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触手くんと一緒

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ ) グレさん、これにて打ち止め

その日はバイト先でトラブルがあったため、帰宅時間がかなり遅くなってしまった。
昼間はいいけど、さすがにこの辺りは夜になると寂しい。
男の僕でもちょっと怖いなと思うくらいだから、女の子はもっとだろう。
街灯は設置されている間隔が広く、丁度その中間はかなり暗くなってしまう。
ここ最近は物騒な事件が近隣で起きているせいもあり、歩く足も自然と速くなった。

疲れたから今日はもう風呂に入ったらさっさと寝よう。
グレさんが懐いてきても無視。
うるさかったら……風呂場に閉じ込めておこう。

そんな事を考えながら、暗く人気のない道を急いだ。
途中、街灯の電気が切れかけている所があった。
小さな空き地が駐車場代わりに使われていて、そこだけ酷く暗い。足元がよく見えなくて転びそうだ。
空き地の脇を通って明るい所へ出かかった時、不意に強く腕を引かれた。
「えっ、な…!」
声を上げようとすると口をふさがれて、後ろから羽交い絞めにされる。
驚いて反射的に振り払おうと体を捻ると、目の前にナイフが出された。

ごっ、強盗!!

僕の体は硬直し、持っていたカバンを抱きしめた。

僕はそのまま空き地へと引っ張り込まれ、車と塀の間の狭い空間に押し付けられた。
「静かにしろ、騒ぐと刺すぞ」
男の押し殺した声が聞こえた。
どうしよう、お金なんて持ってないよ。買い物をして、財布の中には2千円くらいしか残ってないのに。
男は僕の体をまさぐると、ちっと舌打ちをした。
「……くそ、男かよ」
???え、強盗じゃない、……痴漢!?
間違いとはいえ、そういう目的のターゲットになった事にぞっとした。
男は一瞬間をおいたあと、
「……まあいいか、穴はあるしな」
そう言って僕のズボンに手をかけてベルトを外し始めた。
「ちょっ…!止めてください!!」
冗談じゃない、なんで男にやられなくちゃいけないんだ。
僕が抵抗しようとすると男は再びナイフをちらつかせる。弱い光に反射して刃先が光るのが見えた。
「ちょっとケツ使わせてもらうだけだ。大人しくしてろ、すぐ済むからよ」
壁に押し付けられているのと恐怖で体が動かない。
男は僕のズボンを強引に引き下ろして、すぐ横の車のボンネットに僕をうつぶせに押し付けた。
「あ、…や、いやだ」
カチャカチャと音がして、僕の尻に生温かいものが擦り付けられる。
「…痛っ!」
男の右手が前に回り、股間を掴まれて動けなくなる。
そのまま僕の背中に男が圧し掛かってきた。

「お…お願いです、許してください」
僕は必死で許しを請うが、男は勃起したペニスを僕の尻に擦り付けながら荒い息を吐いている。
いや…、いやだ…こんなの。
「縮こまっているじゃねえか、ここ」
にやついた声でそう言って僕のペニスを扱き出すが、恐怖が先立って男の手の動きに反応しない。
悔しさと恥ずかしさで涙が出てきた。
男の性器の先端が侵入する場所を探り当てる。
ああ、もうだめだと思った瞬間に男の動きが止まり、うめき声が聞こえた。
「あがっ!!…がっ!」
男は体を起こすと自分の首に手をやって、何かを引き剥がそうとしている。
暗闇に慣れた目に映ったのは、グレさんそっくりのものだった。
「グ…グレさん? なんで」
そのグレさんらしきものは締め付けを解くと、男の口にぎゅうぎゅうと入り込んでいく。
男は悲鳴も上げられず、手足をバタつかせながらひっくり返った。
「グレさん!」
僕は慌ててズボンを引き上げると、倒れた男に近寄る。
男は窒息して痙攣しているみたいだった。えーっと、このままだと多分……。
「わー!だめ!グレさん、殺しちゃだめー!!」

