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ラーラーラララー

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  幸福な木の友達で盲目紳士×大工
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  新作ネタで、盲目紳士あぼん後のお話
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 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ジャンルガジャンルナダケニ……
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 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
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※ねちっこい感じにグロ注意です。あと電波※

 やさしく俺の顔を触ってくるその手の温度が、好きだった。

「……っ、ハァ、ハァ…………」

 頬と体でしか感じられないけれど、その手の感触が好きだった。

ガチャン。ずるり。がちゃ、ぐちゅ。

 一度でいい、この人と手をつないで歩けたら――

 がちゃ、がちゃ、がちゃん

 ――どんなにしあわせだろうと、思ってたんだよ。

 八ンディはがくりとその場に膝をついた。
 既に筋組織まで露出した右足は痛みを通り越して何だか感覚がない。
むしろ、冷たい。壊死しかかっているのかも知れない。
「それも、悪くな―――」
最後の一音を紡いでしまう前に、八ンディは口を閉ざす。
 もし、自分の足が腐り落ちてしまったら、この忌々しい鎖も離れてくれるだろう。

 やっと、何の重しも無しに歩けるようになる――右足と、あのひとを引き換えに。
 その代償は、重すぎる。

 八ンディは、疲れと痛みとで混濁した意識の中でそっと眼を向けた。
 眼の前には、先ほど取り落とした重し。その鎖は右足の足枷を通り、後方
へと伸びている。

 そこには、モ一ルの亡骸がつながれている。

 亡骸、などと。そんな綺麗なものでは最早無かった。木材用の丸鋸でざっくり
割られた頭。鳥に突かれ虫に食われた脳みそが崩れたプリンのようにぐずぐずと、
モ一ルの頭蓋骨の中に取り残されていた。
 足枷を嵌められたその左足は、八ンディと思えばずっと綺麗だった。
あの時までは、二人で歩いていた。

 交代で、重石を抱えて歩いた。
 腕だけで重石を持つ八ンディはどうしても疲れやすく、杖で探り探り歩く
モ一ルよりも歩調が遅れる事があった。
 荒い呼吸と、乱れてしまう足音で悟られてしまうのか。気づくと、モ一ルは
いつも待っていてくれた。

 逃げなければならない、のに。それでもモ一ルは、待っていた。八ンディへと
向けられる閉ざされた眼差しは、確かに暖かな感触を伴って注がれていた。

 その眼差しを認めたとき、八ンディは今自分が置かれている極限状態を
忘れた。車泥棒。バカな警察。リンチに遭った苦痛。尖った岩だらけの崖を
転がり落ちた激痛。自分とモ一ルとを繋ぐ鎖への苛立ち。
 その全てを忘れ去って、笑う事が出来る。目の前にいる彼は見えなくとも、
雰囲気だけで八ンディの表情を悟る。八ンディが顔に出さずともどこか気分が
よくない時、または相手を盲人と思ってつい曇った表情をしてしまっても、
すぐに不安げに自分の頬を撫でて来る。その手つきもどこか覚束なく――
恋人の顔を探して彷徨う掌を、八ンディは笑って自分の頬へと引き寄せるのだ。

 そのモ一ルは、死んだ。丸鋸で頭を割り裂かれて痙攣する掌。自分の頬を
撫でてくれた掌。血に染まる川。あの時自分の頬に飛び散ったのは、骨の
かけらの混ざった肉片だ。

 それだけの犠牲を強いておきながら、鎖は切れてくれなかった。逃げるためには、
重石を抱えて進むしかなかった。八ンディの肘から先がない腕ではモ一ルを
抱えるだけの力は無く、枷の嵌められた足は鉄の重石を引くと痛みに軋んだ。
 モ一ルを引き摺り歩くのもまた、酷い苦痛に苛まれる行為だった。重石か
モ一ルかの二択しかない自分の半分の長さしかない腕を恨んだ。それ以前に、
手さえあれば、こんな鎖などさっさと切り離して、二人で逃げる事が出来ただろう。
……そう、二人で。手をつないで――――。

