Top/20-579

最強伝説黒沢 仲根×黒沢

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  最強伝説黒沢で仲根×黒沢
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  最終回の後日談の妄想補完…
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

「嫌だ…嫌だ…兄さん…嫌だ…」
その声は涙でかすれていた。仲根は夜明け前の病院の廊下をふらふらとさまよっていた。
公園で黒沢が倒れてから今まで何があったのかー黒沢の手から力が抜けた瞬間、救急車の
サイレンが鳴り響いた。それから先はまるでフィルムを見ているように現実感がない。
救急車ー手術ーNCUーベットの中の黒沢はいくつものチューブに取り巻かれ、人工呼吸器
が顔に被せられ、そして今酸素テントの中にいる。そしてNCUの厚いドアは周りー
坂口ら会社の同僚、ホームレスの面々から黒沢の姿を一目みることさえ拒んでいる。
 待合室の同僚たちー歯をかみ締める坂口、泣きじゃくる浅井や小野ー泣きじゃくる茜
婆さんをなだめるホームレスの面々ーもうこれ以上一緒にいることは仲根には耐えられなかった。
NCUーその意味ー脳血管外科系重症患者を対象とした集中治療病棟ーを医者から聞かされたとき、
周りに漂った沈痛な空気に仲根はもう耐えることができなくなっていたのだ。
 予断を許さないーこの24時間が峠ー周りの嘆きとすすり泣きは仲根を無数の針となって包み込む。
まともに息すらできない。針を吸い込んでいるようなものだからだ。窒息しそうな思いで
待合室を出るとそのままふらふらと仲根は廊下をさまよっていた。夜明け前の冷えた空気ー
一人になるとその寒さが突き刺さる。そして黒沢が死んでいくという絶望が仲根を苛む。
手の中の砂がこぼれるような…そしてその砂を取り戻すことができずにただ見ているだけなのだ。
失いたくない。失いたくない。こんな形で兄さんを失いたくない。
「嫌だ…嫌だ…嫌だ…」
何度も繰り返しながら、涙が頬を伝わるままにさまよい歩いた。どこを歩いているのか仲根には
わからない。無数の針が仲根の思考を麻痺させていた。
 突然、仲根は躓き倒れた。薄暗がりの中をさまよっているうちにベンチの足に引っ掛けてしまったのだ。
力なく起き上がりベンチの上に倒れるように座り込む。
 兄さんが死んでいく…嫌だ…俺は……
 誰か何とかしてくれ!!

 無意識のうちに十字を切り仲根は手を組み祈っていた。
 祈るなんて初めてだった。いや、幼い時イギリスにいたころイタリアの祖父の家に遊びに行った時に
ミサに連れられて、そこで見よう見まねでやったぐらいだろう。それ以来仲根は祈ったことはなかった。
何に対しても、誰のためにも祈らなかった。そう、祈るのはこれが初めてだった。
 「頼む…兄さんを助けてくれ…頼む…お願いします…」
 …なぜお前は祈る?なぜ?
 ―兄さんに生きていてほしいんだ…兄さんのような人はいないから…
 …兄さんか…その割にはずいぶんと迷惑かけてるな?
 ―そうだ…喧嘩の時も…先輩たちから助けてもらった時も…兄さんに不良たちのこと教えた時も…
  俺は何もしなかった…何も……!だけど俺には…大事な人なんだ…嘘じゃない!!生きていてほしいんだ!
 …そういう割には喧嘩の時本気でバット頭に叩き付けようとしたじゃないか?下手したら死んでたぞ?
 ―!!…そう本気だった…あの時本当は人が死ぬなんてわかっちゃいなかったんだ!!ほんの軽い気持ちで…
 …それでよく言えるな…助けてくれと…
仲根は唇をかみ締める。その声が”神様”って言うやつなのか?だが奴のいうことは正論だ。筋が通っている…
 「だけど…好きなんだ…あの人が…あの人が誰よりも好きだ…あの人のそばにいたい…」
 かみ締めた唇からうめくようにつぶやく。
 …どこが好きなんだ?
 ―あんな暖かい人いない…誰よりも暖かくて筋が通っていて…俺なんかより…ずっとヒーローなんだ…
 ―俺のヒーローなんだ…俺みたいな不良と違って…
 …ではお前はそのために何をする?
 「俺の命と引き換えに助けてくれ!俺みたいな奴よりもあの人のほうが大事なんだ!俺が兄さんの身代わりに
  なる!殺せ!殺してくれ…それで兄さんが代わりに助かるのなら…お願いです…お願いします…どうか俺の
  命と引き換えに兄さんを助けてください…」
 …ほう…どうして…
 「好きだからだ…!殺してくれ!俺を殺してその命を兄さんにあげてくれ!それくらい…好きなんだ…」
 哀願だった。声を振り絞りまぶたの裏に写る影に祈り続けた。
 「殺してください…俺を身代わりにしてください…」

