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ホリプ口、シ工戸村先

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ゲイニソのシ工戸村先、先日の誕生日ネタ

静かに地上を離れ、観覧車は緩やかな弧を描く。ああ、さっき目の前を通ったあの建物がこんなに小さい。
空の色は少しずつ赤みを帯びて、何か柔らかく甘く空気の匂いを変えていくのだ。
春の夕暮れ、見下ろす景色はひどく幻想的で、無駄に心がわきたってしまう。

それはどちらかと言えば、かわいらしい女の子と二人、この小さな密室の中でちょいと大人びた恋の駆け引きに
興じてみたり、純情な思いを密かにかわしてみたりする、そんな時の心臓の鼓動ではなくて、子供の頃、初めて
この空へと近づこうとする遊具の中から小さくなった建物を見て胸をときめかせた、あの感覚に似ていた。

あのころから自分の傍にいた男は、今もこうして自分と恐らく同種の興奮を隠せない様子で、窓の外に目をやっている。
29歳なんて、もういい歳だと言うのに、この男と二人でいる空間はいつだって幼い子供の頃のままなのだ。

丸っこい背中を見つめて少し笑う。肉付きのよくなった幼なじみで相方の男は、
昔と同じまんまるな目を見開いて地上の電灯を数えていた。
ときおり口に出す感嘆の言葉が響く。それを聞き流していたら急に名前を呼ばれた。

「コーヅ、あれ槌谷たちじゃん?」
「お、どこどこ?」
「あそこだよ、ホラ」
「あー、すげー、ちっせーな!」
「なー!大っきいもんなコレ」

たわいもない話。一緒にここまで来た仲間たちは下で俺たちの乗る観覧車をきっと見上げている。
多分この小さな密室の中でお互いに照れて困ってる姿を想像してほくそ笑んだりしてるんだろうが、
恥ずかしいといえば恥ずかしいけれどそれよりも何だか楽しくなってきた。隣の背中をパシパシ叩いて話しかける。

「リョーヅ」
「ん?」
「何かすっげえ楽しいわ俺」
「おー、高いねテンション」
「高いよ!すげえ高い!」
「…よしコーヅ、ポーズとってポーズ」
「おっしゃ!」
「はい、誕生日おめでとうございまーす!」

思いっきり笑ってダブルピースしてやる、携帯のカメラのシャッター音。フラッシュが光る。
写真を撮りながら笑っているリョーヅにつられて、ますます笑顔になった。
きっとこの写真、今日のブログに載るんだろうな。

「あのさ、何つーかありがとう」
「なに、どうしちゃったの里予村君」
「何かホントすっげえいい誕生日」
「よかった、俺も何か嬉しい」
「リョーヅ、これからもよろしく!」
「…うん、よろしく!」

なぜか観覧車の中、相方と二人かたい握手をかわしてしまう誕生日。
俺の29歳は、幸先よくはじまった、かもしれない。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )リアルで誕生日に二人っきりで観覧車乗るコソビに禿げ萌え


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