「今回は災難でしたが、怪我がなくてよかったですよ」
警察で調書を取られた僕が開放されたのは午前2時。
「あの男は以前にも、傷害と強制わいせつで捕まっていましてね。本当に無事で良かった」
警察では僕が犯人を、格闘の末に捕まえたということになっていた。
犯人は化け物がいたと騒いだらしいけど、錯乱しているのだろうと警察は取り合っていない。
まあ、本当のことは言えない。言っても信じてもらえないだろうし、真の功労者を見せるわけにもいかないし。
「後日改めてお話を伺うかもしれません。御協力感謝します」
僕はその後パトカーで送ってもらい、ようやく家に帰ることが出来た。

僕は家に入ると風呂場に直行し、すぐにシャワーを浴びた。
男のモノを尻にこすり付けられた事を思い出すと、すごく気持ちが悪くなった。
次に洗面台にお湯を溜めて、カバンの中から逃げ出そうとしていた『小さいグレさん』を捕まえる。
熱すぎないかを確かめて、有無を言わさずそこへ突っ込んだ。
あんな汚い男の口に入ったんだ。思いっきり洗ってやる。
お湯の中で散々揉み洗いされたグレさんは、なんだか少しぐったりしていた。
最後に鼻を近づけて、変な臭いがしないか確かめる。
それから僕はリビングにいるはずの本体に足を向けた。

「……さて、グレさん。これは君だよね」

へんにゃりとしたグレさんの切れ端を持って問いかける。
グレさんは微動だにしない。
僕はその切れ端をグレさん本体の上に置いた。

5分が経過した。
グレさんは頑張っているようだけど、体が小刻みに震えだしている。
これは自分じゃありませんとアピールしているが、こんな生き物がそうそう生息しているもんか。
そのまま見ていると、とうとう我慢できなくなったらしく、切れ端は少しずつ融合していった。
僕はちょっと勝ち誇ったような気分になる。

「なんで、僕のカバンの中に入っていたの? 家で大人しくしていろっていつも言っているだろう。
もし僕以外の人間に見られたら大騒ぎになって、ここにはもういられないよ。
マスコミにつかまって、そのあと見世物になったり、研究室で体を切り刻まれるんだぞ!」
割と本気で怒っていた。
こんな訳のわからない生き物がいると知れたら、世間が放っておくはずがない。
グレさんはちょっと困った所もあるけど、基本的にはいい奴だ。そんな目にあわせたくなかった。
しょんぼりしたように、グレさんはくるんと丸まった。
「……そんなに外に出たかったの?」
僕はグレさんに手を置いて訊ねる。
「そうだよな。閉じこもりっぱなしなんて、やっぱり……嫌だよな」
ごめん。そうグレさんに謝った。

僕はそのままグレさんを撫で続ける。
グレさんは干からびた状態でここへ連れてこられた。
自由に動けるのは、この家の中と庭くらいだ。
どこへでも好きな場所へ出かけられる僕とは違う。
「……そういえば、まだお礼を言ってなかったよね。助けてくれて、ありがとう」
グレさんの体から触手がするすると伸びてきて、僕の手に遠慮がちに触れる。
僕はもう一方の手でその触手を撫でた。
紐のように細い触手が頬に伸びる。ビロードみたいな感触で気持ちがいい。
「もう怒ってないよ」
恐る恐るといった風にグレさんの触手が唇に触れた。
僕がそれを咥えて舐めると、口の中の触手はまだ遠慮をして引っ込もうとする。
そんな様子がかわいくて、両腕でグレさんの体を抱きしめた。
「お礼、…いる?」
グレさんの体に頭を預けながら、僕はそう訊いた。

僕は着ていたものを全部脱いで、グレさんの前に膝をつく。
「ここに座るの?」
グレさんは自分の体を椅子のような形にして僕の腕を引っ張った。
座ってみると自分の重さや抵抗がない。何かふんわりして不思議な感じだ。
背後から細い腕が何本も伸びてきて、体を優しく触っていく。
触手はいつものような体液で滑るものじゃなく、すべすべしていた。
「変なの。いつものグレさんじゃないみたいだ」
好きにしていいよと僕は言う。グレさんに目があったら、僕の顔が笑っている事に気付いただろう。
それでも緩やかなままの愛撫は続いていく。優しい腕の感触が少しづつ熱を上げていった。

