスだぞ」
「……わかった。金のことなど考えられないぐらい夢中にしてやる」
言うが早いか、バンコランはパタリロの腰を掴み首に唇を押し当てた。
その上に非情とも言えるパタリロの言葉が降って来る。
「ちなみに胸へのお触りは800ドル。僕の大事な息子に触るなら、1000ドルは貰うからな」
ピシ、と音がしそうな勢いで人差し指を突きつけられ、バンコランは言葉に詰まった。
「お、ま、え、な、あ」
「本番有りなら一回1500ドルだ」
「さすがに金には汚い奴だな!……だが、一国の国王の身売りにしては安い値段じゃないか?」
「親友価格で割り引いてやってる。感謝するんだな」
にこりと、食えない笑顔で笑うパタリロの瞳には間違いなくドルマークが浮かんでいた。
理性は乗るな、と言っていたが、パタリロの白くすらりとした指先が誘惑するように
バンコランの唇を撫でた途端、葛藤は煩悩によってかき消された。
†
事の後、一晩明けてクローゼットの鏡を前にネクタイを締めるパタリロは上機嫌だった。
「一晩で5300ドルか。高級娼婦まではいかないが、僕も中々やるものだな」
呟く声も弾んでいる。
朝の爽やかな光が差し込むスイートルームで、既に身支度を終えていたバンコランは
朝刊をチェックしていた顔を上げて隣に腰掛けた少年を見た。
「そのことだが、パタリロ」
「ん?」
公式の場に赴くために前髪を上げ額を露にした姿は朝日の中でも十分に艶っぽい。
目がドルマークで輝いているということを差し引いても、だ。
「お前も楽しんでいたのだから、その分の料金を請求しようと思ってな」
「なんだと?」
手櫛で髪を整えるパタリロの手が止まり、バンコランを凝視する。
「考えても見ろ、昨夜のアレはセックスとは言っても私が一方的に奉仕していたようなも
のだったろう? お前も楽しんだ分、代金を貰おうか。キス一回につき70ドル、射精一回1500ドル、本番は2000ドルだ」
「ちょっと待て、なんで私の料金設定よりお前のが高いんだ!」
詰め寄ったパタリロを見上げ、バンコランは昨夜の葛藤の復讐をするかのように傲慢に足を組んで微笑んで見せた。
「技術と経験の差だ。合計……6700ドルといったところか」
腕を組んで考え込む仕草をするバンコランは、大人の色気というものを醸し出していた。
全うな感性の持ち主や彼の眼力が効く相手なら間違いなく卒倒するであろう微笑みも、
パタリロにとっては借金の取立て屋が浮かべる極悪非道な笑みにしか見えない。
「そんな理不尽な話があるか。……僕は払わないぞ、断固として、一ドルも、一ポンドも、一ペンスだって、払うものか!」
「お前が払わないなら、タマネギたちに今回のこと、話してもいいということだな?
国王が売春などとしれたら一年間小遣いなしの話ではないだろうな」
よどみなく流れるバンコラン言葉に、パタリロはぴたりと口をつぐんだ。
(昨日僕と楽しみながら、裏でこんな画策を考えていたとは……)
してやられた、と付き合いが長い男のしたたかさに臍をかみながら、パタリロは出来るだけ冷たい表情を作った。
ほくそ笑みパタリロの反応を眺めている男に向かって低い声で呟く。
「……MI6所属の優秀な某少佐が未成年と売春、買春、淫行か。SUN誌に売ったら
どれほどの値がつくか今から楽しみだな」
「ぐっ……」
お互いにやましいことがありすぎる二人は黙り込み見つめ合った。
「…………」
「………………」
パタリロはもしタマネギたちに今夜のことがばれたらどんな食事制限と厳しい減給が
待ち受けているかを考えて眉間に皺を寄せ、バンコランはバンコランでマライヒに
浮気がばれたらという非常に頭の痛い事態を想定し頭を抱えた。
二人は青ざめた顔で己の保身のために考え込んだ。
「…………なあ、バンコラン?」
「……なんだ、パタリロ」
「今回はお互い痛み分け、金の話はなかったということでどうだ」
「……それで手を打ってやらんこともない。その代わり、わかっているな?」
パタリロを見上げるバンコランの顔は任務についているときとなんら変化がないあくまでも真剣そのものだ。
そこまでマライヒを恐れ愛しているならなぜ浮気をするんだ、とパタリロは浮気をけしかけたくせに思った。
が、懸命な彼は余計なことは言わずただ黙って頷いて見せた。
「そっちこそ、タマネギには絶対に言うんじゃないぞ」
「分かっている」
「そうか。それは良かった。それじゃあ、僕はもう行かなくては」
迎えのタマネギが来る時間だ、とパタリロは立ち上がり、椅子にかけておいた上着を腕に取る。
薄いシャツ一枚に覆われたまだ未発達の背中を新聞を盾に覗きながら、バンコランは声をかけた。
「次はいつロンドンにくる?」
「……懲りない奴だな、お前も」
ロンドン一プレイボーイの声に含まれる艶に、呆れた顔でパタリロは振り返った。
「私は悪くなかっただろう?」
「まあ、そうだな。悪くはなかったぞ」
自信満々、否定されるなどとは微塵も思っていない態度が少し癪だったが、パタリロは同性として素直にそのテクニックを賞賛してやった。
そうだろうそうだろう、と新聞をテーブルに下ろし、バンコランは満足気に口元を緩める。
「別れのキスは?」
「60ドル」
パタリロはバンコランを見下ろし、にっこりと営業用の微笑をくれてやった。
「値段が上がってるぞ」
「10ドルぐらい、お前には些細なことだろう」
手を差し出すパタリロの顔は先ほどとは違い悪戯そうに微笑んでいる。
バンコランは苦笑いでパタリロの蝶ネクタイを掴んで引き寄せ、少年の柔らかい唇にキスをした。
「舌を入れてたら、もう20ドル上乗せしていたところだ」
「支払いは次に会うまでツケにしておけ」
「もちろん利息はトイチ。……ただのジョークじゃないか、バンコラン。僕とお前の仲だろう」
「お前が言うとまったくジョークには聞こえないな。まあ、私とお前の仲だから許してやろう」
パタリロとバンコランの奇妙で捻じ曲がった関係が、新たな局面に二回転宙返りの綺麗な軌跡を描いて着地した瞬間だった。
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| | .| | 投下してみたら改行エラーと文字多すぎで
| | □STOP .| | 思ったよりも長くなってしまいましたが、以上です。お粗末さまでした!
| | .| | Λ_Λ
| | .| | ピッ (・∀・ )
| | .| | ◇⊂ )
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| ̄''l
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
- 再現率高くて萌えました! -- 2012-08-19 (日) 16:23:29
- 最高! -- 2012-09-13 (木) 22:29:12
- 原作絵で想像できた。しかしバンコランは7年経っても少佐のままなんだねw -- 2013-02-05 (火) 00:32:19
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