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芸人 続解散ネタ

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                     |  >26の解散ゲ仁ソネタの続き投下するモナ
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 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|   場所だけお借りして申し訳ないです
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 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 今回で終わりなので、ダメな人はスルーヨロ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
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感想ありがとうございます。
ご本尊とは、あまりにもかけ離れた内容となったため、時系列・喋り方・設定など、
実際と少し変えた話にしています。そのため、ご本尊名はそっとしておいてくださると
嬉しいです。中途半端ですみません。

風呂もついていないような、安いアパート。
その、のぼるだけでギシギシ言うような階段を、俺は痛む体をひきずりながらあがっていた。
自分の部屋として、階段から一番遠い部屋を選んだことを、今更ながら後悔している。
わざと傷つけられた体は、明日多分熱を出すだろう。痛み止めや解熱剤は高くて買えないから、
誰かを呼んで、薬を持ってきてもらわないといけない。
明日のバイトも休むしかないだろう。多分起き上がれないと思う。
というか、今にももう、全てを投げ出したいぐらい、俺は何もかもがどうでもよくなっていた。
このアパートがもう少し高いところにあったら、空中に身を投げ出していたかもしれない。
それぐらい、自暴自棄な気分なのだ。
いったい自分は何をしているのか。ふとそんな疑問が頭をよぎった。
そんな、自分ですら分からない問いに答える人なんて、誰もいるはずがない。
ましてやアイツなんて―――

「ちょっと彼のお願いを聞いてあげて」
昼間に、いきなり事務所に呼び出されたと思ったら、部長に言われた言葉。
その部長の横にいる、今、テレビをつけると必ず目にする、事務所の後輩。
新しく来たゲ仁ソブームに乗っかって、売れに売れたゲ仁ソである彼が、その前のお笑いブームで
消えた俺に、何の用だ。
そういぶかしがる間もなく、あれよあれよと俺は彼に連れて行かれ、事前にお膳立てされていた
らしい場所で、そのまま行為を強要された。
「先輩、いろんな人にやらせてるんでしょ?
 俺、一回、落ちぶれきったゲ仁ソ、いじめてみたかったんっすよ」
と、俺の意思とは関係のない、俺が抱かれる理由を、彼は喋った。
まぁ、浮き沈み激しい、この業界だ。落ちぶれた先輩ゲ仁ソを、売れっ子がいたぶりたがるのは、
よくある話だ。うちの事務所が、売れっ子をつなぎとめるために、持っているものを何でも使うのも、
かなり前からの話だし、俺は別にどんなボロボロにされても、事務所の売り上げに影響しない、と
事務所も判断してのことだろう。
俺は抵抗しなかった。ボロボロにされるのには慣れていたからだ。
むしろ、どこのAVかと思うようなことが、実際自分の身に起こると、案外こっけいなものだな、と冷めた
頭で考えていた。

彼に色々なことを強要され、その最中に何度も酷いことをされ、キツい言葉を投げつけられても、心の
底から狂うこともできず、俺は、ずっと冷静に自分の状況を考えていた。
道具のように俺を扱う彼に好き勝手されて、半日で、俺の体には、無数のアザと傷、そして、ゲ仁ソの
命と言える声が出なくなるぐらいの疲労が残された。けれど、別に打ちのめされてはいなかった。
今歩けないぐらいのダメージをこうむっているのは、体じゃない。
彼が最後に言った言葉が原因だ。
「そういえば、アンタの相方、業界に戻ってくるらしいよ? …あれ? 知らなかった?
 構成作家になるって言ってたらしいよ。あ、連絡すら来てないんだ。
 まぁあの人は天才だから、アンタなんかもう必要じゃないんだろうね」

