Top/20-26

芸人 解散ネタ

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                     |  解散ゲ仁ソネタを思いついて書いたら、ひどい別人になったので、
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俺の背中を、後輩が見ているのには、気づいていた。
しばらく迷った後、俺は振り返った。
「…なぁ、何で俺のこと、じっと見おんの?」
目の前にいる後輩は、びっくりした目で俺を見る。
そしてようやく、自分が俺を凝視していることに気づいたのか、目を伏せて、
何かごにょごにょと言い出した。言い訳しているらしい。
その様子に、ドロドロした、マグマのような激情が、俺を内から蝕んだ。
「…欲情でもしてんの?」
声を出すと、自分でも驚くぐらい低い声が出た。
「いや…そんなわけじゃ…」
「別にかまんで。この業界多いし」
「そんなんじゃないですって…」
「ええよ。もしお前がその気なら、別に手伝ったったってかまへんし」
俺の言葉に、カァッと後輩の顔が赤くなって、その気だと分かった。
俺が座ったまま一歩にじりよると、後輩は本能的に二歩下がった。
「逃げてもええで? もしアレやったら、そこらへんの廊下にいる芸人やスタッフに、
 俺がホモで、襲われそうになったって言いふらしてもええし」
囁くように言う俺の胸では、消せない炎がチリチリと俺自身を燃やしていた。
これが、何に対する怒りの炎なのか、俺はよく知っている。

後輩は、動揺したように何か言おうとしていたが、もう一歩俺がにじりよって手を伸ばすと、
しばらく迷った後、俺の手を握った。
「そんなこと…しませんて…。それに……俺、本当にあなたのこと憧れてて…」
今日出会ったばかりの新人。まだ目がキラキラしている。
会った瞬間、『昔テレビで見て、俺に憧れてた』『俺が好き』と、恥も臆面もなく言い切った
あたりから、俺もおさえきれなくなっていたのかもしれない。
―――この男の目にある、俺への真剣な思いを、全て汚い光に変えてやりたい。
「こんなん遊びや。次の収録までの暇つぶしやで。気楽にしてええで」
俺の低い声に傷ついた目をした男は、それでも俺の手を引っ張った。
俺は、自分よりも一回りも二回りも大きい後輩の胸に抱きしめられながら、目をつぶった。
何もかもボロボロにしてほしい。
後輩が、憧れたらしい、昔の俺の像を。
こんなローカルのテレビ局ではなく、全国区のゴールデン番組に出て、一世を風靡していた俺の像を。
あの頃の俺達を知っている、全ての人の記憶にある、その像を。
ボロボロにして地に落としてほしかった。
そして、その隣にいた相方の像も、一緒に消し去りたかった。
そんなどうしようもない思いを、今日はこの後輩で解消するだけ。それだけ。
首筋に噛み付かれて、俺は「跡はつけんで」と囁いた。
控え室。次の収録まで、1時間の空き時間。シャワールームはある。部屋に鍵はかかってる。
後輩の中の俺をボロボロにするには、十分な時間。
精一杯、俺を軽蔑してもらえるように、俺はみだらな声をあげて、後輩の背に腕をまわした。

お前の人生の絶頂期はいつ? という質問を、最近よく考える。
俺はこれからや、って答えたいけれど、他人は3年前と言うだろう。
3年前。誰もが俺達を知っていた。
アイドル並にキャーキャー言われて、毎日眠れないぐらい仕事が入っていた。
その中でも、俺達は、人気に甘んじていなかったという自信がある。
芸人として、ネタは忘れたことなかった。新しいネタをガンガン作って、ライブやテレビで
披露した。トップではなかったけれども、それでもあの時、俺達の前を走っていた先輩の背中は、
確かに見えていた自信があった。それだけの実力もあったと思う。
しかしそれは、ある日俺の目の前から全て消えてしまった。
芸人ブームが終わったからだ。
ネタ番組は片っ端から消えて、俺達のネタを発表する場面は無くなった。
結果、俺達は、温泉番組のリポーターとか、そんなくだらないことばかりする羽目になった。
相方が、それに対して不満を覚えているのも分かっていた。
相方は、中学から一緒にやってきた人間だった。
わがままで、気まぐれで、何にも執着しない人間で…。
しかし、お笑いの才能だけはピカ一で、天才だった。
俺は、アイツの才能に心底惚れていた。
それで俺は、テレビ局の人間に求められたら、体を売ることも厭わなくなった。
少しでも、アイツのネタを発表する機会があるならば、自分の体を切り売りするぐらい、
何でもなかった。
相方の才能を、少しでも世に出したかった。

