竜ファ
更新日: 2011-04-29 (金) 16:12:26
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )
こういう小説書くのも初めてだしこのスレ使うのも初めてです。
至らないところがあったらすいません。
最近やたら体が疲れる、と背後から愚痴とも独り言ともつかない言葉が聞こえた。
「大丈夫か?」
俺は後ろを振り返る。ファウストは既に浴衣を着て、後は寝るばかりの格好で壁にもたれていた。
「勿論。体が疲れるのは前からでスシ。」
それでも眉をしかめて軽く肩を回す。どこかの骨が鳴ったのだろう、こきんと乾いた音がした。
「これでも医者ですから、どこが悪いのかは判るのですヨ。」
多分筋がすっかり固くなっているのでしょうね。そう言って不愉快そうに自分の体を睨んだ。
「それ治んねえのか?」
「多分治りますケド。開いて直接ほぐせばそれはもう一発で…」
さらりと恐ろしい治療法を呟く。
「モルヒネの量をもっと増やせば何も感じなくなる代わりに疲れも感じなくなるのでは…。」
「やめとけ!」
これ以上ヒートアップする前に突っ込みを入れる。何より怖いのはこいつが至って真面目に言ってる事だ。
早めに何とかしないと、そのうち本当に自分に麻薬を大量投与しかねない。
「つまり体が凝ってんだろ?」
「まぁ、そういう事でスネ。」
「じゃあ俺が指圧してやるよ。何もしねぇよりましだろ?だからあんま怖い事言うなって。」
「怖い事って何でスカ?」
戯けた事を抜かしながらも、ファウストは布団にごろりと寝転がる。指圧されることに異存はないらしい。背中向けろ、と言うと素直にうつ伏せになった。
ぐっと力を入れて指圧する。やはり相当凝っている。ツボとか筋とか専門的なことはよく知らないが、大体こういうのは勘で判る。
「あー…。竜クン意外と上手ですネェ。」
そこはもう少し右の方が良いかもしれまセン、と気持ち良さそうに言う。
自分に自分の指圧を試す事は出来ないが、俺は力もあるし、上手い部類に入るのだろう。
普通なら一番疲れが溜まる部位、肩に手を置いた時ぴくりとファウストが動いた。
「あの…そこはいいデス。」
首を傾げて俺を見上げる。
「え?何で?痛ぇのか?」
痛いのは指圧が効いている証拠だ。そういうところこそほぐさなければ意味がないのに。
「我慢しろよ。肩なんて一番凝る所じゃねぇか。」
しばらく何か考えていたが、はい、と小さく呟いてファウストはまた俯く。肩を押すたびまるで何かに耐えるみたいにぴくん、と反応する。
そんなに痛ぇのかな、と不思議に思う。首に触れた時とうとう小さく声を上げた。
息が苦しいのか顔を横に向けて、俺にもファウストの表情がしっかり見えるようになった。
目をぎゅっと瞑ってはいるが、痛いのを我慢してる顔ではない。むしろ、気持ち良さ、それも性的なもの、を我慢しているように見えた。
…ああ、そうだ、そう言えば。こいつは痛みなんか感じないんだった。試しに首筋をなぞってやると、固く結んだ唇の端から微かな声を漏らした。
いつもは具合でも悪いのかと思う程白い肌なのに、赤味まで差している。多分首周辺が性感帯だったりするのだろう。
恐らくこの憶測は間違ってない。前から変だとは思っていたが本当に変わっている奴だ。
「竜クン?」
突然手を止めた俺を不思議に思ったのだろう、切なそうな青い目が俺を見上げる。
不覚にもそれが色っぽく思えてしまって、もうしばらくだけこの状態を維持したくなってしまった。
「どうしまし……っ!」
首筋をつぅっとなで上げると、不意打ちに体を震わせた。
「わりぃ…ちょっとぼーっとしてた…。」
その間も肩をほぐす要領で首を指圧してやる。
「……うっ。」
耐えきれなくなってきたらしく、手がシーツを引っかいた。
「りゅ、竜クン…もういいっ…んっ。」
やっとのことで、といった声を出すけれど、敢えなく途切れていく。ちらりと青い瞳が見えたがそれもすぐに閉じられた。
ただどうしようもなく感じているらしい、それでも必死で平静を装っている姿が堪らなくて、罪悪感と共に何か違う感情が押し寄せる。
聞こえなかった振りをして行為を続行すると、ファウストの目に涙が滲んで少し青色が濃くなった。決して小さくはない罪悪感が募るが、俺の手は止まらない。
