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FCゲーム神戸連続殺人

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

なぜ俺は気付かなかった?

誰よりもそばにいた。それこそ四六時中だ。時々見せる翳りのある表情に、
なにか言いかけて飲み込むその言葉に、人に触られるのを異常に嫌がるその体に、
なぜ気付かなかった。
こんな事件を起こさせてしまったのは俺のせいでもあるんじゃないか。
解決したことを喜べるわけがない。俺が事の真相に気付いていれば、
事件そのものもこの世に存在しなかったものなのかもしれない。
気付くのが遅すぎた。止められなかった。

取調室。目の前には殺人犯。日常茶飯事だ。
けれど、今俺の前で上半身裸の殺人犯をまっすぐ見るには俺には出来なかった。
「服を着ろよ」
そっけなく言って、俺は煙草に火をつけた。
手が震えているのに気付かれなければいいと思う。
「わかってます」
なぜ、お前の方が落ち着いているのだ。
まるで、俺に捕まるのがわかっていたとでも言うように。
「……ねえ?」
「なんだ」
「あなたのせいじゃないですよ」
俺は煙草を取り落としそうになった。
「僕が、勝手にやったことです。あなたが自分を責めることはない」
「……なぁに、生意気いってやがんだ、手前は」
見透かされている。一回り以上も年の離れた部下に。
こいつが俺の部下になってから、こんなことは初めてだ。俺は内心驚いた。
「生意気?言わせてもらいますよ。もう、あなたの部下じゃないんですからね」
目の前の男から無邪気な雰囲気が消えていた。俺をあざ笑うかのような表情だ。

「本当に大変でしたよ。あなたの始末書書かされるわ、朝まで飲みに
連れまわされるわ、仕事中にストリップ見に行くわ、
喫茶店壊そうとして出入り禁止にされるわ
……あなたから離れられてせいせいしますよ」
こいつ。
「だから、あなたが僕を心配しようとか、正直気持ち悪いんですよね。
やめてもらえます?さっさと捕まえてくださいよ」
嘘がへたくそすぎだ。見透かすのは本来俺の特技だって知っているくせに。
「……ああ。捕まえる」
俺は男の体を抱き寄せた。男は体を固くした。
「まだ、お前は俺の部下だ。まだ逮捕してない」
「だから! さっさとしてください!」
「俺は、お前を救えなかったよ。何が警察だ。何が上司だ。
馬鹿だな、そんなことも見抜けないでいい気になってたよ」
「だから、あなたのせいじゃ……」
「独り言だ」
男は黙った。
「これは犯人にじゃなくて、俺の部下にでもなくて、
一人の男に言わせてもらうけどな」
男は息を呑んだ。
「俺は、ずっと、お前に惚れてたんだよ」
男は小さく答えた。
「気持ち悪いんですよ……」
「独り言だっつってんだろ」

男はため息をついて、先ほどより一段と小さく言った。
「……僕はあなたにそんなことを言ってもらう価値のない奴です」
「価値のあるなしは俺が決める」
「……これ以上あなたの重荷になりたくないんですよ」
重荷なんかじゃない、と言い返してやるのは簡単だった。
事実重荷なんかじゃない。明日から俺がマスコミに叩かれようが、
降格されようが構わない。
けれどそれでは彼の思いを踏みにじることになる。
それに止められなかったとはいえ、彼が人を殺したことは事実だ。
だから俺は、言わない。惚れて「る」んだよ、とは言わない。
涙目の彼が俺を見上げた。
どうせ誰にもばれないのだからと、彼の唇や体を奪うことは出来る。
彼が拒まないのも分かる。けれど俺達はまだ警察官だ。
「……僕はあなたのことなんてこれっぽっちも好きじゃないんですからね」
まるで告白のようなその言葉に、俺はわかってる、と言うようにうなずいてみせた。
彼がもう一度言った。
「全然、……好きじゃないです。ずっと、前から、嫌いです。大嫌いです」

声がだんだん震えていく。俺は宥めるように、彼の髪の毛を透き上げた。
髪の毛に、触るだけにとどめた。
それでも初めて彼が体に触らせてくれたと思う自分を、
俺は心底卑しい奴だと思った。

なぜ俺は気付かなかった?

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )未だに萌もえてるヨ!


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