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AKIRA 甲斐×金田

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  AキRAの加井×鐘田だよ
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  最後に残った二人にその後愛が芽生えるんだよ!
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ とか言ってるヤシはいねがあ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )  ちなみに原作版その後
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
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鐘田がかわいいなんて世も末だ。隣で月明かりに朧に照らされ、らしくなく頼りなげな鐘田を
そっと覗き見ながら俺は溜息をつく。そういえば俺達のネオ凍京はついこないだまさに
終末を迎えたばかりじゃなかったっけか。
「21世紀は始まったばかりだってのに、世紀末とはこれ如何に…」
親父の性癖を知って以来身についた、持ち前のニヒリズムのこぼさせたボヤキが聞こえたらしい。
それまでぼんやりと物思いにふけっていたらしい鐘田がふと俺の方を振り返った。
「イヤ、何でもねえ…あァ、いや、あるのかなァ…やっぱァ…」
何も言わずにじっと見つめてくる鐘田のキレイな瞳に、俺はしどろもどろになる。
参ったなァ。どうしちまったんだ俺は。ああホラ、鐘田も困ってるみてえじゃねえか。
それでも相変わらず何も言わねえで俺の方見てらァ…
いつもなら「おいおい、訳の分かんねェ事言ってんじゃねえよォ」ってしかめっ面でブーたれんのに。
鉄夫の件が片付いて、威勢良く新生大凍京帝国をブチ上げて以来、鐘田は俺しか側にいない時、
時折こんな、らしくない表情を見せる。まあアレだな、何だかんだで、あの頃からつるんでて残ったのは
俺達だけになっちまったし。いくらデキちまってるにしても、女の子のKちゃんの前では、
弱いとこ見せたくねえんだろうしなァ、やっぱ。
にしても、なんでまたそんな、おとなしくてハカナゲで、そんで愁いなんか秘めちまってるみたいな、
見ててたまんねえカオすんだ。だから俺も調子が狂っちまうんだよォ。
おまけに絵に描いたみたいにムード満点の月の夜に、こうして瓦礫の中ふたりっきりだ。
若い男と女なら、それだけで恋が始まるってもんだろう。男と、女ならな。オンナ。
ああ、それなのになんで俺は。よりにもよって鐘田に。

おとなしく黙ってりゃなかなか整ってる鐘田の顔が、月明かりに照らされて。
瓦礫の街を吹き抜ける風になぶられて、前髪がさらりと揺れた。口ごもったままの俺から
それ以上返事が返らないと判断したのか、またふいと視線を外し目を伏せる。頬に睫毛の陰が落ちる。きれいだ。
なんつうかもう、道を誤まりそうなほどに。と思った時には既に誤まっていた。
「鐘田ァ。キスしていいか」
あまりに唐突で理不尽だ。伝えたい事はこんな、いきなり即物的な事じゃなくて。もっとたくさんあったはずなんだ。
たとえば、お前の事を守ってやりたい、とか。この瓦礫しかない荒野をお前と一緒にどこまでも生きていくんだって、
俺はずっと前からそんな風に思うたびにお前の事を抱きしめたくてたまらねえ気持ちになってたんだとか、
これは恋なのかもしれないとか。
鐘田がまた俺の方を振り返った。どきりと跳ね上がった鼓動が痛いほど耳を突くのを感じながら、
俺は次に来る馬鹿笑いと罵声を待った。なのになんで鐘田は黙ってるんだろう。
突然ダチにこんなトチ狂った、趣味の悪いジョークとしか思えねえような事言われて、
なんで鐘田は黙ってるんだろう。
「…なァ、なンか言ってくれよォ、鐘田ァ」
それでも鐘田からは何の返事も無い。ただ黙ってじっと俺を見つめ返す瞳だけがある。
ただ、見つめ返してる。
…俺の言ってる事ちゃんと聞こえてンのかなァ。訳の分からないもどかしい不安が胸の中をモヤついた。
俺の声はちゃんと届いてるんだろうか。鐘田の耳に。
心に。

たまらず俺は手を伸ばした。鐘田のかたちのいい顎をそっと持ち上げる。
切ねェよォ。頼む、何とか言ってくれ、鐘田。何だか泣きそうな気持ちで俺は鐘田に口付けた。
唇を重ねながら目を閉じる一瞬前、鐘田も目を閉じるのが見えたような気がした。
鼓動が耳を打った。そっと触れるだけのキスで精一杯だ。情けねェ話だけど、
やっといて半ばうろたえながら離れた俺の唇から出た第一声は
「…だ、黙ってっとオッケーなんだと思っちまうだろうがァ」という言い訳がましいセリフだった。
ゆっくりと開いた鐘田の瞳は、なんだか困ったように、戸惑ったように揺れていた。
俺と目が合うと鐘田は月明かりにもそれと分かるほど赤くなってちょっとそっぽを向き、
それからふてくされたみたいな声でぼそっと呟いた。
「…イヤだって言ってねえだろォ」
自分の耳を疑う間もなく、飛びつくみたいな勢いで鐘田を抱き締めた俺を、一体誰が責めれるよ?
「鐘田、鐘田ァ、好きだ俺、お前が。大事だ。一生俺が、守って」
あとはもう言葉にならない。けどそれで十分だ。
「おいおい、落ち着けよォ…さっぱり分かんねェだろォが」って鐘田は笑ってるけど。
「これが落ち着いてられるかっつのォ!」
照れ隠しに大声で怒鳴って俺も笑った。俺達は月明かりの下大声でゲラゲラ笑った。
あきれるぐらい色気のねえ状況だけど、たまらなくロマンチックだ。

ひとしきり笑った後、俺はそっと顔を上げた。鐘田の瞳の端に、ほんの少し光るものが見えたけれど、
あんまり笑い過ぎたからなのか、それともそうじゃないのかは分からない。
「鐘田」と呼ぶと、抱き締められたまま、鐘田の頭がことんと俺の肩に落ちてきた。
「…お前はさァ、どこにも行くなよなァ」
いつものように軽口めかした口調だったけど、そんなもんなんかじゃない事が俺には分かった。
たとえ今みたいに鐘田の声が震えてなくても、きっと俺には分かっただろう。
「大丈夫だってェ…ホラ俺あれだぜ、運はやたらとイイみてェだしさァ、
インテリ肌だけどなかなか打たれ強くてタフよ、殺されたって死なねェよ。
お前と一生添い遂げちゃうンだからよォ」
何だそりゃァ、プロポーズじゃねェんだからよォって鐘田が笑ったら、
ナンチャッテと付け加えるつもりだったけど。
鐘田が笑わなかったから。俺の肩に顔をうずめたまま、ちいさな声で「うん」と一言呟いたから。
俺はほとんど半泣きで「ひとりになんかさせねェよ」と付け加えて、この青臭い熱情のすべてを、
鐘田を抱き締める腕に込めたのだった。

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 | | □ STOP.       | |    ナンチャッテ!!!
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 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) ・・・鐘田に乙女ドリー夢見すぎだろ
 | |                | |       ◇⊂    ) __
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  • いい…… -- 2014-07-12 (土) 23:04:31

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