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WESTSIDE 宇治原×西野

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ ) 懐かしのユニット西側 目窪×ナルで投下してみます。

ぷっつりと膨らんだ皮膚が痛々しい。
恐る恐る触ると、張り詰めた皮膚から痛覚を通じて痛みが脳天に届く。
「っ…いたぁ…」
何度も何度も鏡を眺めがなら、西野は額に出来たニキビを苦々しく見つめていた。
最近の過密スケジュールから、肌は荒れ放題。ニキビもたくさん出来ていた。
けれども…この額のニキビだけは、今まで以上に大物だった。
一度、膨れてきたところをちょっと爪で引っ掻いてみたが、
引っ掻いただけでは何とも無く…無駄に痛みだけが残った…。

潰そうか、いや痕が残るからやめようか。いっその事芯をとってしまおうか。
爪を立ててはみるものの、そこまで思い切れずにぷつりと膨らんだ場所に軽く痕をつけるだけだった。
「いい加減、潰そうか潰すまいか…」
こうやって、苦悩をしだして15分。
ノックの音と共に、ドアが開き声が聞こえる。

「失礼しますー」
声の主は、ゆるりと楽屋の中へ入ってきた。
聞き覚えのある声に、慌てて振り向くとそこに立っていたのは宇治原だった。
驚きながらも、また鏡を振り返る。そして、先ほどの行為に没頭しだした。
宇治原は出番が終わったのか、やれやれといった様子で椅子に腰をかけ煙草に火をつけていた。
いつも側にいるはずの相方の姿はどこにも無く…。

「ちょっと、煙草吸わんといてくれます?煙たいんですけど」

鏡の向こうで見え隠れした煙草とライターに目ざとく気がついた西野は、
まだ、煙が立つか立たないかの吸いはじめだというのに、先に宇治原に釘を刺した。
西野の煙草嫌いを知っているにもかかわらず、宇治原は2・3度謝りながらも煙草を吸い続けた。
「宇治原さん、ちょっと人の話聞いてますか?」
いい加減話を聞いてくれない先輩に呆れつつ、また西野は言葉を続ける。
いつも、2人でいる時は煙草を吸うなとあれほど言っていたのに。
「西野、お前何かりかりしとんや~?」
鏡に映る宇治原の顔に、妙な苛立ちを覚える。

「俺が、あれだけ言ってるのに煙草やめてくれへんからやって」
「もうちょっと待って。あと少し」
「アホッ。あれだけ、俺の前で煙草吸うなって言ってるやないですか」
「ええやんええやん。たまには吸わせてもらわないとストレス溜まるわ」
いつもよりも長めに煙草を残し、テーブルの灰皿に火種の残る煙草を押し付けた。
最後に残りの煙が立ち昇り…ようやく、煙草が消えていく。
西野の鼻に僅かな煙草の残り香が届く頃には、宇治原が気遣ってつけてくれた換気扇のお陰で
立ち上っていた煙は消えていた。

「それにしても、お前俺が入ってきてからずーっと、鏡見てるなぁ。何しとるん?そんなに自分が好きか?」
「…若人の象徴的悩みですよ。いいかげん、おっさんのあんたにはわかんないですけど」
鏡の向こうに映る西野の口元がにやりと歪んだのがよくわかった。
憎まれ口を叩きながらも、何だかんだ言っては宇治原を気にかけているらしい。
「誰がおっさんやねん」
「ほら、そのつっこみ方がおっさんですよ。中川さんに似てきたんとちゃいます?」
「アホか。本物と一緒にすんな」
「それよりも、出番終わったんでしょ?今日、打ち合わせとちゃうんですか?」
「毎日打ち合わせばっかりちゃうわ。そんなん疲れるしなぁ。今日は早く帰るわ」
カバンを手に持ち、楽屋を出て行くと思いきや、西野の座っている隣の椅子に腰をかけた。

