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エア・ギア カズ×アギト

ある夜、東雲町に悲鳴が響く。
「ひっ…貴様は牙の王咢?!」
地面に倒れ込み、情けない悲鳴を上げる男が眼前に立っている左眼に眼帯を掛けた小柄な少年に問いかける。
「はっ!俺を知ってるってことはモグリじゃなさそうだな。」
高圧的な態度で男に突っかかる小柄な少年、彼の名前は鰐島咢。小烏丸というエアトリックのチームに属している
エア・トレックというのは。足に付けるインラインスケートを改造したようなもので「飛ぶ」事を主体に作られた一種のスポーツグッズである。
そのスピードは速く、走行速度よりも圧倒的に早い。
それゆえに、速さに憧れを持つ若者達がエア・トレックに魅せられ徒党を組み、縄張りを争っている。そのような者達を「暴風族」という。

彼、鰐島咢は「牙の王」と称されている。
牙の王というのは、言うなればエア・トレックの世界で頂点に近い存在…そう。王なのである。
牙の王である彼の性格は凶暴で、常に戦を欲し。その戦の中で味わうスリルを快感としている。
今日もまた、血を欲して夜中にうろつく不良達に喧嘩をふっかけて一方的な喧嘩をしているのだ。

「お…俺が何したって言うんだよ!何もわるいことしてねぇだろ?!」
「お前が何したって関係ねぇんだよ、お前を俺の”道”にしてやる、光栄に思え!」
そう言いおわるとほぼ同時に咢のエア・トレックのギア部分から快音が響き倒れている男に襲い掛かる。
「ヒッ…ヒャァァァ!!」
男の悲鳴は闇夜に消えていった。

「足りねぇ…!血が足りねぇ!」
男に傷を負わせ興味を無くした咢は夜道をぼやきながら走っていく。
イツキの結成した小烏丸に所属してからは好き勝手に行動できない、そのフラストレーションが咢を苛立たせているようだ。

ブツブツ独り言を言っていた咢の耳に、エア・トレックのモーター音が聞こえた。
「丁度良い、どこの誰かはしらねーが今日はもう一人”道”になってもらうしかねぇな。」
咢は少し楽しそうにその音の聞こえる方向へ向かっていった。

その音は公園から聞こえてきたようだった。公園に向かった咢は空き缶を障害物に見立てエア・トレックを練習するニット帽を被った青年を目にした。
「あいつは…カズか?」
カズと呼ばれた青年はエア・トレックを履き汗を流しながら障害物をすり抜ける練習をしている。
「ハッ…まだだっ…もっと速く!」
「おいっ、カズ!てめー何してんだ」
咢はカズに近付きながら言った。カズは咢の出現にびっくりしつつも
「咢?!そういうお前も何してんだよっ。」
「あ?俺はなぁ、ヘボい音がするから来てみたらてめぇみてぇなミソッカスがちんたら走ってるのを笑いにきたんだよ!」
「なっ…?!そりゃ俺はお前みたいに上手くないさ。でもチームの一員として足引っ張らないようにと思って頑張ってるんだよ!」
「はっ、せいぜいミソッカスが頑張ってやがれ!ファック!」

そう言うと咢は何か言いたげなカズを尻目に去っていった。
「ちっ…言いたい事言いやがって。こっちだって辛ぇーんだよ。」
と独り言を言うと再び練習を始めた。

咢は足早に家へと帰りつつ
「あいつは…俺には無い”道”がある…正直羨ましいぜチクショウ。」

この夜の出来事は序章に過ぎなかった。


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