体を開かれ、内部をゆっくり擦りあげられる。
僕は座ったままの姿勢で全ての力を抜いて、グレさんに身体を預けていた。
触手は全身に絡まり僕を包み込んでいる。細い息を吐きながら僕は話し始めた。
「…グレさん、僕はこういう事件があるたびに、なんで女の人は抵抗したり逃げたりしないんだろうって思ってたんだ」
グレさんの腕が胸を掠めて、呼吸が乱れた。
あの犯人がしようとした事と同じ行為なのに。どうしてこんなに安心しているんだろう。
「同じ目にあって、はじめて分かった。体が竦むってこういう事なんだなって……」
あれはただの暴力で、自分の欲求のために人を物扱いした行為だ。
でも何かを、誰かを好きになることは相手の事を考えながらも、
やっぱり自分の心を満足させるためのものなのかもしれない。
それでも、そうだとしても。
僕はグレさんを、たぶんグレさんも僕の事が。
「……怖かった」
大切なんだ。

グレさんの腕が伸びて目元に触れた。僕は目を開ける。
腕はそっと撫でていく。何度も何度も。
その優しい仕草に吐息を洩らして、僕はもう一度目を閉じた。

目が覚めると時計は午前5時を指していた。窓の外は明るくなりはじめている。少しウトウトとしてしまったらしい。
グレさんが僕の体を包んでいた。
僕が冷えないようにと、グレさんの体はふわふわとしたスポンジみたいに空気を含んでいる。
「……おはよ、グレさん」
腕が伸びてきて僕の顔を撫でる。僕は目を閉じてそれを受け、グレさんにキスをした。

ずっと、一緒

「僕がいいって言うまで出てきちゃ駄目だよ」
僕は握りこぶし大のグレさんの塊を持って外へ出た。
この時間、まだそんなに外に人はいない。この大きさなら気付かれないだろう。
僕はいつも利用している駅までの道のりを歩く。
角を曲がり、黒い板張りの塀の続く道を歩いていくと、あの桜の木が見えてきた。
桜は花の盛りをもう過ぎてしまっていて、赤いしべが多く目立つ。
残りの花も僅かな風に、ほろほろと散っていた。
周りに人がいないかを確かめて、僕はポケットからグレさんを取り出す。
「ここ、初めて会ったところだよ。グレさんがいた木の花、触ってみる?」
いちばん低く張り出している枝の下に立ち、この真上だよと教える。
グレさんは、しゅる、と触手を何本か伸ばして、桜の花に触れていく。
そのまま枝に移動して幹に纏わりついたり、花を包んでその形を確かめていった。
その様子を眺めていると、新聞配達がバイクに乗って通り過ぎる。
あぶなかった。もっと気をつけなくちゃな。
枝を見上げて小声で呼ぶ。グレさんは枝から僕の手の上にぽとりと落ちてきた。
桜の花びらが一枚ついている。
小さな腕が伸びてきて、それを掴むと僕に差し出した。
「……ありがと」

もう桜の季節も終わりだ。また来年も、その次の年も、ずっと一緒に見られるように。
散る花の名残の雫を、頬に、額に受けながらそう願い、手の中へ語りかける。

「今度の休み、どこへ行こうか?」

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ ) 主人公は、もう人との恋愛は無理かモナー

  • グレさん大好きwwwwww -- インコ? 2009-07-06 (月) 16:03:24
  • 異種間恋愛いいね。触手は正義 -- 2010-04-21 (水) 04:03:30
  • グレさん寿命長そうだなあ……「僕」が寿命を迎えたら、また干涸びたまま次の「僕」を待つのだろうか -- 2010-08-31 (火) 01:47:20
  • グレさん、かわいいです! -- 2011-02-12 (土) 23:23:26
  • グレさん…お幸せに -- 2011-04-24 (日) 18:18:13
  • お幸せに。いい話だったー -- 2011-04-30 (土) 23:47:54
  • >3「僕」が死んだらグレさんも死ぬだろ -- 2011-05-08 (日) 23:24:45
  • イイハナシダナー。グレさんかわいいぜッ -- 2012-05-19 (土) 22:23:21

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