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踊る大捜査線番外編ドラマ 偲田×拝島

汚ドル番外編ドラマ、偲田×拝島。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

あなたはあれを疎んでいるようで、実は切望しているのだ。
欲しくて、でも手に入らなくて、諦めて忘れようとしたはずなのに忘れられない。
願望、それを上回る理想の存在。

「所長、食べかすとかゴミとか、こっちに飛ばさないでください。」

一口かじられただけの、色々な種類のドーナツがデスク(とは言い難い大きな作業台の様なもの)に転がっている。デスクに寝転がってゲームに興じながらドーナツをむさぼる彼は、さながら子供のよう。

「何ぃ、別にいいじゃん。掃除すんの偲田さんじゃないんだからさあ」
「……それもそうですね。そのままどうぞ。おい、後でオフィスキーピングの人呼んどいて」

今日はいつも以上に駄々っ子だな。こんな時は素直に従ったほうが利口だ。彼の機嫌が斜めなのは、恐らくあのクライアントのせい。

今日依頼にきたクライアントは、痴漢の疑惑をかけられた青年とその父親だった。
真面目で気の弱そうな青年はひどく落ち込んだ様子で、始終うつむいてほとんど喋らない。父親は必死に、彼がいかに真面目で、そんなことをするような人間ではないということを熱弁していた。

そんな感情論、裁判じゃ何の役にも立たないんだよ親父。そんなことを思いながらも彼の話を聞いていた。

いきなり横でカタカタと音が聞こえ出し、その音は段々大きくなっていく。それが所長の貧乏揺すりだと気が付くのに、そう時間はかからなかった。
ダンッ、と一際大きな音。
イラつきが最高潮に達した所長が床を強く蹴った音だった。

「アンタもさあ、黙ってないで何か言いなよ」

床にしゃがみこみ、うつむく青年の顔を下から覗き込む。
こうなってはもう駄目だ。話し合いにならない。驚き慌てる青年と父親を、ほぼ無理矢理な形で帰らせた。

「何ぃ、アレ。ああいうのって見ててイライラするよね」

さっきまで青年が座っていた椅子を蹴り倒す。アルミフレームのその椅子は、派手な金属音を立てて床に転がった。

「……報酬をしっかり払えるだけの経済力はあるクライアントです。彼らの前であまり感情的にならないでくださいね」
「…分かってるよ。」

そう捨て台詞を吐いて、彼は事務所を去った。

めっぽう意固地で、めっぽう寂しがり屋。その上温かな感情に臆病な、まるで反抗期の子供。

俺は彼が感情を爆発させるたびに、彼を諭すことに悦びを感じる。父性、とでもいうのだろうか。
いや、それとは違うな。
本当は分かっているくせに、と脳内のもう一人の自分に嘲笑された。

意固地で寂しがり屋で、温かな感情に臆病なのは俺も同じだな。

戻ってきた彼は、大きな紙袋を抱えていた。あれは何かとドライバーに聞くと、ドーナツです、と答えた。
全品百円セールの派手な貼り紙が目に止まったらしく、本当に全品一つずつ買って来させられた。恥ずかしかった、とドライバーはぼやいていた。
彼は広いデスクに飛び乗り、しゃがみこんでガサガサと袋のドーナツを品定めしていた。
そして今に至る。

「…所長、」

返事が無い。
パソコンのモニターを閉じて見てみると、彼はゲーム機とドーナツをそれぞれ片手に持ったまま突っ伏していた。

「…スーツが皺になりますよ」
「……うーん」

力無い、間延びした返事。

「…ねえ偲田さぁん、俺あのクライアント嫌いだよ。痴漢野郎も、あの親父も」

正しくは“仲の良い親子が”、でしょう?思ったが口には出さないでおいた。

しばしの沈黙。
俺のパソコンのタイプ音だけが静かな部屋に響いた。

すると彼はいきなり立ち上がり、丸めた紙ナプキンをむんずと掴んでまるで遠投でもするかのようにそれを投げた。
軽い紙ナプキンのボールは大して遠くに飛ばず、俺の背後に音もなく落ちた。

「…やるよ。やるからには勝つ」
「ええ。」

いつも通りの彼だ。
ご機嫌斜めで我儘を言われるのも、それはそれで割と心地好いのだが。少し残念だ。

これ以上彼のことについて考えるとまた要らないことに気付いてしまいそうなので、仕事に集中するために窓横の自分のデスクに移動した。

欲しくて、でも手に入らなくて、諦めて忘れようとしたはずなのに忘れられない。
人を騙すのはあんなにも簡単なのに、自分を騙すのは難しい。実に難しいのだ。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

普通の上司と部下じゃないけど恋人未満な関係を書きたかった。
ムラムラしてやった。後悔はしている。


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