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首断ち六地蔵 主人公と犯人

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )
某推理小説主人公と犯人 ネタバレ注意

姦淫は地獄へ堕ちる罪だそうだ。

俺の下に組み敷かれた坊主が前に言っていた。
掛け値なしの貧乏寺、隙間風どころの騒ぎではない冷たい風が入りたい放題の部屋。
食うものも食ってないで万年腹減らしの破戒坊主。
あんまり可哀想になったもんだから仕事帰りに牛丼を買って持って行ってやった。
それこそ三日は絶食していたのではないかと思う勢いで食べる坊主を、
貧乏寺には似合いの煎餅布団に勝手に転がって眺めていた。
食べ終わったあいつと何を話したのかはよく覚えていない。
こっちを覗き込むように覆いかぶさってきたあいつに他意はなかったのだろう。
男色の趣味は俺には無かったつもりだが、ふと抱こうかという気になった。
女房持ち子供有り。
別にそっちで困っているわけでもないのに、そう思った。
つぎはぎだらけの僧衣の襟元を掴んで布団に引き倒した時、あいつはただ
困惑したようなきょとんとした顔をしただけだった。
口付けしても抵抗は無く、舌を差し入れたらあっさりと応じてきてようやく、
そういえば仏教には男色があったっけなと思い至った。
「こっちの趣味があったんですか?」
と事も無げに聞かれて返事が出来なかったのは俺のほうだ。
答えずに僧衣を引き剥がし、乱暴に事に及んだ。
痛いのか嫌なのか顔を顰めて俺にしがみつくあいつの様からは、
何をどうしてやればよかったのか結局俺は読み取ることさえ出来なかった。
酷いことをしたもんだと思う。
果てて倒れ込んだ俺の耳元で、あいつが掠れた声で囁いた。
「地獄に堕ちますよ」
それも仕方ない、と俺は思った。そもそも飲酒が止められない時点で
俺の地獄行きは決まってる、そう言い返して俺は寝た。

次の日、あいつは何事もなかったようにおはようございます、と言った。
昨日のことなどなかったようだった。
俺も気にもしなかった。

……あいつが死んだ今だからこそ思うのだ。
あの夜の出来事はけして嘘ではないし本当にあったことなのだ、と。
一番近くにいたつもりで知っていたつもりで何も知らなかった、友人と思っていた殺人犯。
「地獄に堕ちますよ」
そう言った時のお前の心境はどうだったんだ。拒まなかったのは俺に来て欲しかったからか、
確かめる術はもうどこにもない。いつか俺が死ぬ日まで分かる事はない。

仕方ない。
地獄で会おう、友よ。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
勢いだけで失礼。

  • まさかこの作品のこの二人に萌えてる人が私の他にもいるとは思わず感動しました。-- 2009-11-30 (月) 23:29:12

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