「何やってるんですか。今日はもう帰るんとちゃうんですか?」
「いや~、可愛い後輩が鏡の前で悩んでるから、先輩としてほって置く訳にはいかんやろ?」
「いちいち、首突っ込んできますね~相変わらず」
茶々を入れてくる宇治原には目もくれず、大きなそればかりを気にしてはため息をつく。
そんな西野の横顔を複雑な顔で見つめる宇治原。
いつもの西野にしては深刻すぎる悩みなのだと察してしまう。

だからこそ、からかい甲斐もあるものだ。

「ニキビか?あ~もう俺できへんわなぁ」
顔を急に覗き込まれて、今まで真剣に鏡を見ていた西野は驚きを隠せない。
「って、邪魔せんといてくださいよ」
「悩むほど、深刻なニキビとやらを間近で拝見させてもらおうと思ってなぁ」
「からかうなら、俺の為にビフナイトでも買ってきて下さいよ。
あんたのだ~い好きなこの顔が、ニキビだらけになっちゃいますよーだ」
精一杯の強がりを言ってみるけれど。
言葉尻に僅かに残る緊張を隠しきれない。
こんなに間近に迫られる事は何度もあるけれど、いつまでたっても慣れないもので。

確か、好きだと言われて、間近でにっこり笑われたのが、今思えば初めてだったと思う。

「緊張すんなって。どれどれ、見せてもらいましょうかねぇ~」
「羨ましいんでしょ?あ~若いって罪~」
ようやく、にきびの処置を決めた西/野は、気が晴れたように立ち上がろうとしたが、
隣に座っている宇治原に肩を押さえつけられて、阻止されてしまう。
そして、先ほどよりもぐっと顔を近づけられて、まじまじと顔を見つめられる。

呼吸すらも直に肌で感じることができるこの距離に、西野の鼓動は早くなるばかり。
だけど宇治原に呼吸を感じられることが急に恥ずかしくなり、つい息を止めてしまう。

逆に、慌てふためいてころころと表情が変わる西野から宇治原は目が離せない。

「あ~この位置にニキビが出来たら、想いニキビなんやってなぁ」
宇治原が額のニキビをひと撫ですると、また苦痛に顔をゆがめる西野。
「はぁ?」
宇治原の言葉に訳もわからずに撫でてくる指を払いのけようとする。
だが、払いのけてはまた、ニキビを撫で…を繰り返され、いい加減に腹が立ってきた。
「って、どういうことやねんな」
「お前が誰かの事想ってる証拠やってさ」

明らかに自分を見下ろす位置にいる宇治原の顔に満面の笑みが浮かぶ。
宇治原がたまに見せる、この自信に満ち溢れた笑顔。
どこか腹立たしく思うけれども…西野はどうしても憎めなかった。

「うわ、宇治原さんめっちゃムカつくわ!なんやねん、そのいかにも余裕な笑みは!」
「そんなに照れるなって。お前が俺のこと好きなのは十分わかってるから」
肩を押さえつけていた手を頭へやり、
ぽむぽむとまるで犬でも誉めるかのごとく撫でられ、西野はさらに顔の色を赤くした。
「ニキビ治すのも大変やけど、できるだけ治さんとけよ~
そこにニキビがあるうちは、俺も結構安心してるんやから」
余裕の笑みを湛えたまま、宇治原は椅子の下においてあったカバンを肩にかけ、楽屋を後にした。

「それって、どういう意味や!そのままにしとけって事か!?」

残された西野は、鏡の前で呆然としたまま。
そして、顔はいつまでも紅潮したままだった。

やっぱり、頭のいい人間の考える事は良くわからない。
そう思いながらも、久々にみた彼の顔が目の前をちらついてはなれないのはまぎれもない事実だった。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
最近絡みが皆無になったけど、まだ萌えられる先輩後輩でした。

  • GJ!こういう飄々としたミステリアスな京大様もかっこいいな。やさしいお兄さん攻/受と見せかけて、その実隠れ魔性かも。本人は全然悪気がないのに、陰で泣いてる男の子は数知れず・・・・w -- 2009-10-19 (月) 10:30:14

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