医龍 麻田×麻酔医
更新日: 2011-04-29 (金) 21:12:05
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
ドラマ遺留の麻田×麻酔医。ナマモノ注意。
金で動く方が楽だ。深く考えなくていい。
人命の尊重とか、道徳倫理とか、そういうものは俺には必要ない。
そもそも今から考えても遅すぎる。
俺に貼られたレッテルはあまりに大きく、重かった。
中傷、批判、誹り。それらを代価にした大金。
酒をただ煽っては眠り、現実と夢の境界線をわざと曖昧にしておく。
金の為に働くのだと、そう自分に言い聞かせる。
そうでないと、奴がやってくる。
悲鳴が聞こえるのだ。
どこかから、何人もの悲鳴が。
か細いものもあれば、絶叫しているものもある。
そのどれも一様に言う。
「助けて」
それはふとした瞬間、現実と向き合った時にやってくる。
あいつを、見ていると。
ギラギラした太陽に当てられているようで、否応なしに現実を突きつけられているようで、
そうすると俺は直視できなくなる。
悲鳴が聞こえる。目の奥がチカチカする。目の前から、足から、喉元から、脳から。
「…おい、おいっ!」
ガシャン、と音がした。
フェンス越しに奴の叫びが聞こえる。
俺は何をしようとしているのだ。
悲鳴に。
飲まれる。浸食される。覆い尽くされる。
呼んでいるんだ。こちらへ来いと。
「やめろ!」
衝撃を感じた。また唐突に現実に引き戻される。
曇った空と息を荒くしている奴が目に飛び込んできた。
「お前、死ぬ気か!」
死ぬ気…?
どうやら自分は屋上から飛び降りようとしていたらしい。
それをこいつが引き留め、俺を押し倒したのだ。
「ラリってるのか?」
(お前のせいで悲鳴が聞こえるのに
どうしてお前に助けられなきゃならないんだ)
「おい、なんとか言ったらーーー」
「悲鳴が止まらないんだよ」
奴は訝しげに目を細めた。俺は続けようとした言葉を飲み込む。
奴が立ち上がったので俺も立ったが、バランスが取れず、奴の胸にもたれこんだ。
…当然のような沈黙。何をするにもおかしなこの状況。
力強い目線が俺に注がれているのが分かる。
なんともいえない。俺は何を言えばいいのだろうか。
「ふ、ひゃははははっ!」
強く突き放してドアの方へ向かう。もう嫌だ。こいつと関わっていたくない。
「何がそんなに面白いんだ?」
背後から声がする。俺は振り向けない。
振り向いたらあの目が俺を貫くんだろう。俺はそれに耐えきれる気がしなかった。
悲鳴をかき消す騒音でいい。あいつの沈黙はいらない。
曖昧に歪んだ世界でいい。あいつの現実はいらない。
それなのに、
「面白いに決まってるだろ! アンタが」
俺が
「俺を」
アンタを
「必要としてるなんてさァ!」
俺はただ笑うしかなかった。
悲鳴が肥大して脳にこだまする。
一番大きな声は、俺の声だ。
「助けて」と俺が誰かを呼ぶ声がする。
それはまだ止まらない。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
逆かもしれない…麻酔医に夢見すぎ。
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