 黒沢は酸素テントの中の自分の肉体を振り返った。体から自分が離れていっている…しかし違和感がなかった。
違和感を感じたのは公園で意識を失った時自分はすぐ死ぬと思ったのに、今意識だけが普通に”この世”に留まって
いることに対してだった。
 坂口たちやホームレスの面々に意識が向いたとたんに黒沢は待合室にいた。沈痛なみんなをみていると黒沢の胸は
さすがに痛んだ。
「おい、心配すんな。俺なら大丈夫だぜ?」
 口に出したが、届くはずもない。悪いことしちまったよ…唇を噛み改めて周りを見回せば仲根がいない。仲根はどこ
いったんだ?
 次の瞬間、黒沢は仲根の前に立っていた。目の前の仲根は涙に顔を腫らしながら祈っていた。黒沢に気づかないまま
無心に祈っていた。
 黒沢の表情にふっと苦笑が浮かぶ。よせよ…そんなのお前らしくないぜ…まるで夏休み最後の日の俺みたいじゃないか
 …俺もあんな風にして明日が8月32日になりますようにっていつも祈っていたんだぜ…
 思わず黒沢の手は仲根の頭をなぜていた。仲根の硬い髪を感じながらあやすようになぜていた。
 黒沢の手に気づかないまま祈り続ける仲根の口からぶつぶつと祈りの言葉が聞こえる。黒沢は耳を寄せていた。
「殺してください…俺を身代わりにしてください…俺の命を兄さんにください…だから…兄さんを助けて…」
「バカーッ」
黒沢は思わず叫んで仲根の頭をはたいていた。しかし黒沢の手は仲根の頭を突き抜けただけだった。
「バカッバカッ、ガキガキガキッ…」
手が突き抜けるのもかまわず仲根の頭をはたき続けていた。
  ―自分の命ぐらい大事にしろよ…このガキが!!

…お前の命はどうでもいいんだな?
背後から声が聞こえたが、黒沢は振り返らなかった。
―俺が助かってもあいつが死んだら何にもならねえ!!
…一度はお前を遊び半分に本気でバットで殴り殺そうとした奴だ…しかもお前に甘えているそんな奴だ…
―そんな奴だと!!
…そうだ。
―たしかにあいつはガキだ!俺はあいつが危なかしくて見ていられねえ!でもな…あいつ意外といい奴なんだ
 …ガキだけど機転は利くし、腕っ節も強い。それに根はいい奴と思うんだ…そんな奴をほっとけねえ…
…だがお前はそいつを置いていこうとしたな…そう頼まなかったか?
―あーもう前言撤回!やめやめ!頼む!やめやめ!!
…男に二言はないはずだぞ?
―だったらあいつが一流の男になるまで保留してくれ!こんな自分を身代わりにしろなんて危ないこと抜かす
 奴ほっとけるかよ!俺はあいつよりだめだめだが、あいつを泣かせることはしたくない…あいつを見守りたい…
 俺はあいつが好きなんだ…本気だ!!俺は戻る!覚悟完了!
……しょうもない奴らだ…ククク…
 黒沢はひとしきりわめくときびすを返した。だが出て行く時と違って鈍くなるのを感じた。空気が水となって
黒沢を溺れさせているようなものだ。
―ぐぐぐ…重い…溺れる…
…大丈夫か?ククク…
―笑いやがって…!こいつは…俺は戻る!意地でも戻る!だって俺はあいつの…ボコボコボコ…
…おっと、溺れたか?ゲームオーバーか?ククク…
―バカヤロー!こけにすんな!あいつの元へ…あいつの元へ…俺は戻る…戻る…戻る…ボコボコボコ…
黒沢は空気の海に溺れかけながらなおも戻ろうともがく。もがきながら先へ進む。
…やれやれ面倒な連中だ…だからいいのかもしれん……

「兄さん、もう一切れいけますよね?」
中根がふふっと含み笑いを浮かべたまま、フォークの先のリンゴの一切れをベットの黒沢の口元に差し出す。
「だーかーら、そんな恥ずかしいことやめろよ!バカ!もう起き上がれるんだぞ!」
「いいじゃないっすか、兄さん。たまには思い切り甘えてみるのも悪くないっすよ。」
黒沢は病室を見回し、周りの患者たちに注目されていることに改めて気づいて赤面して仲根から目をそらした。
「もう兄さん、あんな危ないことやめて、俺と一緒にワイハ行きません?」
リンゴを皿に戻すと仲根が黒沢の横顔を覗き込んだ。
「だから、何度も言っただろ?給料減らされたから行けねえって…」
「でもリストラされなくってよかったですよ。坂口から聞いたところによると赤松という人が社長に掛け合ってくれた
から減給程度ですんだって…」
「ああ…お前も婆さんやホームレスのみんなのためいろいろツテ探したそうじゃないか。」
そこで黒沢は一旦言葉を切って、ふっと息を継いだ。
「お前…ありがとうよ…本当にありがとうよ…もっと早く目覚めた時から言うべきだったかな?」
 一気に言うと満面の笑顔を浮かべた。
 仲根は涙がこみあげるのをごまかそうと無理に窓へと顔を向けた。そしてかすかな声でつぶやいた。
「あ…りがとう…今まで…ありがとう…」
仲根の声の震えに黒沢は気づいていた。しかしわざと明るく声を立てた。
「いい五月晴れじゃないか。あーあ、お天道様も上機嫌といったところか…ゴールデンウィークを寝て過ごす
なんてもったいねえ…」
 そしてそっと口に出さずにつぶやいた。
「あいつをこうして見守っていられるのも…あんたのおかげだ…ありがとう…」
(完)

 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ お粗末さまでした
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
あの最終回の後こうなっているといいな…単なる妄想でした。

  • ガチでこうなってほしいわ・・・ 仲根×黒沢萌え -- 2010-02-11 (木) 05:17:54
  • 温かいお話ありがとうございました。あの作品もこの二人も大好きなので、本当にこんな続きだったらなって読ませていただきました。 -- Me? 2011-11-14 (月) 07:15:23

このページを共有:
  • このページをはてなブックマークに追加 このページを含むはてなブックマーク
  • このページをlivedoor クリップに追加 このページを含むlivedoor クリップ
  • このページをYahoo!ブックマークに追加
  • このページを@niftyクリップに追加
  • このページをdel.icio.usに追加
  • このページをGoogleブックマークに追加

このページのURL:

ページ新規作成

新しいページはこちらから投稿できます。

TOP