上司×秘書
更新日: 2011-04-29 (金) 21:39:07
上司→秘書(一応モデルあり)
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
──これは勘違いだ、そんな事はありえない。
移動中の新幹線、彼は自分にそう言い聞かせながらスナック菓子をかじっていた。
車中での打ち合わせが一段落して話す事もなくなった今、彼の隣に座る秘書が興味深そうに彼を見つめているのだ。
彼の秘書として働くこの男は、実に献身的だ。
普段の周囲に対する気配りからすると、もともとこういう性格なのだろう。
もちろんそこを見込んで秘書という仕事を頼んだのだが、あまりに一生懸命なのでつい勘違いしてしまいそうになる。
浮かんでは振り払い、振り払ってはまた浮かぶそれを“勘違い”だと言い聞かせていた。
──もしかするとこいつは、俺の事が好きなんじゃないか?
努力家で献身的な性格の上に、秘書という立場だから自分に尽くしてくれているのだと言い聞かせる。
それでも、時々思ってしまうのだ。
その上に今、こうして興味深そうな視線に晒されていると勘違いもさらに深まるというものだ。
──こいつは一体、何を考えている?
彼が“勘違い”と戦っていると、沈黙を破ったのは秘書の方だった。
「お菓子、好きなんですね」
「え? ああ……」
手元のスナック菓子と秘書を交互に眺めた。
「たぶんそういうイメージないと思うんで、僕のブログで書いてもいいですか?」
そういえば本社命令でブログを書いていたな、と彼は思い出した。
──何だ、ブログのネタ探しか。
ほっとしたような、ガッカリしたような気持ちで承諾した。
新幹線が目的地に到着し、下車したところで秘書を食事に誘う。
ごく普通に快く答える秘書を見ながら、彼は心の中で叫ぶ。
──そんなにあっさりOKするなよ、俺はお前が自分の事を好きなんじゃないかと勘違いした男なんだぞ!
そう思いながらも、秘書の無警戒な笑顔を見ると健全な上司と部下の関係を続けていこうと決心するのだった。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
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