月
更新日: 2011-04-29 (金) 11:30:14
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )イマサラダケド…コソーリ
鰤の海縁←雨季竹、今日楽→雨季竹前提で海縁死後の話です
あまりに萌えが炸裂したので…(´・ω・`)
ふと、現れた気配に誘われ開けた障子。
微かな床の軋みを足裏に受けて出た縁側を照らす柔らかな月光は、荒んで落ち込んだ心にも暗がりに馴れた目にも酷く優しかった。
「―――――そんな所で何をしてるんだ?」
完全に霊圧を消す事も出来る癖に、ほんの僅かな綻びを作り佇む人影にそう声をかけると、腐れ縁と呼ぶには些か縁のありすぎるその男は砂利を踏む音を響かせ動いた。
「いい月だからね、月を見てる。」
奴らしい答えに零れる苦笑は、呆れ半分、感謝と懐かしさが少々。
軽薄さに隠した慧眼や驚くべき包容力に俺は何度救われただろうか。
縁側に腰掛けた彼の物言わぬ背中がいつもよりも広く温かく感じるのは気のせいではないだろう。
「……答えになってないような気もするんだが。」
「いいじゃないの。あまり細かい事を気にすると今度は禿げるぞ?
―――…まぁ座れ、色男。」
ふざけた返答と共に肩越しでこちらを見た今日楽の表情は笠の影に隠れて見えない。
恐らくいつもの調子で揶揄するような笑みを浮かべているのであろう彼との不毛な会話を切り隣に腰を下ろした。
「いい月だ…。」
囁くような独り言につられて見上げた空には鮮やかな三日月が一つ。
久しぶりにゆっくりと見た月は隣にいる男と同じ温かさを称え、その光は心に染みてくるようだった。
胸に刻まれた深く大きな黒い穴が癒えてくるような、そんな錯覚さえ覚えしまう。
大きな喪失感と激しい後悔、そして潰えぬ悲しみを、包み和らげてくれる温かな月光にこうして身を委ねるのも悪くないかもしれない。
「――――…飲むか?」
そっと差し出された盃に満たされた酒に映るのもまた、月。
無言のまま受け取った盃を煽りその月ごと飲み干すと、灼けつくような熱さと甘さを含む芳香が、先刻感じていた安堵を更に深くまで届けてきた。
「――――部下を……いや、腹心を死なせてしまった…。
なのに、何故俺は生きて……、」
ポツリと吐き出したそれは全てを知りこうしてここに現れた今日楽に聞かせるというよりも自身の傷を癒したいが為だった。
こんな最悪の形で大切な人を失う羽目になるなんて誰が想像しただろう。
いや、もしかしたら海縁自身はこの運命をどこかで感じていたのかも知れない。
愛する者を失い、自ら危険な任務を名乗り出たその時には、既に覚悟は決まっていたのだろう。
だがしかし最期に遺した彼の言葉は、胸に痛かった。
その胸に受けた痛みは燻り、今は後悔となってただ残るのみだ。
あの時、有無を言わさず止めていれば。
あの時、彼を任務に就かせなければ。
こうして何度も何度も仮定を持ち出してみても、結局は何も出来なかった自身の不甲斐なさにぶつかるだけだ。
そんな堂々廻りの慚愧の念を隣にいるこの男は受け止めてくれるのだろうか。
「――――…で、代わりに自分が死ねば良かった、か?」
「え?」
黙したまま酒を煽っていた今日楽の唐突な問い掛けに思わず振り向くと、笠を僅かに上げて彼は鋭い眼光でこちらを見据えていた。
「お前さんらしいといえばらしいが、――――…それはあいつに対しての贖罪にならんだろ。」
ついぞ見せたことのない今日楽のその厳しい表情よりも、彼が投げてきた言葉の方が重かった。
そう、彼が言ったのは事実だ。
だが、そうはわかっていても、俺には海縁の死は重過ぎる。
付き合いの長いこの男は初めから気付いていたのかもしれない。
隊長という立場にして持つには許されない、心の奥深くに隠していた海縁への思いを。
「――――……ああ、そうだな、すまん。」
認めてしまえば何ということはない。
俺のくだらない感傷が海縁の死を受け入れられないだけだ。
そう認めた瞬間、空になった盃に落とした視線がぼやけ、込み上げてくる思いが喉を詰まらせた。
とめどなく溢れる涙と鳴咽にどうすることも出来ぬ俺を包むのは月明かりと友の温かな手。
肩に回されたその腕の温もりに逃げ込むように、俺は顔を今日楽の胸へと押し付けた。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ ;)チュウトハンパダナ…
尻切れな上に今更ですみませんorz
お粗末ですみませんorz
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