Top/20-222

みずいろかくめい

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )

レコード会社の人×バンドのボーカル&ギター

受の人はナマモノ九州人のつもりでしたが、書いたら別人になったので
あまり気にしないでください。

「何してんですか」
彼のギターに触れた俺に、彼は振り返らずにそう言った。
「ちょっと、可哀想だなって」
「なんが」
「ギターが」
「なんで」
「なんで、って…」
しばらく張り替えられていない弦。
次のライブあたり、きっと切れるだろう。彼のギターの扱いは激しいから。
「壊れちゃうよ」
「新しいの買えばよかです」
そっけない。ギターにも人にも。
「…何してんですか」
彼の背に触れた俺に、今度は振り返って言った。一瞬だけ。
「怒られるよ。妖怪弦切りに」
「…触らんでください。俺に」
彼はパソコンで歌詞を書いていた。
なんだか、前に見たような歌詞も混じってる。使い回し?

「最近触ってないなぁって」
「別に触らんでよかでしょ」
「触りたい」
「やめて下さいよ」
「触るよ」
「このクサレが」
最後の暴言は聞き流す。
体。決して女性的ではない。
顔。美形とは言えない。
眼鏡。度が強い。
声。深く魅力的。
彼の佇まい、性格、醸し出す全てが、エロイ。と俺は思う。

初めて会ったとき、この人はまだ22くらいだったか。
デビューしたての頃はテンパったりもして、可愛いものだった。
なのに数年経っただけで、この落ち着き・この態度。
もうまるで大御所ベテラン。高圧的な性格のせいか、老け顔のせいか。

「…気色、悪か」
ぼそりと呟く。彼は本当に甘くない。
もみあげ、襟足、耳の下、うなじ。ホクロにそんな順番で口付ける。
くすぐったそうに首を振るけど、眼鏡にディスプレイは写ったまま。
ああ、もう。
「…っ…」
後ろから軽く抱きついて胸元に手を伸ばすと、やっと眉を寄せるアクションを見せた。
「この辺?」
「……何」
「気持ちイイの、この辺?」
悪戯を続けていると、ため息と共に彼の手が俺に伸びてきた。
ギターを器用に操る、彼の手。当然指先は硬くなっているけれど、綺麗な…
「っいだだっ!?」
「ちぎって痛いトコロは脂肪です」
ぎゅうと脇腹をつねりあげられた。そんな力でされたら、多分どこだって痛い。
少なからずムッとして、彼をじろりと見た。

「…やぐらしか」
すると、そう呟きはしたけれど、パソコンを閉じてこっちを向いてくれた。
「なんね。なんがそう可笑しか?」
知らないうちにニヤニヤしていたらしく、小首を傾げて彼は早口で言った。
言葉の端々まで彼らしい響き。それも堪らなく楽しい。
「いや、今日こそはと思ってね」
「は?」
「泣かせてみたい」
眼鏡の奥の目がパチパチと瞬く。
また談志みたいに顎に手を添えて黙ると、すぐ小馬鹿にするように口を開いた。
「まず、無理でしょうね」
その態度にムカッとしてぐぁっときてモヤっとして、まぁ短く言うと欲情して。
彼の眼鏡を取り上げて、カーペットに放り投げてやった。

□STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )

良作に紛れてどうもすいません(´・ω・`)
九州弁、適当です。本当にどうもありがt(ry


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