―――最低や。

もう何度も頭の中で繰り返してきたアイツの言葉が、今更ながら俺の心を大きくえぐった。

やっと着いた自分の家は、半日ぶりと思えないぐらい懐かしく感じた。
玄関に座り込んだら、靴を脱ぐ気力も無くなってしまって、俺はタバコを取り出してくわえた。
ライターになかなか火がつかないのは、100円ライターのガスが無くなりかけているからか、手が
震えているからか。
あまりの情けなさに、涙がにじんできたので、俺はライターとタバコをドアにぶち当てた。
安物の薄い鉄のドアが、大きな音を立てる。
ふと、ポストに何か包みが入っているのが見えた。
ドアに取り付けられたポストには、水道料金の支払い通知しか入らないはずなのに。
不思議に思って取り出すと、箱型の小さな包みが、そこには入っていた。
住所も切手もない、俺の名前だけ書かれた小さな包み。
どうやら誰かがポストに入れていったらしい。
ひっくり返しても、送り主の名前は無い。
ふともう一度俺の名前を確認して、気づいた。
この独特の、ハネとハライ。小さくまとまりながらも、何か微妙に味がある文字。
子供の頃から、何度も何度も目にしていた文字だ。
―――アイツが送ってくるなら、一つしかない。
痛む体を無理やり動かして、俺はテレビの前に移動した。

小包の中には、やっぱりビデオが入っていた。背には白いテープで、あの文字が踊っている。
『コント1』
俺は何もかもを忘れて、ビデオデッキにテープを押し込んだ。そして、再生ボタンを押した。
画面に数秒出る砂嵐。
そして映る、見覚えのある懐かしい顔。
そこには、アイツは映っていなかったけれども、見覚えのある仲間が、コントを演っていた。
そして、そのコントの中身は…
ああ。
俺は、涙を流しながら、映像に見入った。そして笑わされた。
そうか。お前、作家として、業界に戻ってくるんか。
コントの中に、俺へのメッセージがこめられているわけでは無かった。
けれど、痛いほど伝わるものがその中には入っていた。

―――お前と俺が面白いと思うもんを、分かりやすくすれば、天下なんて向こうから転がりこんでくるよ

多分、俺以外笑えないだろう、シュールなコントが2つ。
そして、一番最後に入っていた、シュールを噛み砕いて、誰でも笑えるようにしたコントが1つ。
そして砂嵐。
2時間のビデオに1時間半の作品。
俺は見終わった後、巻き戻してもう一度見た。終わったらもう一度。何度見ても、笑えた。
4回目ぐらいで、解散前に二人で話していたことが、コントの中でネタとして昇華されているのを見つけた。
何度も何度もビデオを再生して、何度も何度も、俺は新しいことを発見していた。
そして俺は、そのまま眠った。

朝になって、体の痛みで目が覚めた。
ビデオは、自動的に停止され、画面には砂嵐だけが映っていた。
俺はぼんやりとそれを見ていた。
ふとゴミ箱を見ると、ビデオを包んでいた紙が見えた。
そして気づいた。何か文字が書いてある。

『 俺はまだ、これだけ面白い。 』

思わず笑ってしまう一言だった。
俺は、携帯電話を取り出した。
何度も消そうと思って、消せなかった名前を呼び出し、まだ使われていることを祈りながら、メールを送った。

『面白かった。笑った。けど、俺の方が面白い』

送信すると、無事届いたらしく、送信完了の文字が出た。
才能ある彼を傷つけて、後ろ向きに業界から遠ざけてしまった俺。
彼と同じ傷が、いや、彼よりもひどい傷がほしくて、一生懸命後ろ向きになって、3年いたのに。
いつのまにか、彼は傷を癒して前向きに戻って、一人で進んでいたんだ。

―――業界離れてて、ブランクある俺より、面白いもん作れよ。
結局俺は、彼に与えられてばかりのような気がする。
「前に進まなな…」
胸の中のドロドロした、自分への怒りや憎しみが、消えたわけじゃない。
この3年間が消えるわけもないし、昨日作られた傷は鮮明に残っている。体も熱っぽい。
でも、俺はもう、道に迷うことはできない、と理解していた。
二人が、もう別々の道をもう歩いていて、二度と交わることはないことは変えられないけれど、
俺が今から作るものにも、アイツとやってきたことが活かされていくんだ。
携帯電話がブルブルと振るえ、返信が帰ってきた。差出人はアイツ。

『せいぜい、楽しみにさせてくれ』

おう、と呟くと、涙があふれてきた。
ありがとうの言葉は、送らなかった。
体が治って、ええもん作って、今度は俺からビデオ送ったら伝わる。そう思った。

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 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 以上です。
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) 読んでいただいてありがとうございました。
 | |                | |       ◇⊂    ) __
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