しかし結果は、それが原因で、事務所のお偉いさんと相方がケンカしたため、それが契機に
なり、コンビは解散。相方は、あっさりとお笑いを辞めてしまった。
しかも、「もう業界には二度と戻ってこない」という言葉付。
俺が、必死で止めようが何しようが、振り向きもしなかった。
そして、惰性のままこの業界にしがみついている俺は、それから今まで、グルグルと
同じところを回っている。
あの時、相方に、俺が体で仕事とってるなんてばらした人間がいなければ。
あの時、熱なんて出して、寝込んでいなければ。
あの時、あのお偉いさんとの会議に、一緒にいっていれば。
あの時、事情を聞いた後で、相方を殴ったりしなければ。
それなら、あいつにあんなに見下した目で見られなかったかもしれない。
俺は、俺のことを壊したいなんて思わずに済んだかもしれない。

―――最低や。

ああ、最低や。悪かったな。

輩の腰の動きが早くなってきたことに気づき、俺は、考えていたことを打ち切った。
「ちょ…中はやめてや…」
息遣い荒い後輩の顔を見ないようにして、そう言うと、耳たぶを噛まれた。
先輩の言うことには返事しろや、とちょっと思ったが、こんなマヌケな格好で突っ込まれて、
先輩も後輩も無いだろうな、と思い直す。
「本当に憧れてて…。こんなんでも、ほんま嬉しいです…」
ガクガクとゆさぶられている中、後輩がうわごとのように囁く。
「そんなんちゃうよ…」
俺は、冷めた声にならないように気をつけながら、目をつぶる。
あぁ絶頂が来る。
そう思った瞬間に、中に熱いものが放たれた。
あぁ、中で出すなって言うたのに。そう思いながら、俺は目をつぶった。
萎えたものを引き抜くと、後輩は手近にあったティッシュで、自分のものを拭った。
俺は、消耗した体力をかき集めて、何とか動けるようになるまでの間、ただぼんやりと、
その仕草を目で追っていた。
引き抜いた後の俺に、目もくれない後輩が、今まで寝てきた何人もの顔にダブる。

「……あの…」
俺が見ているのに気づいたのか、それとも出してスッキリして余裕ができたのか。
後輩が、顔をあげて、俺の体に触れようとした。
それを俺は、かき集めた体力で、フラフラになりながらも立ち上がることで、拒絶した。
「お前、中に出すなって言うたのに…」
ティッシュでおざなりに拭って、下着をつけずに服を着る。
この後は、何食わぬ顔でトイレに行き、その後シャワールームにかけこんで…。
と考えながら、時間を確認する。まだ時間はあるから、体も洗えるな。
「その、先輩、すみません、俺、そんな軽い気持ちじゃなくて、本当にあなたのこと」
後輩が何かを勘違いしたらしく、何かせっぱつまった声を出しているようなので、
俺は振り返った。
「そんな迷惑な思いは、俺にぶつけられても困るから、一人でオナニーでも
 して、満足しといてくれる?」
自分の出した冷めた声に、俺は満足した。
後輩の熱を帯びた目が、急速に冷えていくのが見えて、俺は満足して、部屋を出た。
俺の胸の奥で俺を蝕んでいた激情も、シュルシュルと収まっていくような気がした。
廊下に出ると、静かで冷たい空気が広がっていた。

―――最低や。
ふいに、何度も頭の中で繰り返される相方の声が、頭に響いた。
ほうや、最低や。だから、壊そうと頑張ってるやん。
俺は、胸のうちでそう呟いて、歩き出した。
―――最低や。
中に出された液が、太ももを伝うのを感じて、また俺の頭の中に、その言葉が響いた。
最低や。分かってるって言うてるやん。
それとも、もっと最低にならんと、許してくれへんの。あと何すればええんや。
どうしたら、お前は…
頭の中で、どうしようもないことをグルグル考えていたら、ふと自分がどこにいるか
分からなくなってしまった。
俺は立ち止まって、長い廊下の先に広がる暗闇を、ぼんやりと眺めていた。
しびれたような腰の痛みだけが、現実を伴っていた。

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 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ お目汚しスマソ。
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) でも後悔はしていない。
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
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