軽く爪を食い込ませると、泣きそうな声を上げた。
俺も頭に血が上っていたんだろう。しばらく、と呼べる程の時間が過ぎても俺は状態を維持するどころじゃなく、もっと深いところに届きたいとまで思っていた。
「…ファウスト。」
ぐったりしたファウストがとろんとした、涙ぐんだ目を向ける。
どれだけ抵抗しても与えられ続ける快感に最早無駄だと悟ったのか、平然を装う努力はしなくなっていた。それでも必死でシーツを掴んで、感情を分散させようとしてはいたが。
「その…もっと気持ち良くしてもいいか?」
「え…?」
思考が停止状態になっているらしく、ぼーっとしたまま返事はない。それをいいことに、ファウストを抱き起こすようにして体制を変えた。背面座位に近い形になる。
まだよく状況が把握できていないファウストの体の下の方に手を伸ばした。既に勃っているものに触れる。
「ひっ!?」
流石に我に返ったような声を上げ、硬直する。浴衣の上から軽く擦ってやると喘ぐような声を出した。
乱れた浴衣の中に手を滑り込ませて直接触ると、既に先走った液でぬるぬるしているのがわかる。
「りゅ、竜クン…。これは、」
「言うなって。」
ファウストの言を遮った。もうこの行為は完全に指圧の範疇を超えている。ファウストは恥ずかしそうな、困ったような顔をしていた。
でも抵抗しないってことはもういいということなのだろう。ファウストのものを握った手を動かした。
「あっ…。」
徐々に勢いを強くする。ぐちゅっと淫らな音をたてる。ファウストの口の端を唾液が伝った。
「いっ、嫌だ…ぁっ。」
ファウストの頬を涙が一筋落ちる。
金色の睫も、柔らかそうでその実触れたことは無い金髪の先端をも濡らした。でもそんなことには構いやしないで、俺はただこいつが乱れた所を見たくて手を動かす。
こいつを気持ち良くさせる事なんかより、そっちの方を優先させていた。全くもっておかしいと思う。
男同士なのに、美少年なら兎も角こいつは俺より年上なのに。愛している奥さんもいるのに、それが更に俺の罪悪感を膨らませた。
恐らくファウストも同じようなことを思っているのだろう、いやそれとも何も考えられないのかもしれない。
俺がぐるぐる色んな事を考えている間にも俺の手は動いているし、ファウストは絶頂に近づいていく。
「あ、あっ…竜クンっ、」
「どうした?」
尋ねても返事は返って来ない。耐えきれず、腰を動かすのがわかった。行動とは裏腹に閉じられた目からは涙が溢れている。
ぐちゅぐちゅと、絡み付く様な音がやけに大きく響いた。声を出したくないのか、自らの細い腕に噛み付く。
そして、ファウストは達した。熱い白い液体が浴衣もこいつの体も俺の手も汚した。
正気に返ったファウストは呆然としていて、羞恥に打ちのめされて泣くことも出来ない様だった。俺は酷い罪悪感と背徳感に苛まされていた。
ファウストがか細い声で竜クン、手を汚してしまって申し訳ありまセン、と言った他に会話は無く、重苦しい沈黙が漂っていた。
ファウストの頬の涙の跡と腕に付いた噛み傷と、ファウストの浴衣の染みと乱れた布団と、俺の手に付着しファウストの腿を伝う固まりつつある白い液体が全てを物語っていた。
俺が謝るタイミングを模索していると、ファウストがすっと立ち上がった。
「…お風呂にもう1回入ってきます。」
ふらふらと歩く。足元には事の最中大人しくしていた忠犬の姿があった。主人を気遣うようにキュウーンと鳴く。
…そうか、そういえばあいつが居たのだ。よろよろと部屋から出ていく直前、責めるようにあの犬が俺を見やった気がしたが、俺は気の抜けたように座ったままだった。
第一あの犬の目は空洞だから俺を見たのかどうかも定かでは無い。俺は俺でどうにか処理しなきゃな、と自分のすっかり勃ち上がったものに触れた。
でも今はどう処理しようがあいつの事しか浮かんで来なくて、罪悪感が増すばかりなのだった。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )
なんか暗くなってしまった…。
でもこいつらはほんとにいいコンビだと思うよ。大好き。
読んでくれた人達ありがとう。
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