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里予王求

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
『誕生日』見て、書いたのを思い出した。
宣告直後の話。
後悔はしていない。

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実力だけがモノを言う、弱肉強食の世界。
一握りの栄光の影に、多くの敗北者がいる。
そんな世界で、俺たちは10年以上も戦ってきた。

「俺、クビになってん」

困ったような顔をしながらも、笑顔を忘れない男。
3年前に同僚になってからは、同じ歳と言うこともあって、仲良くしていた。

「そうか」
「またリストラやわ」

彼は昨年プロ16年目にして、初めて規定打席を達成した。
前のチームを戦力外になり、アリヒトさんがFAで抜けた穴を埋めるべく行われたトライアウトで、外野からノーバウンドでホームまでボールを返した。
まさに、劇的な人生を歩んだ男だ。
その生き様から、『リストラの星』なんて呼び名もある。

「手首は?」
「年やから、治りが遅いわ。けど、まだ現役諦めてない」
「ははは。俺だって、同じようなもんだ」
「魔法使いと一緒かぁ」

『魔法使い』に『オヤジビーム』
それが俺たちのあだ名。
今年は、お互い下にいることが多かった。
若い連中に混じって、真夏の鷹ノ巣でボールを追っていた。
真っ黒に日焼けした顔を見て、少しだけ、20年近く前の気持ちに戻れた気がした。

「トリは、まだまだここでやらな」
「俺は、シャチョウと、もっと一緒にいたかった」
「お前も俺も外様やけど、トリは監督に気に入られてるからな」
「それは」
「俺も……俺も、ここで野球人生終わらせたかったわ…」

目の前の男は、笑ったまま、ボロボロと大粒の涙を零していた。
この年で移籍先を探すことは難しいだろう。
移籍が叶えば、俺たちはまた敵同士になってしまう。
それが悲しくて、俺も自然と涙が出て来た。

「何でトリが泣くん…」
「俺だって…俺だって、」
「お互い、40に手が届くしな」
「引退する時は、シャチョウと一緒がよかった!」
「トリ……」

大の男が、それも四捨五入して40になる男が、2人も泣いている光景は、傍から見たらどれだけ奇異に映るだろう。
でも、そんなの関係なかった。
ただ、抱き合って、泣くことしかできなかった。
他に誰もいないロッカールームに、嗚咽だけが響く。

「トリ、俺の分まで若手を引っ張れよ。全部、お前の『ヘェイ』にかかってる」
「シャチョウ…」
「俺も、随分励まされてん」
「………」
「ほな、な」

去りゆく友の後ろ姿。
追いかけていこうと思ったのに、追いかけていけなかった。
1度も見たことないような寂しい後ろ姿に、俺は涙を止めることができなかった。

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□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

シャチョウ、ガンガレ!


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