 八ンディは妄想を打ち切った。そのまま体の中の大事な何かが切れて
しまったように、その場に倒れ込んでしまう。
「……モ一ル」
生温い地面に頬を押し当て、呟く。

 今頃は、旅先のホテルにいたはずだ。
 はしゃぎながら旅行の計画を立てた。車に荷物も詰め込んだ。旅立つ前から
何だかみすぼらしくなってしまったガイドブックは座席の下だ。二人で旅行
なんて初めての事で、八ンディなりに葛藤やら何やらがあったけれど、そんな
ものはもう忘れてしまった。ただただ楽しみだった。八ンディキャップだらけの
自分たちでも、旅行ぐらいは楽しめる。いや楽しんで見せる。楽しめるだろう。二人でなら。

 あの忌々しい車泥棒に何もかも、全部持っていかれてしまった。

「モ一ル」

 ア゛ァ――と、鴉が鳴いた。
 八ンディはもう一度妄想と回想をと打ち切った。だるい身体を何とか転がして、
鳴き声のした方を振り返った。

「…………、あ――――」

モ一ル。いやモ一ルだった何か。モ一ルの地肌の色より赤黒く凝り固まった
血液の方が目立つ、肉塊。

 鴉が舞っていた。
 鴉が、降りてくる。
 つつかれる。脳みそを無粋な嘴にかき回されて、肉塊は思い出したように
左足を蹴り上げた。

 じゃらん

鎖が、くすんだ陽光を照らして鈍く光った。
 その金属音に何羽かの鴉が怯む。しかし、すぐに魔除けの音は掻き消えて、
鴉が再び集って来る。
 モ一ルに。モ一ルだったものに。
 八ンディは、うつろに眺めていた。
 
 つつき潰されていく脳みそ、全身の傷口を黒い刃が蹂躙する。固まった血が
どろりと流れて地面に伝う前に止まってしまう。サングラスが鴉の嘴に
押し退けられて、露出した眼球が曝け出される。死ぬ前から何も映さなかった
モ一ルの眼は、鴉についばまれて視神経をずるりと引き出した。

「あ、ああああああ。あ――」

やめろ。

やめてくれ。

お願いだから。

「っ、めろ。やめろおおぉぉぉぁぁあああああ!!!!!」
言葉は意味を成さない絶叫に変わる。

 鴉を追い払わなければならなかった。
 先程から気がつかない振りをしていたけど、蝿がたかってきていた。
 モ一ルが、愛しいモ一ルの身体がぐちゃぐちゃと形を留めなくなって行く。

 けれど八ンディは動けない。
 壊死しかけの右足。疲れに固まった左足。肘から先のない両腕。ぼやけた思考。

 八ンディの絶叫にも、鴉は涼しい顔のままで再び「あ゛あ」と鳴いた。

「モ一ル! もーるゥ……何でだよ、何で。なんで――――」

叫びはついに嗚咽に変わる。地面に額を擦りつけ、何かに許しを請うような姿で
八ンディは泣いた。
 モ一ルの耳が、千切られて持っていかれてしまった。

 自分なぞ、涙も何もかも流れつくして干からびて死ねば良い。
 そうしたら、きっと向こうでモ一ルに会える。

 もういいから、もう悪あがきはしないから。
 俺が悪かった。生きようなんて思ったのが間違いだった。あの人を引き摺って
生き延びてしまった分だけ、ほら、余計に苦しむ羽目になった。

 ――なあ、早く終わらせてくれ。

 八ンディとモ一ルだったものと鴉しかいない広い広い大地には、もう血の匂いすらしない。 

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 尻切れな上に華麗に配分ミス
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
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書き出してから間が空いた上に、流れを確認できる長さじゃないので
変なとこあっても置いといて……orz


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